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【書評レビュー・可処分時間】「働き方の教科書」(新将命・伝説の外資トップ)の感想・要約

 
書評「働き方の教科書」の表紙
この記事を書いている人 - WRITER -
経営コンサルタント(中小企業診断士)、人事・労務コンサルタント(社会保険労務士)。福岡生まれの熊本育ち。性格は典型的な「肥後もっこす」。 「ヒト」と「組織」の問題解決(人材教育・育成や組織変革)を専門とする。 また、商社時代に培った経験から財務・会計にも強く、人事面のみならず財務面からの経営アドバイスも行う。 他にも社会保険労務士、中小企業診断士や行政書士など難関国家資格を含む20個の資格にフルタイムで働きながら1発合格した経験を生かし、資格取得アドバイザーとしても活動中。
詳しいプロフィールはこちら

書籍情報・購入経緯

【書籍情報】
著者:新 将命(あたらし・まさみ)
著書:「伝説の外資トップが説く 働き方の教科書」
値段/発行所:1,600円(税抜き) / ダイヤモンド社
その他著書:「経営の教科書」「伝説の外資トップが説く リーダーの教科書」など多数

【購入経緯】
新将命氏の研修会(セミナー)を受講したことがきっかけ。
同氏の著書としては、「経営の教科書」の方が有名かもしれませんが、本書は読んだ当時(2011年)、自分の意識改革に多大な影響を与えた一冊です。
ちなみに、同氏はダイエットでお馴染みのRIZAPグループ株式会社の最高顧問も務められておられます。

こんな人におすすめの一冊

【ターゲット層】
・全てのビジネスパーソン向け
(サラリーマンではなく、ビジネスパーソンになりたい方は是非)
・特に新入社員や入社3年未満などの若手社員に読んで欲しい一冊

この本を読むことで分かること

・自分の残された時間と時間の大切さ
・人生の目的や成功を考える機会
・人生の成功のパイを最大化する4つの条件は「情熱」「マインド」「スキル」「運」
・目標設定の大切さ
・情熱の火を燃やし続けるための方法
・読書の習慣を身につけることの大切さ
・ビジネス人生を生きる上で必要な考え方(主にマインド面)
 (ジンザイの4分類、優先順位の付け方、自責、諦めそうになる自分に打ち勝つ方法など)

この本をお勧めする理由と背景

今日の自分は
昨日までの自分の結果である。


将来の自分は
今日からの自分の結果である。


引用:「働き方の教科書」より

本書の冒頭はこの言葉から始まっています(本の帯にも書いてあります!)。
現状に満足していない人、日々漫然と過ごしている人、毎日何かに追われ流される日々を過ごしている人…。
見るべき人がこの言葉を見れば、まだ本の中身を読んでいない状態でも、何か心に響くものがあるのではないでしょうか?

今から、およそ9年前にこの本を読んだ、私自身もまさにそうでした。

幸運にも、会社の研修で、著者の新将命氏の研修会(セミナー)を受講する機会がありました。
本書にも見られるように、少し駄洒落好き?な方で、とても気さくで明るく、楽しそうに研修をしてくれました。興味惹かれる面白い研修でしたので、あっという間に時間が過ぎたことを今でも覚えています。

以来、新将命氏の著書は好んで良く読んでいました。
(未読のものも一部ありますが、同氏の著書を11冊所有していました)

(たまに部分的に読み返すことはありましたが、)本書を通読したのは実に9年前ぶりでした。改めて読み返すと、当時とはまた違った発見があり、良い刺激になりました。

研修と本書を通じて得られた気づきを幾ばくかでも実践出来たからこそ、今日の私があるとも言えます。それぐらい私の中では影響を受けた一冊です

当時、私が一番残念に思ったことは「これらのこと(本書に載っているような考え方等)をもっと早くに知っていれば…」ということでした。
30代を目前にしたタイミングでしたので、もっと若い時期、新入社員や入社2〜3年目であれば、また違った結果を産んだかもしれないと思いました。

ただ、年齢と共に経験も重ねていたからこそ、研修や本書の内容が当時の自分の琴線に触れるものがあったと考えることもできますし、若い時には若い時なりの受け止め方しか出来なかったかもしれませんので、今更、変えられない過去をあまり気にしてもしょうがないですね。

また、同氏の経歴から分かるように、厳しいビジネスの世界に50年以上どっぷりと浸かり、ジョンソン・エンド・ジョンソンなどの社長職を3社、副社長職を1社経験するなど、その経験と実績をベースに書かれていますので、書かれている内容には重みがあります。時にダジャレを交えつつ、噛み砕いた文章で書かれているので、読書が苦手な方でも読み易く、腑に落ちやすいと思います。

色々とお勧めする背景を書きましたが、個人的には新入社員や社歴の若い社員に読んで欲しい一冊です。
もちろん本書は「自分自身」のマネジメントに焦点を当て深掘りした本となっていますので、全てのビジネスパーソンに役立つ一冊となっています。

要約

ここから本書の要約を紹介します。ここだけでは書ききれないものも沢山ありますので、一度手にとって読まれることをお勧めします。
また、私がサラリーマン時代に影響を受けた考えや役に立った考え方などは「感想」の方に書いていますので、そちらも参考にして下さい。

人生の残り時間と1日の可処分時間で「時間の大切さ」を意識

あなたの人生の残り時間(Hour)
=(平均寿命−(あなたの現在の年齢))×365×(24−睡眠時間)


・可処分時間(1日のうちで自分の自由に使える時間)
=24時間−平均睡眠時間−ルーティン固定時間

【参考情報】
・日本の平均寿命(2018年時点、厚生労働省発表):男性81.25歳、女性87.32歳
ルーティン固定時間とは、食事やお風呂の時間、家事、仕事や学業の時間、通勤や通学の時間など自分の意思とは関係なくこなさなければならない時間のこと

上の計算式にご自身のケースを当てはめてみて、あなたの人生の残り時間や可処分時間を可視化してみて下さい。「○○時間もあるのか」と思うか、「○○時間しか残されていないのか」と思うかは、人それぞれだと思いますが、今一度、時間が貴重であることを確認してみませんか?

時間には3つの特徴がある

【時間の三大特徴】
①「平等性」
②「不可逆性」
③「マネジメント可能性」

②の不可逆性について
本書では「光陰矢の如し」という諺を例に挙げています。
「月日が経つことの早いこと」の例えとして用いられますが、もう一つ戒めとして「月日の経つのはあっという間で二度と戻ってこないから、無為に送るべきではない」という意味もあります。今回はもちろんこちらの意味です。
著者の言葉を借りれば、
「一度弓から放たれた矢は戻ってこないのと同じように、失った時間はもう二度と戻ってこない」
「時間とは目減りする財産である。『時はカネなり』という表現は大きな間違いで、正しくは『時は命なり』」

ということです。

特に若い時は「時間は無限にある」と思いがちです。
若い時は体力があるので、毎日、遅くまで残業しても、次の日には回復し同じように働くことが出来てしまいます。そうした日々を繰り返していると、1日1日の重みが薄れ、ともすれば、何も考えず同じようなことを繰り返す日々といった悪循環に陥り、時間を無駄にしてしまう可能性もあります。

「時間は無限ではない。時間は自分の命そのものである」ということを今一度噛み締めましょう。

③マネジメント可能性について

最も重要な特徴はこの「マネジメント可能性」だと述べています。
誰しも平等に1日は24時間しかありませんが、工夫次第で自分の可処分時間を増やすことは可能です。
可処分時間の最大化の鍵となるのが「優先順位付け」です。こちらは「6.2優先順位付け」をご参考下さい。

参考書籍:「時間革命」(著:堀江貴文、ホリエモン)

時間の大切さについては、堀江貴文氏の「時間革命」でも述べられています。
堀江氏の著書の中でも「時間に焦点を当てた本」なので、こちらも非常に参考になると思います。

おまけ:「あなたの命日」はこの中にある。伊那食品工業の100年カレンダー。

時間の大切さを訴えるにあたり、もう一つおまけで紹介しておきます。

それは、伊那食品工業株式会社で扱われている「100年カレンダー」です。

伊那食品工業と言えば、「かんてんパパ」「リストラなしの年輪経営」の著者である塚越寛氏(同社・最高顧問(に就任予定))が有名ですが、その経営手法(?)の一つに、この100年カレンダーがあります。

塚越寛氏は、社員に対して、「このカレンダーの中に、あなたの命日は必ずある」といったことを仰るそうです。

つまり、残された時間を可視化することで、時間の大切さ、自分の時間の期限を再認識することが出来ます。
しかし、「人は忘れる生き物」です。時間は大切と理解していながら、日々の雑事に追われ、忘れてしまうこともあります。
そうならないように、同社ではこのカレンダーを社内の至る所に貼って、「人間は必ず死ぬ」という時間の大切さを忘れないように工夫していいます。

人生の目的は?成功とは?

ゴールと成功の写真

時間の大切さを意識すると、限られた自分の人生をいかに過ごすべきかということを考えるようになります。
どんな人でも「有意義な人生を過ごしたい」「成功したい」といった気持ちを持っているはずです。
そこで、あなたにとっての「人生の目的」や「人生における成功」といったものを考えなければなりません。

著書の中で、「出世と成功」の違いについて次のように述べています。

「出世」とは社長や部長などといった一見すれば分かるような客観的なもの
「成功」主観的で人によって定義は異なり、個々の人間が決めるべきもの

成功の定義は人それぞれでしょうが、「せっかく世に生まれてきたからには、自分が生きた証を残したい」と願うのは人間の本能ではないでしょうか?

著者曰く、英語には「make a difference」という言葉あるそうです。
「自分が生まれ、そして死んで行くまでの間に、世の中を変えるために何か役立つことをすることで自分が生きた証を残す」という意味だそうです。

同じように日本語の中にも「一隅を照らす」という言葉があります。
「自分自身が置かれた場所で、精一杯努力し、明るく光り輝くことのできる人こそ、何物にも変えがたい貴い国の宝である」という意味です。

スティーブ・ジョブズ氏は、死はおそらく生物にとって最高の発明です。それ(死)は生物にとって古いものを取り除き、新しい者のための道を開いてくれる変革の担い手です。」と述べています。

非常にドラスティックな表現ですが、だからこそ、「make a difference」や「一隅を照らす」といった考え方が大切なのではないでしょうか?

一度きりの人生。
あなたにとっての成功とは?
あなたにとって納得のいく人生とは何か?
本書を読んでそれを考える良い機会にして下さい。

人生の成功のパイを最大化する上で必要となる4つの条件

成功のパイを最大化する上で必要となる条件は、「情熱」「スキル(仕事力)」「マインド(人間力)」「運」の4つだと述べています。

さて、この中でどれが一番重要だと思いますか?

著者は、一番目は「運」
次いで、「情熱」。
三番目が「マインド(人間力)」、最後が「スキル(仕事力)」という順位付けをしています。

しかも、「運」がダントツの一位とのこと。
その根拠は以下の公式を見ると分かるでしょう。

成功=(「情熱」+「マインド」+「スキル」)×「運」

この公式に従うと、掛け算である「運」がゼロだと、どんなに情熱やマインドがあってたとしてもその結果(成功)はゼロとなります。
しかし、「運が悪い人は人生で成功できない」という結論で終わっては味気ないので、運を良くする4つの方法が紹介されています。

  1. 自分は運が良いと思い続ける
  2. 運気をくれる人と付き合う
  3. メンター(師)を3人持つ
  4. 学び続ける

本記事では、1.と4.について触れておきます。

1.について
人間の脳は意外と単純で、「運が悪い」と思うと顔つきや口に出す言葉が否定的になります。そう言えば、「銀座まるかん」の創業者の「斉藤一人」さんも同じようなことを仰っていますね。

「自分は運が良い」と思うのは誰にも迷惑にならず、お金もかかりません。
「運が悪い」と思ってジメジメと過ごすくらいなら、「運が良い」と思いましょう。そう思っていると、次第に運も向いてくるものです。

かのドイツの文豪・ゲーテも」「人間とはしょせん、思った通りの自分になる」と述べています。

4.について

「学び続ける」とは、今日が昨日よりも半歩でも前に進んでいるために、時間とお金を自分に投資して、常に自分磨きをする姿勢を持っている人です。そういう人こそ人生で成功する人と言えるでしょう。

「運」とは読んで字の如く「運ぶ」ということ

本書では、「宿命」は生まれた後でどんなに足掻いても変えることができないもの(素質や個性)、マネジメント不可能であるものとしていますが、一方で「運」とは「運ぶ」ということであり、考え方ややり方によっては自分の所に「運」を「運んでくることが出来る」、マネジメント可能のものだと述べています。

似たような話で、経営の神様である松下幸之助氏も「運命」のうち10%か20%は自分の生き方次第で、より生かしたり、活用出来る余地があるのではないかと仰っています。(運命のうち80〜90%は変えられないもの、本書で言う「宿命」の位置付け)

ただし、「幸運の女神には前髪しかない」と言われるように、女神が横切るのを確認してから、慌てて掴もうと思っても(前髪しかないので後ろ髪を)掴むことは出来ません。

つまり、運を掴むとは不安のある中で「リスク」を取ることでもあるのです。
日本の諺でいえば、「虎穴に入らずんば虎子を得ず」ということです。
「運を掴む」にはそうした一面もあるということを忘れてはなりません。

情熱を燃やし続けながら、人生の目的と短長期の目標を追い続ける

炎(情熱)の写真

限りある人生の中で、「人生の目的や成功の定義」を考えたのならば、それに向かって歩み始めなければなりません。

時間の大切さを論じると「今日という日を一生懸命やっていれば自ずと道は開けてくる」と考えがちです。必ずしも間違いではないですが、これには一つ重要な点が欠けていると著者は言います。

それは、「○年後にはこうなりたい、こうなっていたい」という長期目標です。
ゴールの場所が分からないマラソンだと、そもそもどの方向に向かって走って良いか分かりません。

5年後、10年後、あるいは15年後に、自分はどうなっていたいか、というありたい姿(短長期の目標)が必要となります。

また、著書の中で、以下のような話を載せています。

「成功」の反対は?

「失敗」

それも良いが、

成功の反対は「目標のない生き方をすること」

(つまり、失敗とは目標のない生き方をすること。
だからこそ、短長期の目標を立て、それを追い続ける生き方が大切であるということ)
/とある研修講師の逸話

目標のない生き方とは「情熱のない生き方」あるいは「情熱を傾けるものがない生き方」とも言えると思います。
本書では「情熱」は人生の成功のパイを最大化するための4つの条件のうち、2番目に大切だと説いていますし、「情熱は目的と目標の源」であると述べられています。

人生の目的と、そうなるために立てる短長期の目標。
そして、目的と目標を達成するための情熱の火を燃やし続けなればなりません。

そこで、「目標」と「情熱」について本書に載っている内容を一部取り上げておきます。

「目標」について

人生で成功したいのであれば、人生の目的へ向かうための短長期に達成すべき目標(ある種のゴール地点、マイルストーン)が必要となります。

本書では、「目標の定義」が紹介されています。

目標=願望+時限設定+行動計画

「こうなりたい、ああなりたい」というのはあくまで願望です。それに、「いつまでに」という時限設定と、「どうやって」という行動計画が伴って初めて「目標」となります。

・目標を立てることの利点

目標を立てることで、頭の中が整理され、やるべきことが明確になるのが利点だと言えます。やるべきことが明確になるということは、「何をしようか」という迷いがなくなるので、時間を無駄にすることが減ります。

また、目標を設定すると達成度が高まり、尚且つ、満足感を味わうことが出来るので、この達成感が次の目標達成に向けての「燃料」となります。

情熱について

本書では、情熱の火を燃やし続けるための3つの方法を紹介しています。

  1. 人生に目的を持つ
  2. 短期と長期の「納得目標」追い続ける
  3. 情熱の火を分けてくれる人と付き合う

「1.人生に目的を持つ」について

「自分は何のために生きているのか?」「何を成し遂げようとするのか?」という問いに対する個々の答えがその人の人生の目的となります。要は、自分の人生の中心に何を置くかという、基本的な命題になります。

「2.短期と長期の「納得目標」を追い続ける」について

ポイントは「納得目標」という部分。
「納得目標」とは自分自身が自発的な興味や関心から立てた目標のことです。

一方で、誰かから一方的に押し付けれた目標のことを「強制目標」と呼びます。会社での目標(ノルマ)は、強制目標に近いという会社の方が多いかもしれませんね。

「3.情熱の火を分けてくれる人と付き合う」について

良く言われることですが、人間は良くも悪くも周りの影響(付き合う人)を受けやすい生き物です。「成功したければ、付き合う人を選びなさい」と言われるのはこのためです。

最後に目標を立てたのであれば、それの評価を定期的に行い必要であれば修正しなければなりません。

本書では目標を達成できなかった場合の主な原因として次の4つが紹介されています、評価の際の参考にして下さい。

  1. そもそも目標が高すぎた
  2. やり方が間違っていた
  3. 徹底度が足りなかった
  4. 状況が変わった

個人的には目標を達成できなかった場合の理由としては、3.の「徹底度が足りなかった」というケースが多いのではないかと思います。


上記関連記事で「合格に必要とされる勉強時間をクリアしてから不安や不満を嘆け」という見出しで書いてますけど、資格の勉強なんてほとんど3.が理由だと思います。

本を読め!それが自分への投資となる

本書では、「1日30分でも良いから本を読みなさい」と提言しています。

読書のメリットとして、先人先達や専門家の叡智がぎっしりつ詰まっているということが挙げられます。つまり、本の著者が人生の中で得た経験や知恵を、自分も共有でき、それを自分自身に活かすことが出来るということです。
極端な言い方をすれば、ある一人の著書を読めば、その著者の経験値が加わり、二人分(自分+著者)の経験値を蓄えることが出来るのです。読んだ本の数が増えれば増えるほど、それは比例していきます。

中でも「良書」「名書」と呼ばれる本に出合うと、非常に良い刺激が得られます。良書や名書を読んで本当に「腑に落ちた」という感覚に出合うと、また同じ感覚が味わいたくて、次に出合うのが楽しみになります。
「良書・名書探し」もまた読書の楽しみの一つです。

本選びの基準として有用の学と無用の学の比は「7:3」ぐらいが良いと述べてあります。

有用の学とは自分のビジネスに直結するテーマの本です。つまり、経営、営業や経理、人事といった自分の職種に合ったものを選ぶということです。
無用の学とは、文学、哲学や歴史、古典といった今日の仕事にはすぐに役に立たないかもしれないが、自分の教養の裾野を広げ、感受性を豊かにしてくれるものです。

読書の習慣がない人は、まず最初は自分が面白そうだなと思った本や、興味を惹かれた本などを読んでみることです。少しでも読書欲が湧くものの方が取り掛かりやすいのではないかと思います。

あとは、それこそアマゾンでベストセラーと紹介されているものや、レビュー評価が高いものをチョイスしてみるのも良いでしょう。今は、本の書評・レビューサイトもありますので、そうした中から選ぶのも一手だと思います。

私の一番のお薦めは、読書好きの方に「何かお薦めの本ある?」「この作者だと、どの本を読むと良い?」といったことを聞いてその本を読んでみるのが、外れがないと思います。
(本書でも「書友からの推薦」という内容で同じことを仰っています)

リーダーとは仕事力(スキル)に、人間力(マインド)が加わった人

「仕事力(スキル)」と「人間力(マインド)」のうち、「仕事力(スキル)」は日々の仕事をこなすことで身に着けられますが、「人間力(マインド)」はそうはいきません。

本書では、仕事力(スキル)を高めることを「腕を磨く」。人間力(マインド)を高めることを「心を磨く」と表現していますが、人間力(マインド)を育てる、心を磨く方法の一つが「読書」なのです。

人間力(マインド)が高い人というのは、「周りから信頼と尊敬を勝ち得ている人」とも言えます。

当然、リーダーは、部下から「あの人と一緒に仕事がしたい」「あの人に付いていきたい」と思われなければなりません。
つまり、リーダーとは、仕事上のスキルを備えた「できる人」であるだけでなく、人間的にも「できた人」でなければならないということです。
リーダーが身に付けておくべき能力のうち、仕事力(スキル)というのは25%程度で、人間力(マインド)が約50%を占めるというデータもあるほどです。
それほどまでに、リーダーには仕事力(スキル)よりも人間力(マインド)が求められているということです。

感想(サラリーマン時代に役に立った考え方など)

本書を読んでサラリーマン時代に、ビジネスパーソンとして役に立った考え方仕事(業務)をしているだけでは気づけなかったことを5つ感想として紹介します。

会社でどのジンザイになりたいか

今ではだいぶお馴染みになったかもしれませんが、「ジンザイの4分類」という考え方です。

仕事力(スキル)を横軸、人間力(マインド)を縦軸として、象限ごとに「人財」「人在」「人材」「人罪」というタイプに分けることが出来ます。
下図を見ていただくと分かりやすいと思います。

ジンザイの4分類の図
ジンザイの4分類
(著:新将命、「働き方の教科書」より)
【ジンザイの4分類】
「人財」:仕事もでき、人からも信頼され尊敬される人。また、仕事のやる気も高く、部下のやる気を高めることもできる人。まさに会社の財(宝)といえる人。

「人在」:仕事はできるが、率先して手を挙げて行動はしない人。提案などもせず、言われるまで動かずにただ存在しているだけの人。

「人材」:新入社員や社歴の浅い人。やる気はあるが仕事力(スキル)がない人。今日のところは未知数の原材料の人。これからの成長次第。

「人罪」:仕事もできない上に、人間的にも信用も尊敬もされていない。その上やる気もない人。読んで字の如く、存在そのものが会社に罪を形成しかねない人

まずは、今、自分がどのタイプ(象限)に位置しているかを把握しなければなりません。
しかし、往々にして、人間は自己評価を3割増くらいに高く考える傾向がありますのでその点にはご注意を。客観的に公正に評価してくれる同僚や上司がいるのであれば、その方に頼むのも良いかもしれませんね。
改めて自分の立ち居位置を知ると、「このままじゃ、まずいのでは?」といったある種の緊張感や焦りが生まれます。それ自体はマイナスの感情かもしれませんが、行動はプラス側に傾け、(仕事力なり人間力なり)自分の足りない部分を伸ばしていくようにして下さい。

「優先順位付け」と「やらないことを決める」

可処分時間を割り出してみると、1日の中で自分の使える時間というのはあまりにも少ないということに気づかされます。そうなると次は可処分時間を最大化するということに意識が向くはずです。
そこで、優先順位付けが重要となってきます。

本書では、「「重要度」×「緊急度」マトリックス」が紹介されています。
「7つの習慣」(著:スティーブン・R・コヴィー)の「緊急度と重要度」の考え方と同じです。本書は、象限の事例がビジネス版に特化していると考えて下さい)

重要度×緊急度マトリックスの図
「重要度×緊急度」マトリックスの図
(著:新将命、「働き方の教科書」より)

今、抱えている仕事やこれからやなければならない仕事などを「重要度と緊急度のマトリックス」に落とし込むことで、優先順位を明確化する訳です。

著者曰く、仕事が全部で10あるとして、だいたい4くらいは急ぎもしないし需要度も低いに当てはまり、残った6の仕事のうち2は今日中にやらなくても構わない仕事。「重要度が高く、緊急度も高い」という仕事は全体の4割くらいしかないとのこと。

こうした区分により、緊急度も重要度も低いことは後回し、もしくはやらない方向で頭の中から除外し、どうしてもいますぐやらなければならない重要な4割の仕事に集中するのが仕事の効率上げる上での肝となります。

「仕事が忙しい、忙しい」と嘆く方は、往往にして時間の使い方が下手というのが定説です。手持ちの仕事や業務を、「重要度と緊急度のマトリックス」に落とし込んで、取組の順番を見直してみて下さい。

優先順位を付けるとは、「同時にやらないことを決めるということです。

なぜなら、限られた時間の中で全てをやることは不可能だからです。
時間が有限であるという前提に立てば、「重要なことをやる」とは「重要ではないことはやらない」ということです。これらはトレードオフの関係にあるとも言えます。
本書では、耶律楚材(やりつ・そざい、チンギス・ハンの補佐役として活躍)の言葉が紹介されていて、非常に示唆に富んだ言葉です。

①一利を興すは一害を除くに如かず
②一事を生やすは一事を減らすに如かず

(意味)
①有利なこと(利益となること、良いこと)を一つ始めるよりも、悪いこと(有害なこと)を一つやめた方が良い
②何かを新しく始めるよりも、無駄なことを一つ減らす方が良い

引用:耶律楚材(やりつ・そざい)の言葉より

つまり、「省くこと」こそが大切であると説いています。
人間は何かと増やすことや、新いこと、新しく始めることに価値を見出しがちですが、「やめること」や「(無駄を)省く」ことこそ、重要だということです。
増えれば増えるほどそれに対して時間やお金や労力を費やすことになります。本当になすべき大切なことに集中するためにも「減らす、やめる」ということにも意識を向けるべきです。

この考え方を企業経営に当てはめると、「新商品・新事業の開発」や「新工場の建設」などが「増やすこと、新しいこと」の際たる例でしょう。それよりも黒字を維持しているが、今後、下降線を辿りそうな商品や事業などに見切りをつけるという決断も重要だということです。
物が溢れかえる今の時代に、「ミニマリスト」や「断捨離」といった言葉が流行っているのには意味があることなのだと思います。

「効果と効率」と「生産性」

優先順位付けに合わせて、押さえておきたいのが「効果と効率」そして「生産性」という考え方です。

これらは、以下のような関係で成り立っています。

「効果」×「効率」=「生産性」

「生産性」と聞くと巷で話題の「働き方改革」を想起すると思いますが、これはまさに働き方改革にも使える考え方です。

上記の式から、効果と効率の両方を高めることが生産性を最大化する方法です。

では、
「効果」と「効率」のどちらが重要だと思いますか?

答えは断然「効果」の方です。

本書では「効果」とは「何をやるか(What)」にあたるもので、「効率」は「どうやるか(How)」であると紹介しています。

「どうやるか(How)」を決める前には「何をやるか(What)」という優先順位付けが必要になります。
つまり、「効果」、そして「効率」の順に考えなければならないということです。

また、「効果」の場合、「効果のある」とか「効果が高い」といった言葉の使われ方をします。であれば、同じ時間で、ある作業や仕事をする場合、どちらがより効果があるか、あるいは効果が高いかという基準で考えていく必要があります。

こうした順番を間違ってしまうと、「効率は高いが、効果の低い、或いは効果のない仕事」をしてしまう可能性もあります。(勿論、効果が低くとも、緊急度の高いものは手を付けなければならないという事態もあるでしょう)

諦めそうになる自分に打ち勝つ方法

本書では諦めそうになる自分に打ち勝つ方法として5つ紹介されてますが、その中で自分がよく使っていた3つを紹介します。

1つ目:「コツコツカツコツ」

他の記事でも度々使っている言葉ですが、当時からこの「コツコツカツコツ」という言葉をその時々に思い出して励みにしています。

「コツコツカツコツ」とは、諦めずにコツコツと努力を続けることが最終的には勝つためのコツだという意味です。新将命氏らしいダジャレですね。

また、「カツ」には「勝つ」と「克つ」という意味が含まれています。
前者は人やライバルに「勝つ」という意味。後者は自分に「克つ」という意味です。「自分の何に克つのか」と言われれば、諦めそうになる気持ちに打ち克つということです。己に勝てない人が、他人に勝つことは出来ません。

2つ目:ゴールイン(目標達成)したときの自分を思い浮かべる

言葉通りです。自分の目標が叶った時の姿を想像することで擬似的な達成感を感じ、自分のモチベーションを高めるというものです。これも一つのマインドコントロールらしいです。

これについては上記の資格勉強法の記事の中でも触れていますが、中小企業診断士や社会保険労務士の資格を目指して勉強しているときに、しばしば「合格した時の姿」を想像していました。(想像というより、妄想(笑)?)

特に、会社で取得を義務付けられている訳でもなく、あくまで自己研鑽の一環でしかありませんから、働きながら、時に残業しながらも、黙々と勉強し続けるのは私とってはかなりの苦行でした。
そのまま放っておくと頭がおかしくなりそうだったので、毎日、お風呂で脳と身体をリフレッシュしながら、合格している姿を妄想(笑)して、次の日への鋭気を養っていたという訳です。

3つ目:認識線と実力線

よほどやり方を間違えていない限りは、努力をすれば実力はついていきます。

実際に実力は少しづつ付いているのにも関わらず、それを認識出来ないが故に、途中で諦めてしまうことを、著者は「認識線」と「実力線」という二つを用いて上手く説明しています。

認識線と実力線の図
認識線と実力線の図
(著:新将命、「働き方の教科書」より)

上図の通り、点線で描いている「実力線」は時間(努力)とともに右肩上がりで伸びています。
一方で、青の実線で描いた「認識線」は、一定の踊り場の期間が経過したのち、上昇(実力線に追いつく)しています。

つまり、自分自身に実力が付いたと認識できるようになる迄には時間がかかるということです。そして、タクシーの運賃のようにある時ポンと認識線が上がり実力がついたと実感できるようになる(実力線に認識線が追いつく)ということをこの図は意味しています。

これは、資格試験の勉強をしたことがある方は、よく理解できるのではないでしょうか?
試験勉強を真面目に続けているのにも関わらず、中々得点に表れない期間というものがあります(いわゆる停滞期)。しかし、ある時(主に直前期)急に正解率が上がり、得点が取れるようになりますが、それと同じことです。TOEICなどの英語の勉強の場合は、特にこの傾向が強いのではないかと思います。

ちなみに、自分の実力がはっきり認識できるようになるまでに(認識線が実力線に追い付くまでに)、6ヵ月ほどのタイムラグがあるというのが著者の持論です。この持論に従えば、伸びていない、成長していないように見えても、実力線はちゃんと伸びているはずだ、「今は認識線の踊り場にいる」と思って、最低でも6ヵ月間は努力を続けることが大切です。

自責

最後は「自責」という考え方です。

読んで字の如く、「自責」とは、「自分は」と一人称で考えることです。
例えば、問題が生じた場合に、「誰のせい」ではなく、「自分に何か問題はなかったか」「自分が出来ることはないか(なかったか)」と考えることです。

一方で、自分以外の誰かのせいにすることを「他責」と言います。

「他責」ではなく、「自責」でものを考える習慣を身につけることは、ビジネスパーソンとして非常に重要なことです。
その理由は、他人のせいにしてばかりいては、一向に事態が進展しないし、時間の無駄だからです。「自分に何が出来るか」と考え行動に移すことが大切になってきます。

ですが、一から十まで全て「自責」で捉えてしまうと「自己肯定感や自己有用感」を損なったり、精神衛生上も良くない部分もあるので、あくまで自分のコントロール出来る範囲で自責を持つという気持ちの方が良いと私は思います。

最後に、本書で紹介されていた面白い逸話を紹介しておきます。

ある所に、何でも他人のせいにしてしまう雰囲気が蔓延する会社がありました。


そんな他責の風が吹いている会社に、
「自責の風」を吹かせたいと思い、経営会議を開きました。

そこで次のような質問をしました。

「あなたは誰が真っ先に「自責の風」を吹かせるべきだと思いますか?

その企業の経営幹部が、
「やっぱり、それはトップである社長からでしょう」
と発言したそうです。


一見正解のように見えるかもしれません。


しかし、これは見事なまでの他責発言



正解は「あなた自身」

「(社長ではなく)自分から率先して自責の風を吹かせなければなりません」

このことを我々も忘れないようにしたいものです。

まとめ

さて、私の中でも思い入れのある本だっただけに、長々と要約と感想を書いてしまいました。
私が、新将命氏の研修会や書籍で学んだことは、今いる会社に拘らず、どこにいっても通用するビジネスパーソンになる必要があるということです。そのために、何をすれば、どうすれば良いのかを本書で学ぶことが出来たと思います。この記事に書き切れていない考え方などもまだまだ沢山ありますので、是非、実物を手にとって読んで頂ければと思います。

【本記事のまとめ】
・自分の人生の残り時間と1日の可処分時間を知ることで、時間の大切さと生きる目的や人生での成功といったことを考える
・人生の成功のパイを最大化する4条件は、「情熱」「スキル」「マインド」「運」。(中でも、運がダントツの1番)
・目標設定の大切さと目標のある人生を生きるために短期と長期の目標を追い続ける
・読書の習慣を身につけることで、仕事では伸ばすことの出来ない人間的な面(マインド)の成長につなげることが出来る。引いては、それが良いリーダーになるための素地となる
・ビジネスパーソンとして役立つ考え方
(ジンザイの4分類、優先順位付け、やらないことを決める、自責、諦めそうになる自分に打ち勝つ方法)
この記事を書いている人 - WRITER -
経営コンサルタント(中小企業診断士)、人事・労務コンサルタント(社会保険労務士)。福岡生まれの熊本育ち。性格は典型的な「肥後もっこす」。 「ヒト」と「組織」の問題解決(人材教育・育成や組織変革)を専門とする。 また、商社時代に培った経験から財務・会計にも強く、人事面のみならず財務面からの経営アドバイスも行う。 他にも社会保険労務士、中小企業診断士や行政書士など難関国家資格を含む20個の資格にフルタイムで働きながら1発合格した経験を生かし、資格取得アドバイザーとしても活動中。
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