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会社側の解雇の自由(民法第627条)には労働者保護のため規制や解雇権濫用法理が設定されている(労働基準法・労働契約法等)

 
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人事・労務コンサルタント(社会保険労務士)、経営コンサルタント(中小企業診断士)。福岡生まれだが熊本育ちのため、性格は典型的な「肥後もっこす」。 「ヒト」と「組織」の問題解決(人材教育・育成や組織変革)を専門とする。 また、商社時代に培った経験から財務・会計にも強く、人事面のみならず財務面からの経営アドバイスも行う。 他にも社会保険労務士、中小企業診断士や行政書士など20個の資格に1発合格した経験を生かし、資格取得アドバイザーとしても活動中。
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「【30日前の解雇予告・30日分の解雇予告手当・不当解雇】解雇予告や手当を支払えば解雇が有効となる訳ではない」という記事で、「解雇予告や解雇予告手当」と「解雇の有効性」との違いについて理解してもらえたと思います。

さて、今回は、前回の「【30日前の解雇予告・30日分の解雇予告手当・不当解雇】解雇予告や手当を支払えば解雇が有効となる訳ではない」という記事を、少し法律・学問的な視点からお話したいと思います。

注意:民法・労働基準法・労働契約法の関係をまとめた話なので、興味のある方だけご覧になって頂ければと思います。

民法(一般法)と労働基準法・労働契約法(特別法)の関係

民法第627条は、以下のように定められています。

民法第627条(期間の定めのない雇用の解約の申入れ)
1 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
2 期間によって報酬を定めた場合には、解約の申入れは、次期以後についてすることができる。ただし、その解約の申入れは、当期の前半にしなければならない。
3 六箇月以上の期間によって報酬を定めた場合には、前項の解約の申入れは、三箇月前にしなければならない。

/引用:民法より

この民法第627条を見ていると、「あれっ!?、使用者(会社)も2週間前に雇用の解約を申し入れすれば、労働者(従業員)との雇用契約を解約することが出来るのでは?」と思う人がいるかもしれません。

民法第627条第1項を条文通りに解釈すれば、そのように見えると思います。
そもそも、民法は私人間での関係を規律する法律で、契約自由の原則が適用されています(契約自由の原則とは、公序良俗に反しない、法律に違反しない限り、当事者が自由に契約を締結できるというもの)。

従って、雇用に関しても労使の合意に基づいて労働契約が行われます。
しかし、自由に契約が締結できるとは言っても、労使間(会社と従業員)の力関係は到底対等とは言えません。使用者(会社)の立場が上になるのは当然です。
上下関係から労働者が不利な契約を締結してしまう可能性すらあります。また、いざ使用者から解約(解雇)をしようとした場合、弱者である労働者への影響は経済的・社会的にも相当なものとなります。
そこで民法だけではカバー出来ない部分に対して、別の労働関連の法律による規制が入り、内容が修正されている訳です。

法律的な用語で言えば、一般法(民法)に対して特別法(労働基準法・労働契約法など)による規制が掛かっているということです。

今回の例で言えば、民法第627条(期間の定めのない雇用の解約の申入れ)の解雇に関して、労働契約法第16条(解雇)の解雇理由について解雇権濫用法理が存在していますし、労働基準法第19条(解雇制限)や第20条(解雇の予告)でも解雇手続きに関して規制しています。

労働契約法第16条(解雇)
解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

/引用:労働契約法より

労働基準法
第19条(解雇制限)
1 使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後三十日間並びに産前産後の女性が第六十五条の規定によつて休業する期間及びその後三十日間は、解雇してはならない。ただし、使用者が、第八十一条の規定によつて打切補償を支払う場合又は天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合においては、この限りでない。
2 前項但書後段の場合においては、その事由について行政官庁の認定を受けなければならない。

第20条(解雇の予告)
1 使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。
2 前項の予告の日数は、一日について平均賃金を支払つた場合においては、その日数を短縮することができる。
3 前条第二項の規定は、第一項但書の場合にこれを準用する。

/引用:労働基準法より

上記のような法律で様々な規制が入っています。それをまとめると【簡易版のまとめ】のようになります。

【以下、簡易版のまとめ】
基本(民法第627条第1項:期間の定めのない雇用の解約の申入れ)
当事者はいつでも解約の申入れをすることが出来る。解約の申入れから2週間を経過することによって雇用は終了する
→規制
(労働契約法第16条:解雇)
解雇をする場合、客観的合理性と社会的相当性がなければ解雇は無効
(労働基準法第19条:解雇制限)
業務上の怪我や病気により療養のため休業する期間およびその後30日間、産前産後の女性が休業する期間およびその後30日間
(労働基準法第20条:解雇の予告)
解雇しようとする場合、少なくとも30日前にその予告をしなければならない。予告をしな場合は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない
(解雇の2週間前の予告では不十分、かつ労働者保護が出来ないため)

簡易版まとめからも分かる通り、使用者側から労働者への解約(解雇)の申入れは規制されています。こうすることによって、弱者である労働者を保護していると言う訳です。

ツラツラと法律及び法律用語を並べて説明しましたが、法律の難しいところは「一つの法律、条文」が全てではなく一般法と特別法といった関係で横断的・網羅的に結ばれているところだと思います(慣れていないと読み解くのが難しいと言いますか…)。
また、法律の効力の優先順位も国の最高法規である憲法を頂点として、法律、政令・省令、規則・条例と言った順番でピラミッド構造になっています。
従って、社労士だから労働基準法さえ知っていれば良いというものでもなく、(労基法に対して)一般法に位置する民法や最高法規である憲法なども踏まえてその法律を解釈しなければならないということにもなります。

解雇の自由化

現状、「日本の法律では解雇は難しい」ということを度々申し上げておりますが、世の中の動きとして解雇の自由化も検討されているそうです。

何故なら、解雇の有効性についても、個々の事案(判例、慣習などでも含めて判断され)ごとで異なり、複雑化しています。斯様な状況下では、かえって労使間で混乱やトラブルを生む原因と言えます。

会社側がやるだけのことをやった上での解雇であったとしても、労働者が納得出来ずに不当解雇として訴えれば、会社は裁判や労働紛争の解決に力を注ぐこととなります。そうなると本来やるべきこと(本業)がなおざりになってしまいます。
万が一、そのせいで悪循環に陥れば、売上高減少、利益減少、赤字経営、労働者を雇うことが出来ずリストラ、最悪は倒産といった事態も考えられます。つまり、大企業と違い中小企業にとって、マイナス(クレームやトラブルなど)のことに力を注ぐということは、会社の死活問題になりかねないと言うことです。

こうした解雇に関する労使トラブルの防止・解決のため、解雇ルールの明確化が検討されているそうです。その一つの方法として、解雇を一定のルール(もちろん、労使合意のもと)で金銭解決する制度や法律の制定が模索されているようです(解雇の自由化)。

もちろん労働者保護の観点は忘れてはいけませんが、いずれは今人間の手でやっている仕事の約半分が機械(AI)にとって代わると言われています。そうなると必然的に人手が余る訳です。その会社の中で新しい仕事(人の手でしか出来ないような仕事)があれば良いですが、中々そう都合よくはいかないと思います。
だからこそ、厳しいようですが、そうした時に生き残れる(解雇されない)ように、自分のスキルや能力を高めておくことも労働者がやるべきことの一つなのかもしれません。もう終身雇用制度のような負んぶに抱っこの時代は終わったと考えるべきです。

労働協約、就業規則、労働契約の効力関係(優先順位)

優先順位の写真

さて、少し話が脱線してしまいましたが、憲法を最高法規とする「法のピラミッド」のように雇用契約の中でもこのような優先順位、力関係が存在します。
その代表的なものが、「労働基準法、労働協約、就業規則、労働契約の効力関係」です。

ちなみに、「労働協約」とは労働組合と使用者(会社)と結ばれた労働条件などに関する取り決めで労働組合法に準じて締結されたものと言います(労働組合と使用者との合意)
「就業規則」は労働者の就業上遵守すべきルールや労働条件に関して労働基準法等に基づいて定められた規則のことを言います(使用者の一方的な意思で作成することも可能)
「労働契約」は労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立したものです(労働契約法第6条、労働者と使用者との個別(一対一)の合意)。

それぞれの優先順位をまとめると以下のようになります。

【効力の優先順位】

法律(労働基準法等) > 労働協約 > 就業規則 > 労働契約

まず大前提として、法律(労働基準法等)の基準を下回る部分は無効とされ、その法律の基準が適用されます。その上で、労働契約よりも就業規則、そして就業規則よりも労働協約が優先されます。但し、就業規則で定める基準を上回る労働条件を定める労働契約がある場合には、その労働契約が優先されたり一部例外もあります。

労働基準法第13条(この法律違反の契約)
この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において、無効となつた部分は、この法律で定める基準による。

労働基準法第92条(法令及び労働協約との関係)
1 就業規則は、法令又は当該事業場について適用される労働協約反してはならない。
2 行政官庁は、法令又は労働協約に牴触する就業規則の変更を命ずることができる。

労働基準法第93条(労働契約との関係)
労働契約と就業規則との関係については、労働契約法(平成十九年法律第百二十八号)第十二条の定めるところによる。

/引用:労働基準法より

労働契約法第12条(就業規則違反の労働契約)
就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準による

/引用:労働契約法より

労働組合法第16条(基準の効力)
労働協約に定める労働条件その他の労働者の待遇に関する基準に違反する労働契約の部分は、無効とする。この場合において無効となつた部分は、基準の定めるところによる。労働契約に定がない部分についても、同様とする。

/引用:労働組合法より

例えば、個別の労働契約でパートさんの時給を814円(平成30年度の福岡の最低賃金)と定めていたとしても、就業規則に時給850円と定めていれば時給850円の方が適用されるといった感じです。
あまり就業規則や労働契約の内容に関心がない経営者の場合、会社の就業規則と労働契約とで書いてある内容が矛盾しているということがあります(例えばどこかのモデル規程をそのまま運用している場合など)。
一度しっかりと自分の目で見て確認しておくことをお勧めしておきます。

まとめ

法律に馴染みのない方には少々面白くない記事だったと思いますが、これから法律の勉強を始める方や、社労士試験を受ける方などには少しはお役に立ったのであれば幸いです。

このように法律を読み解き、理解しておくことも専門家(弁護士や司法書士、行政書士、社会保険労務士)としての一つの存在価値だと思います。まぁ、専門家としたら当たり前と言えば当たり前の知識なのですが…。

ちなみに法律系の資格は、基本的に固い条文を暗記する作業なので楽しくはありませんが、あえて面白い点を挙げるとするならば、こういった法律上の繋がりが読み取れるようになった時だと思います。

最後に、本記事を読んで分かること

・民法(一般法)と労働基準法、労働契約法(いずれも特別法)との関係
(→一般法に対して、特別法による規制が入るということ)
・労働協約と就業規則、労働契約との関係(効力の優先順位)
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