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企業の組織や業務の改善、実行力upの秘訣は人間の本能や人間性に目を向けた取組みが有効

 
頭を抱える女性の写真
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経営コンサルタント(中小企業診断士)、人事・労務コンサルタント(社会保険労務士)。福岡生まれの熊本育ち。性格は典型的な「肥後もっこす」。 「ヒト」と「組織」の問題解決(人材教育・育成や組織変革)を専門とする。 また、商社時代に培った経験から財務・会計にも強く、人事面のみならず財務面からの経営アドバイスも行う。 他にも社会保険労務士、中小企業診断士や行政書士など難関国家資格を含む20個の資格にフルタイムで働きながら1発合格した経験を生かし、資格取得アドバイザーとしても活動中。
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今回は、企業の組織(人間関係)・業務改善や実行力アップのために役立つ考え方を紹介したいと思います。

企業とは「人間」が全てである

「人財は企業にとって宝である」(まぁ”人財”であればの話ですが…)
このような言葉を聞いたことのある方は多いと思います。

※「ジンザイ(人財、人材、人罪)の4分類」については、「【書評レビュー・可処分時間】「働き方の教科書」(新将命・伝説の外資トップ)の感想・要約」の記事内の「会社でどのジンザイになりたいか」をご参照下さい。

情報化、機械化、AI化の波が押し寄せているとはいえ、結局のところ、企業は事業を「組織」で行うのであって、その組織は多数の様々な「人間」で成り立っています。

日本が誇る「ホンダ」の創業者である本田宗一郎 氏は、企業と「人間」の関係について以下のように述べています。

企業といっても、人間が主体です。
人間を抜いたら、何もない。
人間がその気にならなきゃ、何も始まらない。

引用:ホンダの創業者「本田宗一郎」の言葉

また、経営学者であり経営コンサルタントでもあったP.F.ドラッカー 氏も以下のように述べています。

人間が全てであることを忘れないで欲しい

引用:P.F.ドラッカーの言葉(「日本に来たドラッカー初来日編」より)

(一番優れていると思われている)経営者であっても、一人の力で全てを成し遂げることはできませんので、必然的に経営者の弱みを補うべく周りの人との協力が必要となり、その結果、企業という「組織」が生まれることになる訳です。

当然、組織は多数の様々な「人間」で構成されていますから、その構成要素である「人間」に目を向けた経営を行うことは当たり前のことと言えるでしょう。

例えば、会社や経営者が人間を「物や道具」或いは「単なる労働力(人手)」として扱う場合と、優しさや思いやりなどを持って人間として大事に扱う場合とでは、得られる結果(成果)は全く異なるだろうということは、誰でも理解できることだと思います。

「人間」に目を向けるとは「本能」や「人間性」に目を向けるということ

人間に目を向けるということは、人間誰もが持つ「本能」や「人間性」に目を向けるということです。
人間性とは「人間らしさ、或いは人間くささ」と思ってもらうと分かりやすいと思います。

例えば、

(やらなければならないことを)忘れてしまう
楽をしたがる(面倒くさがり)
感情・気分を優先させて行動してしまう
他人の欠点(粗)ばかりが目についてしまう
思い込み・勘違いをしてしまう
色々と理由をつけて後回しにしてしまう
自分だけで全てやろうとしてしまう(自己満足)
失敗は恥ずかしいことなので、隠そうとしてしまう

といったものです。

人間には素晴らしい才能(ex.創造性、言語を用いたコミュニケーション)がありますが、ここでいう本能や人間性というのは、人間特有の優れた面より、むしろ「マイナス面」を指していると思って下さい。

優秀な社員ばかりではない(完璧な人間はいない)

なぜマイナス面なのかといえば、それは優秀な社員よりも平均的で普通の社員の方が多いのが一般的だからです。

必ず仕事を期限内に仕上げる、気持ちの浮き沈みがなく行動に影響しない、面倒くさがらず言われたことは直ぐにこなしてしまう…なんて完璧とも言える人間(社員)はほぼ皆無です。

いつも仕事をきちんとしているという方でも、前日遊びすぎて睡眠不足だったり、プライベートで嫌なことや悲しいことがあれば、それが仕事に影響してしまった、ついついカッとなって怒鳴ってしまった、と言った方は世の中には沢山いらっしゃることでしょう。

つまり、「完璧な人間はいない」ということ。

当たり前といえば当たり前のことですが、(自分のことは棚に上げて)なぜだか時に相手に対して「完璧を求める」ことがあります。「相手に抱く理想の人物」をついつい期待してしまっている訳です。
ですが、実際には100%期待に応えてくれることは稀で、何らかの失敗や間違いを犯したり、良い人なんだけどどこかに欠点があったりするものです。

著名人も以下のような言葉を残しています。

誰でも人生で傷つくものだよ。
完璧な人間なんていない。
人は、皆一人残らず、多少はしくじったりするものだよ。

引用:ジョニー・デップ(俳優)

いくら自分に完璧を求めても、完璧な人間なんてどこにもいない。
結局、自分や他人の失敗から学んでいくしかない。

引用:アイルトン・セナ(F1レーサー)

「優秀な社員が欲しい」

経営者なら誰もが一度は願うことかもしれませんが、やはりこれはないものねだり。現実的には中々厳しいものです。
多少の優劣はあれど、社員のみなさん何かしら(前の見出し取り上げたような)「マイナス面」を有しているのですから、そのマイナス面を上手くフォローできる取り組みが必要になるということです。

むしろ、人間のダメな部分に着目してこそ、経営だと言えます。
組織として天才やスーパーマンに頼っていてはダメだということを、P.F.ドラッカー 氏も述べています。

自らのマネジメントに天才やスーパーマンを必要とするようであっては、いかなる組織といえども存続できない。
ごく平均的な人間によるリーダーシップで十分なように組織されていなければならない。
したがって、いかなる組織といえどもワンマンであったのでは存続しえない。そのワンマンが世を去れば存続が危殆に瀕する。
(中略)
そもそも組織とは、人の長所を生かし短所を補うべきものである。
天才やスーパーマンなしでやっていけるべきものであり、信頼できるリーダーを確実に生み出していくべきものである

引用:P.F.ドラッカーの言葉(「日本に来たドラッカー初来日編」より)

組織運営において、カリスマや天才と呼ばれるような少数に頼るべきではなく、むしろ、平均的な人間でも十分なように組織されていることが望ましいといっています。(平均的な人であっても成果を上げられるような人材育成や仕組みを構築するということは大前提になりますが…)

人間誰しも完璧ではないのですから、あとはいかに完璧に近づけるかということになります。
忘れてしまう、ミスしてしまう、相手が機嫌悪そうから後回しにしよう、といった人間なら誰もがやってしまうようなこと、人間ならではのことをいかにして防ぐかというところに視線を合わせることが組織や業務の改善に繋がります。

「人間らしさ」から生じる仕事や職場での問題

失敗してうずくまる女性の写真

企業が組織を使って事業を行えば、組織が動きます。
「組織が動く」ということは「人間が動く」ということです。
その動きの中には、当然「人間らしさ」が滲み出てくるものです。

先に述べた人間の本能や人間性(人間らしさ)の「マイナス面」が仕事で顕在化した場合には、次のような形で現れます。

「ミスや間違い」
「(頼んだことが)期限内に終わらない」
「(やるべき仕事を)忘れていた」
「会議をし計画も立てたけど、全然実行されていない」
「目先の仕事に追われて、ついつい後回しになっている」
「仕事に集中しない」
「仕事をサボる(ex.仕事中にネットサーフィン、外出中にサボるなど)」
「いかに手を抜くかということばかりを考える」
「思い込みや勘違いのせいで仕事がとんでも無い方向に進んでいた」
「思い込みや勘違いのせいで、職場の人間関係が悪化」
「カッとなって、怒鳴ってしまった」「感情をコントロールできず、表情や態度に現れてしまった」
「自分の力だけでやらなきゃと思い頑張っていたら、取り返しのつかないことに」
「ミスや失敗を隠していて、それが発覚した時には大事件に」

日常的にどの企業でも抱えている問題ではないでしょうか?

本当は、一社会人として、会社の指示に従い実行すること、自分の仕事に責任を持つこと、就業時間中は業務に真面目に取り組むこと(職務専念義務)などを守り、こうした問題が生じないようにしなければならないのです。(真面目に働いた労働の対価として、お給料が発生するのですから)

でも、実際にはなかなか上手くいかないものです。

なぜなら、「ついついスマホを見てしまう、触ってしまう理由は何?スマホ依存は本能心理を刺激した結果」で触れている通り、人間の本能と呼ぶべき反応はこれまで人類が長い年月をかけて獲得してきたもので体の隅から隅まで染み付いてしまっているので、これに抗うのは並大抵のことではありません。(人間の脳は今もなお狩猟採集時代のまま変わっていないため)

「人間だもの」で有名な相田みつをさんの名言の中に次のようなものがあります。

時には、間違ったっていいじゃないか、泣いたっていいじゃないか、できないことがあったっていいじゃないか、落ち込んだっていいじゃないか、・・・。
人間だもの、スーパーマンじゃないんだから、コンピュータじゃないんだから、神様でも仏様でもないんだから。

引用:相田みつを「つまづいたっていいじゃないか にんげんだもの」

忘れない工夫やミスを減らす工夫、仕事の優先順位付け、PDCAサイクル、アンガーマネジメント、コミュニケーション、報連想などいろいろな手段を用いてこうした問題が回避出来るように努力すべきなのは勿論ですが、それでも機械とは違ってミスや間違いを起こしてしまったり、感情・気分を優先させてしまったりするのは、「人間だからこそ」生じてしまうことです。

人間は「ミスや間違い、忘れる、怠ける、感情・気分に左右される、限界がある」という視点で考える

「フェイルセーフ」という言葉をご存知でしょうか?

Wikipediaによると、「なんらかの装置・システムにおいて、誤操作・誤動作による障害が発生した場合、常に安全に制御すること。またはそうなるような設計手法で信頼性設計のひとつ。これは装置やシステムが『必ず故障する』ということを前提にしたものである(引用:Wikipedia「フェイルセーフ」より)」と説明がされています。

簡単に言えば、一種の安全装置のようなものです。例えば、自動車の電動スライドドアが閉まっているときに、腕が挟まったら、ドアが停止したり、元に戻る(ドアが開く)ように動くといったものです。

つまり、間違いやミスが起こることを前提で作られていて、そうしたことが万一起こっても無事で済むように設計されています。

人間よりも遥かに正確で安定した生産性・作業効率を発揮できる機械や装置、システムであっても、このような考えで設計されている訳ですから、人間の本能や人間性(人間らしさ)のマイナス面にもこの考え方を取り入れてみることは一理あるのではないでしょうか。

特に人間の場合は機械以上に「ミスや間違いを起こす」「忘れてしまう」ものです。
機械やシステムはスイッチをオンにしたり、実行コマンドを入力すれば文句も言わず稼働しますが、人間の場合は「指示してもやらないことがある(真面目にしない、動かない)」「感情・気分に振り回される」「(任された仕事が能力やスキル的に)出来ない場合もある」など、不安要素が盛り沢山です。

ですから、「ミスや間違いを起こさない」「言われたことを必ずやってくれる」といった考えではなく、むしろ本能や人間らしさに目を向けて「ミスをすることもある」「忘れてしまうこともある」「なかなか作業に移ってくれないときもある」と考えて、そうしたことをいかにして上手に防ぐかということを考えるということも大事です。

現在のやり方でこうした問題が顕在化しているのであれば、社員の資質(優秀か優秀でないか)のせいばかりにするのではなく、いかにして普通の人でも成果を上げる事ができるか仕組みを考えることが大切です。

本能や人間性(人間らしさ)にフェールセーフが働く手法や考え方は?

本能や人間らしさのマイナス面に対して上手くフェールセーフが働くような手法や考え方を考えてみたいと思います。
業種や職能によって、チームや社員が抱える問題は違いますので、簡単に触れるだけにしておきますが、是非、部やチームに合ったやり方をそれぞれの企業で考えて見て下さい。

業務の標準化やマニュアル作成

中小企業では、まだまだ「属人化」「職務の聖域化」が当たり前ですが、創造性や専門性の高い仕事を別にすれば、「本当にその人しか出来ない仕事」というのはほとんど存在しません。

ということは、標準化だったり、マニュアルだったりに十分落とし込める余地があるということです。

標準化やマニュアル等については、「仕事・業務のマニュアル化標準化」とは最短最善の方法で誰がやっても同じ成果が上がること【書評:マニュアルの目的効果・作り方コツの伝授本】無印良品は、仕組みが9割のまとめといった記事に譲りますが、

マニュアル作成や計画書や管理表といったフォーマットを統一するといったことだけでも、結構ミスは減りますし、誰でもやれるようにしておくことは、極論すればマニュアルを見ながらであれば、新人でもやれるということにもなり、早期の戦力化にもなる訳です。

PDCA

「PDCAサイクル」という手法はよく知られていますが、これを意外にやり抜いている組織やチームというのは案外少ないものです。いつの間にか計画が頓挫していたり、話題にならなくなったり、仕事の進捗を聞かれなくなったということはよく起こります。
ですが、PDCAを本気でやり抜けば、「やり忘れ」「期限内に仕事が終わらない」といったことは防げるはずです。特に「CとA」である、「チェックし悪いところを改善し、新たな計画を立て、それを行動に移す」ということを追いかけ続ければ、どのような仕事・プロジェクトであっても行動力(実行率)100%になる訳ですから。

報連想

ミスや失敗を上司に隠してしまう。仕事の進捗を報告しない。やり方が分かっていないのに相談しない。
こういった背景には、周りに声を掛けづらいという雰囲気があるということです。

いつも不機嫌な上司、ミスを報告すれば怒鳴り散らす上司などがいた場合、報告や相談したくなくなるのが人間の本能でしょう。報告しない、相談できない部下を悪者にするのではなく、本当の原因となっている上司が変わらなければいつまで経っても同じままです。

最近は、上司が部下からの報連想は待つのではなく、むしろ上司の方から部下に報連想をしにいく(自ら確認にいく)ぐらいの方が良いという意見もありますから、いつも社長室や部長席に鎮座しているのではなく、たまには自らの足で社員とコミュニケーションを取りに行くことも考えてみてはいかがでしょうか。

情報の共有化

「サボりたがる」「怠けたがる」というのを防ぐというのはなかなか難しいものです。
一つは、前で述べたようにPDCAでしっかり日々の仕事の進捗とその成果を追いかけ続けることが、サボらせないことに繋がります。

その他にも情報の共有化というものも考えられます。

マニュアルとも近いですが、定型業務であれば「この作業は大体◯時間で終わる」といった基準が表などに明示してあれば、もしそれ以上の時間がかかっているようであれば、時間内に真面目にやろうとするものです。
それに人間は虚栄心がありますし、自分の評価は3割増しと言われるぐらいですから、自分が他人より劣っている(仕事が出来ない)とは思われたく無いものです。

その他にも、社歴●年だと、ここまでの事は出来るといった業務範囲やそのレベルを客観的に示しておけば、社員のモチベーションにもなります。当然、到達していなければ焦りを覚えて、遊んでいる暇なんてなくなるでしょう。勿論、こうした客観的な指標は人事評価にも使えます。

情報の共有化とは少し異なるかもしれませんが、就業規則を周知するというのも一つの手です。
就業規則には、会社のルールや取り決めが定められています。
中でも「職務専念義務」「服務規律」、違反した場合の「懲戒処分」といった項目を説明しておくことは、会社として然るべき時には厳正な対処をするという意思表示にもなり、社員の意識改革にもつながるかもしれません。
(会社が見逃していたり、甘い)

元来、真面目で几帳面な日本人ならば、「ルール」がある以上それを「守らなければいけない」という意識が自然と働きますので、そういった意味でも効果的です。ひょっとしたら、そうした項目があると聞いて、心当たりがあって真面目に職務に専念するようになるかもしれません。

一番まずいのが、暗黙のルールでグレーゾーンになっている場合です。
「やっていいこと、悪いこと」の区別が付きづらいですし、「社員はこういう姿勢であるべき」という見本も示すことができません。

困ったことに最近では、指摘や指示に対してただ言いなりになるのではなく「根拠は?」「ソースは?」と反論してくる社員もいます。

例えば、「それは私の仕事ではありません」と拒否する社員や「残業をしたくありません」という社員などです。
ですが、就業規則に、経営者や上司には「業務命令権があること」や、「時間外業務を命じることがある」といったことを記載しておき、そのことを周知しておけば、反論してくる社員への牽制にもなります。
ルールに従えないという社員には、然るべき対応を取ることも可能です。

就業規則の効力が労働基準監督署への届出で生じることはなく、労働者に周知して初めて効力を発するというのはこのためです。(といっても、労働者が就業規則を知ろうと思えば、いつでも知る事ができる状態にしてあればOKというのが現在の周知の解釈です)

人は相手の人間性を見て判断している

「部下が上司の言うことを聞いてくれない」「上司と部下の関係が悪い」といった場合、部下に問題があるのではなく、上司に問題がある場合も考えられます。

「好きな相手とは仕事がしたい、嫌いな相手とは(できれば)仕事をしたくない」
これは人間なら当たり前の感情だと思いますし、事実、人間は相手の人間性によって行動も変わってくるものです。

しかし、人間である以上、お互いに相性もありますし、全ての人に好かれることは不可能です。
だからと言って、どんな態度をとっても良いということにはなりません。
やはり、人間と人間が接する上で最低限必要なことは存在します。
それは、誠実さや感謝や礼儀正しさ、尊敬・尊重といったことです。

実際、横柄な態度、相手を不快にさせる言動、誠実さのない対応など、そうした上司の下で頑張って働こうと思う社員は稀です。

また、経営者の視点で見れば、いくら実力がある社員(売上や成績の良い社員)であっても、性格や態度に難ありであれば、リーダーに昇格させてはいけないということです。人事異動がきっかけとなってチームがボロボロになる可能性もあります。

万人に好かれる必要はありませんが、相手も人間である以上最低限必要なことはあるということを忘れてはなりません。

ちなみに下記の著書(商品リンク)は「礼儀正しさ」の大切さについて語ってある本です。
同時に「無礼な職場ではどういった影響が起こるか」ということも書いてあります。
リーダーにとっては必読の一冊ですのでぜひご一読下さい。

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感想(9件)

人間は欠点を探す生き物である

「組織内で悪口が横行している」なんてことは日常茶飯事だと思います。

そもそも人間は本能的に「欠点を探す」生き物です。

狩猟採集時代には、動物を狩って食料としていました。
当然、人間の身体能力は動物には及びませんから、相手の弱点(欠点)を見つける必要がありました。これは生きていく知恵であり、本能でもあります。

そして、人間の脳も基本的にはこの狩猟採集時代の頃から変わっていません。
ですから、相手の弱点(悪い点)に目が行きがちになり、悪口に繋がるのです。

致し方ないこととはいえ、やはりそこは意識を持って変えていかなければならないことでしょう。

つまり、会社・組織として考えた場合、欠点ばかりに目を向けても何も良いことはないですし、何も生み出せるものはありません。成果を上げるためには一人ひとりの強みに目を向け、それを生かす手段・方法を考えることこそが経営者やリーダーの役割です。

日本では「みんなちゃんとしているのだから、あなたもちゃんとしなさい」と子供に注意する。

インドでは「あなたもダメなのだから、人のダメなところも許しなさい」と諭す

引用:「死ぬこと以外かすり傷」(p128)より

おまけ:本来は、職場では好き嫌い、仲の良し悪し、意見の衝突があって当然

「人間関係が良い職場」というと「喧嘩もなくみんな仲良し」というイメージを持たれる方もいると思いますが、かのP.F.ドラッカーは「人間関係」について、次のように述べています。

人間の数だけ意見が違う

・動くものが二つ以上あれば、ぶつかる可能性がある。人間も同じことだ。
 そこに働く人が二人以上いれば、その二人はぶつかる可能性がある
 実際、人と人がそこにいる以上、摩擦もあろう。勘違いもあろう。行き違いもあろう

良い人間関係とは、人の好き嫌いや、仲の良し悪しに関わらず、仕事上、協力関係があるということだ。
(例え仲が悪くても成果が出ていれば「良い人間関係」となり、逆に仲が良くても成果が出ていなければ「悪い人間関係」ということ)

引用:P.F.ドラッカーの言葉(「日本に来たドラッカー初来日編」より)

そもそも、感情や相性といった「好き嫌い」「仲の良し悪し」以外でも、憶測や思い込み、勘違いと言った事が原因で摩擦や衝突が生じるものです。

「人間の数だけ意見が違う」というのはまさにその通りで、むしろ意見が「満場一致」する方がおかしいと言えます。(トップ企業があえて「意見の不一致」に目を向けるのは気づいていない問題があるかもしれないという憂いがあるからです)

本来、それぞれの立場から意見を言えば異なる意見が出るのが当然です。しかも、意見が正しくとも、人間には感情がありますから、感情論で動いてしまうこともあります。

このように混沌とした状況にある訳ですから、組織内に「好き嫌い」「仲の良し悪し」「意見の衝突」「誤解」が存在して当たり前とも言えます。

だからこそ、P.F.ドラッカー 氏の「良い人間関係とは、人の好き嫌いや、仲の良し悪しに関わらず、仕事上、協力関係があるということ」という言葉が参考になるわけです。
そして、良い人間関係か、悪い人間関係を判断する基準は「成果の有無」にあると同氏は述べています。

仕事上、協力関係があるとは、お互いに共通の目的があるからこそ、協力しようとするとも言えます。
お互いのベクトルが違う方向に向いていれば、協力しようとは思わないはずです。

また、共通の目標があったとしても、相手が威圧的だったり、相手からぞんざいな扱いを受ければ、到底協力しようとは思わないはずです。やはり好き嫌い、仲の良し悪しとは別個の次元で、人間対人間としての礼儀正しさや誠実さが必要になるということです。

こうした土台が揃っていれば、相手の立場・状況を理解した上で、共通の目的のために一人一人何が貢献できるのか、或いは何が協力できるのかを確認し行動するようになるはずなので、自然と成果に繋がってくるはずです。

「嫌いだから」「仲が悪いから」と、何かと邪魔立てようと考えてしまうのが人間です。
例えば、嫌いだったり、仲が悪い人から頼まれたりすると、依頼を忙しいからと拒否したり、後回しにしたりするといった対応を取りかねないものです。
しかし、お互いに礼儀正しさや誠実さを持って接しているならば、一旦「好き嫌い」や「仲の良し悪し」といった感情は置いておいて、企業の理念や目的のために協力し、仕事を全うするのが社会人としてのあるべき姿だと思います。これが出来ないようであれば、「ただの我儘な子供と一緒」でしょう。

まとめ

「ミスや間違い」「し忘れ」「気分が乗らない」などの問題は、人間であれば誰にでも起こりうることです。

であれば、業務の仕組みなどに本能や人間性といった視点を取り込み、こういう仕組みややり方であれば、間違いが起きにくい、或いは行動に起こしやすいといった流れに持っていく方がより効果的です。

令和となった今、身近には自動車、PCやスマホなど様々な機械が溢れており、我々の生活を便利なものにしてくれています。昭和の頃と比べれば遥かに技術が進歩したのは間違い無いですが、人間自体(特に脳)は大きく変化していないことは、「ついスマホを見てしまう、触ってしまう理由は何?スマホ依存は本能心理を刺激した結果」の中で述べている通りです。

本能や人間性(人間らしさ、人間くささ)を前提に考えてみることで、あなたの会社の組織改善や業務改善、実行力upに役立つかもしれません。ぜひ、社員と一緒になって考えてみて下さい。

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経営コンサルタント(中小企業診断士)、人事・労務コンサルタント(社会保険労務士)。福岡生まれの熊本育ち。性格は典型的な「肥後もっこす」。 「ヒト」と「組織」の問題解決(人材教育・育成や組織変革)を専門とする。 また、商社時代に培った経験から財務・会計にも強く、人事面のみならず財務面からの経営アドバイスも行う。 他にも社会保険労務士、中小企業診断士や行政書士など難関国家資格を含む20個の資格にフルタイムで働きながら1発合格した経験を生かし、資格取得アドバイザーとしても活動中。
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