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会社で褒められないのは当たり前!経営者や上司が社員(部下・後輩)を褒めるのが難しい理由

 
褒められる女性の写真
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経営コンサルタント(中小企業診断士)、人事・労務コンサルタント(社会保険労務士)。福岡生まれの熊本育ち。性格は典型的な「肥後もっこす」。 「ヒト」と「組織」の問題解決(人材教育・育成や組織変革)を専門とする。 また、商社時代に培った経験から財務・会計にも強く、人事面のみならず財務面からの経営アドバイスも行う。 他にも社会保険労務士、中小企業診断士や行政書士など難関国家資格を含む20個の資格にフルタイムで働きながら1発合格した経験を生かし、資格取得アドバイザーとしても活動中。
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今回は「褒める」「褒められない」について考えてみたいと思います。

社員を褒めろと言うが実際は…

経営者や人材育成の本では、「社員を褒めよう」と言ったことが書かれています。
少し古い話ですが、女子テニスプレイヤーのマルチナ・ヒンギス氏が世界ランク一位になった際に、母親が「褒めて伸ばす」という教育方針だったこともあって、子の教育においても「褒めて伸ばす」ことがブームになったこともありました。

ある程度、勉強をしている経営者や上司であれば、褒めることで社員のモチベーションを上げたり、自信を持たせることが期待出来るため、「社員を褒めた方が良い」と言うことは分かっているはずです。
(心理学的にはピグマリオン効果(or教師期待効果)と呼ばれるもの)

ですが、実際に社会人として長年働いている方で「褒められた経験がある人」と言うのは非常に少ないのではないでしょうか?

その証拠に「最近あなたが褒められたのはいつですか?」と聞かれてすぐに思い出せますか?

アドラー心理学では承認欲求を否定する!?

逆にアドラー心理学では承認欲求を否定するという考えに立ちます。
「褒める」にしろ「叱る」にしろ、その裏側には、相手の上に立つ事、相手を思うままにコントロールしようとする「縦の関係」が隠されています。
アドラー心理学では相手と対等に立つ「横の関係」が望まれるため、承認欲求を否定する立場にあるという訳です。
こちらの関連記事も参考にしてみて下さい。

褒められないのは何故か?

疑問がある人の写真

褒められない理由は、「褒めようとする理由(きっかけ)」と「会社で行う仕事(の内容)」について考えてみれば一目瞭然です。

「褒める」とは?

まず「褒める」の意味を調べてみると以下のように書かれています。

「褒める」:人のしたこと・行いをすぐれていると評価して、そのことを言う。

「優れていると評価して」という部分も、人(褒める側)によって随分判断が分かれそうですね。

褒める理由(きっかけ)

そもそも「社員を褒める時ってどんな時ですか?」と尋ねると、大抵の経営者や上司は、「大きな結果を出した時や何か凄いことをした時に褒める(ex.大きな契約を取った、過去最高の売上高を更新したなど)」と答えるのではないでしょうか。

こういう答えを聞くと、経営者や上司は「優れているなと思った時や大きな成果を出した時」には社員を褒めたいと考えていることになりますが、先の「褒める」の意味も踏まえると、例えば、仕事がバリバリ出来る上司だと、他の人が何かやっても大抵のことは「やれて当たり前。出来て当たり前」だと思われてしまい、褒められる可能性は低いかもしれません。
また、元々経営者というのは過去に圧倒的な実績を残したりしていますから、「他の人を優れていると評価する」というのが苦手という特徴もあります。
なので、せっかく社員が自己最高記録の売上をあげても、俺(社長・上司)はもっと凄い成績をあげたことがあるからお前はまだまだだ」と言った褒めているような貶しているような微妙なコメントを発してしまうこともあります。

仕事の大部分が雑用(平凡なこと)

経営者も上司も、褒めたい考えていることはなんとなく分かったと思います。
次は会社で行う仕事の内容について考えてみたいと思います。

別の記事でも述べていますが、「働く君に贈る25の言葉」の著者・佐々木常夫氏は会社の仕事に関して次のように述べています。

会社とは雑用の塊で、仕事の8割は雑務だ

つまり、会社でやる仕事のほとんどは雑用で平凡なことだということです。
(此処で言う「雑用」とは、本当の雑用も含まれますが、重要度が低い仕事という意味も含まれていると考えて下さい)

銀座まるかんの創業者である斎藤一人氏も、以下のように述べています。

仕事に行ってつらいのは当たり前。
給料をもらうのってそういうことなんです。
働きに行くのは嫌なことするからお金くれるんだよ。
そこをイヤなことだって言うから情けないんだよな。

最近の若者の中には、食べるものに困らず、便利なモノ楽しいモノに囲まれ何不自由なく快適に過ごしたからか、仕事にも楽しさや楽さを求めている者も多いようです。同時に、自分は有能で仕事もバリバリ出来て活躍できる、みんなに認められる存在なんだと…(後で触れる根拠なき万能感)。

ですが本来、仕事は基本的に雑事で、嫌なもの。仕事に夢を見すぎてはいけません。このような仕事の本質もしっかりととらえておく必要があると思います。
経営者の視点で考えると「自分がやりたくない仕事」を「お金」で社員を雇って「仕事をしてもらっている」と言える訳です。

私の感覚から言っても、仕事で凄いと思われることとか、褒めるに値するような凄い結果を出す機会というのは中々ないように思います。
(但し、専門知識やスキルを発揮している仕事などは他人から見れば凄いことのように映ったり、自分はすごい仕事をしている、褒められて当たり前と勘違いしているような自己愛が強い方なども中にはいます…)

そもそも、新入社員が初めて契約を取った時とかであればまだしも、社歴をある程度積んだ方であれば「会社の仕事のほとんどがやれて当たり前」という状況になっているはずです。
だから、「やれて当たり前。たまにミスすれば、鬼の首を取ったようにほれ見たことかと怒られる」というのが「会社あるある」ではないでしょうか?

加えて、日本人は褒めるのが下手

「日本人は欧米に比べて褒めるのが下手」

そんな言葉を聞いたことがないでしょうか?
その理由は諸説(宗教や思想の違い)があるようですが、そもそも日本人はあまり褒められ慣れていない(褒められて育っていない)ので、褒め方が分からないという部分もあると思います。

私も経験がありますが、例えば100点満点の試験(テスト)で98点を取ったとします。
そうすると大体教師からは「(満点じゃなくて)惜しかったね」「残念だったね」と言われます。それが例え学年で1番の得点であったとしても…です。
これは教師じゃなくて親でも似たような状況だと思います。
「98点も取って凄いわね!」ではなく、「あと2点取っていれば、あと1問正解していれば満点(100点)だったのに残念。惜しいね」「次は満点目指して頑張ってね」と言った具合です。

100点満点のテストですから、満点を目指して勉強をすることは当たり前なのかもしれません。
ですが、100点を取らないと駄目、認めてもらえないとなると、条件を満たすのはほんの一握りの方になってしまい、最悪の場合それ以外の方が価値のないもののように扱われる可能性もあります。

(コロナウィルスの影響で東京オリンピックが延期となってしまいましたが、)その典型と言えそうなのが、オリンピックで銀メダルや銅メダルだった選手が、「金メダルが取れなくてすみません」と言った謝罪をする場面です。
世界で2位や3位になったということは、本来であればとんでもなく凄いことなのに、国民の期待である金メダル(100点満点)が取れなかったことに対して謝罪のような形でコメントをしなければならないというのはいかがなものでしょうか?
これこそ、日本人特有の「100点。完璧(パーフェクト)じゃないと駄目だ」という典型例だと思います。

こうした日本人的背景を鑑みれば「どれだけ褒められにくい文化」なのかということを少しは理解できると思います。

褒める機会が限りなく少ないということ

つまり、経営者や上司は、社員が何か凄いことをした時や大きな成果を出した時に褒めてあげたいと思っていても、日々の仕事のほとんどが平凡なことの積み重ねなので、褒めるような機会がないということです。
加えて、(仮に95点を取っているような品質の仕事であっても)仕事が完璧、100点じゃないとミス・失敗として叱られたり注意を受ける可能性もあるということです。

まずはこうした事実(背景)を経営者や上司のみならず、社員(部下や後輩)も知っておかなければなりません。
100点じゃなくとも時に足りない部分に目をつぶり、社員の成長を促すために本気で褒めるという場面も作るべきでしょう。

褒める機会がない、褒めてもらえないのが当たり前と分かれば…

こうした前提を頭に入れておくと、経営者・上司側も社員側(部下や後輩)も少し考え方が変わり行動も変わってくるはずです。

経営者・上司側「褒める基準を下げる」

「褒める機会」自体が稀有なものだと分かれば、褒める基準を下げれば良い訳です。

何も社員(部下・後輩)に対して下手に出る必要はありません。
大きな成果ではなくても、小さな成果や努力を認めて褒めてあげましょう。
日々、頑張っていることや長所、成果とは直接関係がないけど会社みんなの役に立っていることなどを探して褒めるようにして下さい。
基本は口頭で言ってあげるのが良いですが、不慣れな場合やどうも照れ臭さがあると言った場合はメールでも良いと思います。
(メールの場合は、文字として残るので社員が後で見返せるという利点もあります)

人間は千差万別、十人十色なのですから、結果が100点の人も、70点の人も40点の人もいる訳です。まずは結果は結果として認めてあげることが大切です。
そして、それぞプロセスや努力を認めた上で、次に50点なり80点なりが取れるようにするにはどうしたら良いかを一緒になって考えてあげて、そのためのプロセスをサポートしてあげるのが本来の経営者や上司の役割なのではないでしょうか?

そう言ったサポートは一切せずに、結果だけをみて叱りつけていたら、いつまで立っても褒められることはなく、次第に社員はやる気をなくしてしまいます。

経営者・上司側「部下に対する期待値を下げる」

褒める基準を下げるとほぼ同義なのですが、経営者や上司が部下や新入社員に対してもつ期待値の高さが褒めにくくしている原因となっていることが多いです。

「こいつはこのぐらいやれるはずだ」
「(入社して数年経っているし)出来て当たり前の仕事だろう」

「部下に対する期待値が高い」というのは良いことなのですが、それゆえに弊害が生じている訳です。

同じようなことは身近な場面でもあります。例えば、美味しいと評判のレストランに期待をして行ったけど、思ったより美味しくなかった、他のお店と比べても格段に美味しいとは感じなかった、といった期待外れを感じた経験は誰しもあると思います。

だからこそ、部下に対する期待値を低く見積もった上で仕事を依頼したり、任せたりした方が、その分、結果に対して期待外れに感じることが少なくなります。「おっ?こちらの想定よりも良く出来ているじゃないか」「意外にきちんとしたものに仕上がっている」といった評価になり結果として褒めることにも繋がるという訳です。

社員側(部下・後輩)「褒めてもらえないことで必要以上に自信をなくしたりストレスや不満を溜めることが減る」

仕事がそつなくこなせる方ならまだしも、仕事に慣れていなかったり、ミスしがちだったりで、褒められもせず叱られてばかりだと段々と自信を失っていくものです。

自分に自信がなくなると、行動や気持ちが消極的になります。
例えば、叱られるのが恐くて仕事に取り掛かるのが遅くなったり、上司の顔色を伺って行動したり、必要な報・連・想を行わなくなったりすることもあります。

それに自分の中で、「いい仕事をしたな」とか「達成感のある仕事をした」と思ってもそれを周りから褒めてもらえない、認めてもらえないと喜びは半減するのではないでしょうか?

自信を持ちすぎるのもあれですが、人に褒められて認められて「自分もやれるんだ」と自信を持ってもらうことは、本人の成長のためにも必要なことです。

また、上記関連記事でも述べている通り、自己愛(根拠なき万能感)が強い人の場合、「褒められない(認められない)」ということに対して不満を抱き、その不満を自分の力不足と思わずに、会社や上司・同僚のせいにして、その結果、引き篭ったりうつ病を発症したりと言ったことに繋がる可能性もあるそうです。

もちろん、必要な時にきちんと褒めてもらえる職場環境が整っているのがベストですが、経営者や上司から頻繁に称賛を浴びる機会はないんだと、いい意味で期待しすぎないで開き直っていた方が、余計なストレスや不満を溜めることを減らすことが出来るでしょう。

褒める仕組み(ex.サンクスカード )を導入するのも一つの方法

あまり褒める習慣がない会社であれば、「サンクスカード」で褒める仕組みを(半ば強制的に!?)導入するのも一つの方法です。
サンクスカードの詳細については、こちらの関連記事をご参照下さい。

まとめ

本記事のまとめです。

・経営者も上司も、社員を褒めた方が良いことは理解している。
・しかし、仕事の性質上(仕事の大半が雑用)、経営者や上司が褒めるタイミング(きっかけ)だと考えている「大きな結果を出した時」「何か凄いことした時」と言ったことが起こるのは稀。
・つまり、前述のようなタイミングを狙っている以上は「仕事において褒める機会というのはあまりない」と言うことを経営者や上司、社員(部下・後輩)も理解しておく。
・そうすれば、経営者や上司側は「褒める基準を下げる」などして意識的に褒めるようにすることも可能だし、また社員側も過度に褒められることを期待しない分、ストレスや不満を溜め込むことが減る。
・但し、褒められる環境が整っている職場の方がベストだということは言うまでもない。
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経営コンサルタント(中小企業診断士)、人事・労務コンサルタント(社会保険労務士)。福岡生まれの熊本育ち。性格は典型的な「肥後もっこす」。 「ヒト」と「組織」の問題解決(人材教育・育成や組織変革)を専門とする。 また、商社時代に培った経験から財務・会計にも強く、人事面のみならず財務面からの経営アドバイスも行う。 他にも社会保険労務士、中小企業診断士や行政書士など難関国家資格を含む20個の資格にフルタイムで働きながら1発合格した経験を生かし、資格取得アドバイザーとしても活動中。
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