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褒めない会社はサンクス(ありがとう)カードを導入-目的効果は組織のコミュ活性化や社員のモチベ向上

 
サンクスカードの写真その1
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経営コンサルタント(中小企業診断士)、人事・労務コンサルタント(社会保険労務士)。福岡生まれの熊本育ち。性格は典型的な「肥後もっこす」。 「ヒト」と「組織」の問題解決(人材教育・育成や組織変革)を専門とする。 また、商社時代に培った経験から財務・会計にも強く、人事面のみならず財務面からの経営アドバイスも行う。 他にも社会保険労務士、中小企業診断士や行政書士など難関国家資格を含む20個の資格にフルタイムで働きながら1発合格した経験を生かし、資格取得アドバイザーとしても活動中。
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「褒めることは良いこと」だと分かっているのに、中々日本人は褒めないということを下記関連記事で紹介しました。

そこで「褒めるのが難しい」なら、代わりに「ありがとう」や「感謝」を伝えるのはいかがでしょうか?

ありがとうや感謝を伝えることでも、褒めるのと同様の効果が期待できます。

日頃からありがとうや感謝を伝えることが習慣化している会社であれば別ですが、職場の雰囲気が悪い、社員間のコミュニケーションが取れていないといった職場ではサンクスカード(『サンキューカード』『ありがとうカード』『グッジョブカード』等)の導入による職場改善がお勧めです。
(注意:本記事では「サンクスカード」で統一して呼ぶこととします)

今回はこの「サンクスカード」を導入する目的(効果)や導入時のポイントについて紹介したいと思います。

サンクスカードとは?

「サンクスカード」とはその名の通り、「社員同士がお互いにありがとうや感謝の気持ちを伝えるために用いるカード」のことを言います。

その対象は職場の同僚間のみならず、上司から部下、部下から上司、或いは経営者から社員(ex.日頃あまり関わりがない社員など)、社員から経営者、他チームのメンバーなどに対して感謝の気持ちを伝えることが出来ます。

どういった企業で導入されているか?

サンクスカードを導入している有名な企業といえば「リッツ・カールトンホテル」「東京ディズニーランド」が挙げられます。
これらの企業は「従業員満足度(ES)が高い企業」ということでも知られていますので、サンクスカードが一役買っていることは間違いないでしょう。
他にも、ANAやJAL、すかいらーくグループ、損保ジャパン、FANCL等でも導入されているようです。

サンクスカード導入の目的(期待される効果)

サンクスカードを導入することで得られる効果は、一般的に以下のように言われています。

・組織のコミュニケーションの活性化
・社員のモチベーションアップ
・職場の雰囲気向上

「ありがとう」と言われたり、「感謝」をされた時あなたはどう思うか?

一般的に言われる効果は前述した通りですが、各自の実体験から考えてみるとより理解しやすいと思います。

あなたが周りから「ありがとう」と言われたり、「感謝」をされた時に、どう思いますか?

どんなに捻くれた方でも、少なくとも悪い気はしないはずです。

多くの方が嬉しいなと思ったり、温かい気持ちになったりしませんか?
また、そうした言葉を社内の他の社員から言われることで、「ああ、自分はこの職場にいてもいいんだ」「居場所がある」「認められている」といった安心感や自尊心を感じるのではないでしょうか?

サンクスカードを通じて社員がこうした気持ちを持つようになると、モチベーションのアップや組織のコミュニケーションの活性化に繋がるという訳です。

また、受け手側のみならず、送り手側もサンクスカードを通じて、日頃中々言えない「ありがとうや感謝の気持ち」を伝えるチャンスが得られるのもサンクスカードの大きな利点です。
例えば、タイミングが悪くお礼が言えなかったり、ちょっと照れ臭かったり、立場的に言いずらかったり(例えば部下が上司に対するお礼)、そういった今まで言いたくても言えなかった気持ちをもれなく言葉に出来る様になる訳です。

サンクスカードの隠れた効果は良い行動の再現性の高さ

前の見出しの中で、サンクスカードをもらった社員は少なくとも嬉しかったり、温かい気持ちになると述べました。

それ以外にも「ありがとう」や「感謝」を言われたことで、同じ行動を繰り返す可能性が高くなる(再現性の高さ)という効果も期待できます。

(一定の状況下で)社員が取ったある行動が、別のある社員にとって「ありがとうや感謝」の対象となった訳です。
そして、サンクスカードは社員が取った「ある行動」を「認める」仕組みです。
認めてもらえると、社員は嬉しかったり温かい気持ちになったり、安心感・自尊心といったプラスの感情を抱きます。
こうした感情を持つことで、社員はまた機会があれば「(そのような感情を)味わいたい」と思うので、同じ行動を取るようになる訳です。
逆の言い方をすれば、サンクスカードの対象となった行動はみんなから認めてもらった行動だから、その行動は取りやすいということです。
加えて、こうして社員が取る行動が「会社から見ても良い行動であったり、会社に貢献するような行動」であれば、会社がどんどん良くなっていくのは自明の理という訳です。

サンクスカード導入時のポイント・考え方や注意点

サンクスカードの写真その2

サンクスカードのデザイン等は、Web上にテンプレートで紹介もされていますので、そちらを参考にして下さい。
ここでは導入時のポイント・考え方や注意点を取り上げてみたいと思います。

会社や組織が抱える問題とサンクスカードの導入目的(期待される効果)が合致していることが大事

サンクスカード を導入する目的(期待される効果)は前述した通りですが、「知り合いの会社がやっているから」とか「セミナー等で知って良いなと思ったから」「セミナー講師が勧めていたから」と言った安易な理由で、経営者や上司が上意下達で制度を導入するのは止めた方が良いです。

まずは会社の抱える問題がサンクスカードの導入によって解決出来る可能性があるかどうかをしっかりと吟味しなければなりません。

例えば、日頃からその場で感謝を伝える習慣のある職場だと導入のメリットをあまり感じてもらえず、導入してもすぐに廃れてしまう可能性が高いからです。
但し、そういった組織で導入を見送る場合でも、縁の下の力持ちで陰ながら支えてくれる社員もいます(例えば社員がいない間や誰も見ていない隙に、動いてくれてみんなの役に立っているような社員)。
そうした方々に日頃の感謝がうまく伝えきれていない場合は、サンクスカード以外の方法で感謝を伝える手段を考えるようにして下さい。

事前に社員とのヒアリングやミーティングをきちんと行うこと

導入を検討するにあたっては、事前に会社のリーダー格に相談してみましょう。
ここでいうリーダー格というのは、部長やチーム長と言った役職上のリーダーだけではなく、例えば会社で人望がある人や中心人物(ex.良い意味でのお局さん)、社内でのキーパーソン等に意見を聞いてみるということです。
なぜなら、こうした人物が導入に賛成してくれていれば、制度導入後も率先してやってくれたり、或いは周りの社員にもきちんと取り組むよう、促してくれるからです。

間違っても経営層や部長クラス、或いは人事部だけで勝手に話し合って急に始めることのないようにして下さい。

おまけ:会社が新しく何かを始める時は、社員(平社員・パートアルバイトetc)を巻き込むこと

よく言われることですが、会社で新しく何かを始める時は、始める前の計画段階から出来るだけ会社の社員を巻き込むことが大切です。
そうすることで「この件には、自分も関わっている」という当事者意識が持てます。仮に新しい取り組みに「反対」であったとしても、反対意見を聞いてもらえて関係者で議論をし、しかるべき手順で会社として決定されたことであれば、それに従うものです。

そういう過程もなくいきなり、「明日からこれをやって下さい」と上から言われても、社員側からすればただ迷惑なだけで最悪の場合、始める前から拒否感や不満を抱くことになりかねません。
仮に取組み自体が良いものであったとしても、誰しも急な変化があれば多かれ少なかれ不平不満を抱くものです。

導入の背景や目的を社員に十分に理解してもらう

導入前にしっかりと社員とのヒアリングや議論が行えていれば、導入の目的も理解してもらえると思います。
とはいえ、会社の規模によっては導入前の段階で全社員が関わることは難しいかもしれないので、導入にあたってはしっかりと導入の背景と目的(期待される効果)を説明する機会を持つようにして下さい。

制度が定着しない、或いは中々サンクスカードを書いてくれないといった場合にはどうすれば良い?

運用ルールを設定する際には「いかに定着させるか」を考える

サンクスカードのやり方は非常に単純なものですが、会社としての運用ルールを決めておく必要があります。
その際に一番考えなければならないのが、この制度をいかにして「定着させるか」ということです。

導入した際によくあるパターンが、以下のようなものです。

・最初はみんな盛り上がってやっていたけど段々とやらなくなった。
・結局、一部の人しかやっていない(定着しなかった)。

まぁ、サンクスカードに限らず、何か新しい仕組みを導入した際には大体同じような事態になるのは皆さんご存知の通りです。

定着させるためには、社員に「やりたい。やっても良いな」と思わせたり、「やることによるメリット」を感じさせなければなりません。

会社が商品やサービスを顧客に販売する際には、お客さんに「商品を買いたい、或いはサービスを受けたい」と思ってもらえるような営業トークをすると思います。その際には、自社商品(サービス)の特徴や使うことでのメリットなどを説明すると思いますが、あれと同じようなことです。

但し、自社の社員であることを考えると、メリットばかりではなく、義務やペナルティ(罰)や報酬(おまけ)を盛り込むことも一つの手段となります。

例えば、以下のようなルールが考えられます。

・一定期間の中で、一番サンクスカードを受け取った方に報酬(賞金/賞品)を出す(上位○人とかでも可)
・逆に、一番サンクスカードを書いた方にも報酬(賞金/賞品)を出す(上位○人でも可)
・サンクスカードの実施状況・内容を見える化する(アプリの場合はそうした機能が付いている)。これは、「みんなが真面目にやっているなら私もやろう」という「一種の同調圧力の利用」ともいう(笑)。
・月に○枚、或いは1週間や1ヶ月に一人の従業員に対して○枚は必ずサンクスカードを書くように義務付ける(特に導入初期、1日1枚や一週間で○枚といった単位でも可)
・定期的にミーティングをしたりする機会があるのであれば、その場でサンクスカードを書く時間を設ける
・サンクスカードの実施状況を人事の評価項目にする。
(当然、ノルマを達成できていなければマイナス評価、率先して取り組んでいるようであればプラス評価)

また、上記のようなルール(仕組み)に加えて、なぜやるのかといった啓発活動やサンクスカードを導入したことで、会社・組織にどういう効果があったか、サンクスカードを受け取ってどう感じたかなどを社員に話し合わせる機会を持たせて、制度の有用性を理解してもらい理解を深めることも重要なことです。

また、導入当初は、小さなマイルストーンを用意しておいて時が経つにつれ段々と基準を上げていくといった方法も有効だと思います。
(導入当初は、週に1枚書く → 数ヶ月後には週に3枚書く と言った具合)

また、運用ルールに関しては導入後の運用状況や活用率等に応じて適宜修正が必要となります。

中々サンクスカードを書いてくれない社員はどうすれば良い?

会社全体の取り組みとは言え、時に非協力的な社員が出てくることもあります。そうした場合は「なんのためにやっているか」という制度の目的を改めて理解してもらうことが必要です。

前述した運用ルールにもある通り、ある程度制約を設けたり(ex.月に○枚は必ず書く)、サンクスカードの実施状況を人事評価の対象にするといった方法が取られることで、(嫌々ながらも)サンクスカードの活動を促進させることにも繋がります。
また、後述する「見出し:ありがとうと言うためには、相手に対する関心と観察が必要」もご参照下さい。

「ありがとう」と言うためには、相手に対する関心と観察が必要

サンクスカード導入にあたりよく言われるのが、「何を書いて良いか分からない」「書くことがない」といった意見です。

「サンクスカード」は言い換えると「相手の長所・良い所を見つける」ということです。そのために必要なことは「関心と観察」です。

良くも悪くも会社での仕事のやり方は分業制と言えます。
経理なら経理、人事なら人事、営業なら営業といった具合で、その中でさらに各個人に割り当てられた仕事(役割)をこなしている訳です。

そうなると、自分がやっている仕事だけが会社での自分の仕事で、それだけをやれば大丈夫、お給料をもらえると思ってしまい、仕事は個人完結型と勘違いしてしまう方もいるでしょう。

ですが、本当の意味で一人で完結するような仕事は稀です。
誰からしら何かしら他人の力を借りて仕事をこなしています。
つまり、「誰もが誰かに何かを手伝ってもらって仕事をしている」ということです。

そう考えると「手伝ってもらっている誰か」に焦点を当てれば書くことが見えてくるはずです。
それが例え日常に溶け込みすぎて当たり前になっていても「あなたのためにしてくれている」という事実に気づかなければなりません。
そのためには「他人に対する関心と観察が必要」という訳です。

そして、誰もが誰かに何かを手伝ってもらって仕事をしているという事実に気づけばサンクスカードを「書かない、書けない」という事態は本来ならあり得ないことです。

ゴールドボール日本代表・浦田理恵選手の講演会の記事で紹介していますが、「人間は生きているだけで迷惑をかけている」訳ですから、会社や仕事においても同じだと思います。

関心を持つことで相手を知り、今まで嫌いだと思っていた人でも受け入れられるようになるかも!?

そして、(サンクスカードの活動を通じて)長所や良い所に目を向けられるようになると、今まで短所や悪い所ばかりが目についてしまって、苦手だったり嫌いだった人でも少しは受け入れられるようになる可能性があります。
つまり、マイナスとプラスが合わさることで、(マイナスが)薄まったり、プラス側に振れることもある訳です。

そもそも職場での不平や不満はコミュニケーション不足から生じると言われています。
サンクスカードを通じて、相手に関心を持つことで相手の知らなかった部分が見えて来たり、(嫌い故に)意識的に見ないように、関わらないようにしていた部分を見るようになったことで、「なんだ、実はこういう人なんだ」「意外に優しい人なんだな」といった新たな一面を知りコミュニケーションの改善に繋がる可能性もあります。

社内の全ての人と親友のように打ち解ける必要はないですが、少なくとも同じ会社に勤めている社員を認め許容する心が持てるようになるのではないでしょうか。

運用媒体「紙とアプリ」どちらが良い?

従来は紙媒体でのやり取りが主流でしたが、集計に時間がかかったり、働いている場所(例えば支店)違うと他のところの内容がわかりづらかったり、サンクスカードの保管等の問題から、アプリによる導入も増えています。

依然、紙媒体の方が導入コスト(但し、管理・集計等の人的コストは除外)は安いですが、スマートフォンが普及している現代ではアプリの方がお手軽さ・便利さといった面では優位かと思います。

また、「手書き」による温かみや人によってオリジナリティ(個性)が出る(イラストや文字のフォントなど)といった部分が、紙媒体によるメリットですが、一部のアプリでは手書きで感謝を伝えることも可能になっています。

参考:【手書きで伝える】サンクスカードアプリ

個人的には、導入初期時の社員の抵抗や、仕組みが定着するかどうか、といった不確定要素やイニシャルコスト、運用ルールの変更等を考えると、最初は紙媒体でトライアル的に始めてみる方が良いかなと思います。

あと紙の場合は出来るだけカラフルだったりデザイン性があるものが良いと思います。これはサンクスカードを「もらう側」のことを考えて頂ければ分かると思います。白黒よりもカラフル、ただの四角形よりもハートや星などの方が、受け取る側も嬉しいはずです。

まとめ

さて、今回は上記関連記事の続きとして、褒めない会社はサンクスカードを導入して職場の雰囲気改善をしようということでサンクスカードを取り上げました。
本記事ではサンクスカードの目的(期待される効果)や導入時のポイント・考え方や注意点を中心に紹介しています。

【本記事のまとめ】
○サンクスカードは社員同士がお互いにありがとうや感謝の気持ちを伝えるために持ちるカード(職場改善のツール)。
○サンクスカードの目的(期待する効果)は以下の通り。
 (1)組織のコミュニケーションの活性化
 (2)社員のモチベーションアップ
 (3)職場の雰囲気向上
○導入の際は以下に注意。
 (1)今、会社の抱える問題がサンクスカードの効果で改善されるかどうか、きちんと判断する。闇雲・安易に導入しない。
 (2)導入前には会社のキーパーソンにヒアリング(相談)する
 (3)制度をいかに定着させるかが鍵。
  そのために運用ルールには「社員がやりたい、やっても良いな」と思えるような工夫を盛り込むこと(例えば飴と鞭を用意するなど)。
 (4)サンクスカードを書くには相手への関心と観察が必要。
  そのためには自分の仕事は自分一人では完結していない、誰かが手伝っている・関わっていることを意識しておくこと。
 (5)サンクスカードを行う媒体は、紙とアプリがある
  どちらにも長所短所があるが、イニシャルコスト、制度の定着の不確かさやトライアルアンドエラー(trial and error)を考えると紙の導入の方が個人的にはベター。
この記事を書いている人 - WRITER -
経営コンサルタント(中小企業診断士)、人事・労務コンサルタント(社会保険労務士)。福岡生まれの熊本育ち。性格は典型的な「肥後もっこす」。 「ヒト」と「組織」の問題解決(人材教育・育成や組織変革)を専門とする。 また、商社時代に培った経験から財務・会計にも強く、人事面のみならず財務面からの経営アドバイスも行う。 他にも社会保険労務士、中小企業診断士や行政書士など難関国家資格を含む20個の資格にフルタイムで働きながら1発合格した経験を生かし、資格取得アドバイザーとしても活動中。
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