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会社で気遣い(思いやり)ができない社会人でも想像力観察力、周りの環境で「できる人」に?

 
思いやり溢れる写真
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経営コンサルタント(中小企業診断士)、人事・労務コンサルタント(社会保険労務士)。福岡生まれの熊本育ち。性格は典型的な「肥後もっこす」。 「ヒト」と「組織」の問題解決(人材教育・育成や組織変革)を専門とする。 また、商社時代に培った経験から財務・会計にも強く、人事面のみならず財務面からの経営アドバイスも行う。 他にも社会保険労務士、中小企業診断士や行政書士など難関国家資格を含む20個の資格にフルタイムで働きながら1発合格した経験を生かし、資格取得アドバイザーとしても活動中。
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「最近の若い人(ex.ゆとり世代など)は気遣いができない。気が利かない」といった声が聞かれることもありますが、実際には若い人に限った話でもないと思います。年齢に関係なく気遣いができない人はできないものです。

さて、今回はこの「気遣い」について取り扱って行きたいと思います。

気遣いができる人の特徴とは?

さて、「気遣いができる人の特徴」とはどのようなものなのでしょうか?

気遣い溢れる職業の一つとして、思いつくのがCA(客室乗務員)さんです。
ANAさん、JALさんに関わらず、ネットやSNS等で「こんな対応をしてくれて感動した!」といったエピソードを耳にすることがあります。実際、私の友人の中にも、CAさんから激励のメッセージを頂いたことがあるなんていう話を聞いたことがあります。そんなこともあってCAさんは「おもてなしの権化」のような職業の一つだと思ってます(その他だと、リッツカールトンやディズニーで働く人たちでしょうか…)。

そんな日本の航空会社の一つであるANA(ANAビジネスソリューション)の著書「仕事も人間関係もうまくいく ANAの気づかい」によると、「気遣いができる(気が利く)と感じる人」は、以下の2つを実践しているそうです。

(1)気づかいとは、「相手のこと」を想像する習慣
(2)気づかいとは、「一歩先のこと」を想像する習慣
(引用:「ANAの気づかい」(p.7)より)

なるほど。個人的にはとても頷ける内容だと思います。

想像力の大切さ

まず、2つに共通しているのが「想像力」という言葉です。

「想像力の欠如」を取り扱った著書がありますが、その特徴の中に「(想像力が欠如していると)気遣いができない」といったことに言及しているものもあります。

社会人に限らず、学校や友人関係など他人と上手くコミュニケーションを取るためには、「相手がどう感じるか」ということを想像しながら、言動を取ることは非常に重要です。
チームマネジメントの観点からも、無闇矢鱈と相手を不快にさせたり、やる気を削ぐような言動を取っているようでは組織を率いることは難しいでしょう。

仕事上においても、もちろん想像力は大切です。
優秀なビジネスマンほど、仕事の完成形(仕事の質)や締め切り期限といったことを想像し、そこから逆算して仕事に取り掛かるものです。
例えば、望む結果を得るためには、「いついつまでにはこの段階まで仕上げる」「顧客に納得してもらうためにはAとBというデータを集めておかなければならない」「事前に社内の誰々さんに確認を取っておく必要がある」「(プレゼンであれば)おそらくこういった質問がなされるはずだから、回答を準備しておかなければならない」といったことを想像して動かなければなりません。こうした想像力(予想)が働かなければ、締め切り間近になってあれも足りない、これも足りないと慌てることになります。

こうして幾つかの事例を取り上げただけでも、想像力の大切さは伝わるかと思います。

【想像力に関するよもやま話】

以前、「【書評レビュー・カズレーザー推し本】ケーキの切れない非行少年たち(宮口幸治)要約と感想」という記事の中でも紹介しましたが、非行少年の特徴として「こういうことをしたらこうなる」ということが想像できないの、後先考えず行動してしまうことがあるということをお伝えしました。
(ex.ゲームやおもちゃが欲しい場合に、お小遣いやアルバイトをしてお金をためるのではなく、盗んでしまうといった短絡的な行動をとってしまうなど)
もちろん「想像力の欠如が直ちに犯罪を犯す」という訳ではありませんが、色々と考えさせられる内容です。

気遣いとは「癖や習慣」

「気遣いは生来のもの」或いは「気遣いは属人的なもの」

そういったイメージをお持ちの方も多いと思います。
私も「気づかいができる人」「気づかいが出来ない人」といった言葉の使い分けをしていたので、「気遣いが出来るか、出来ないかは、『その人次第』な要素が多分に含まれるもの」という認識でいました。

ですが、ANA(ANAビジネスソリューション)の著書「仕事も人間関係もうまくいく ANAの気づかい」によれば、

  1. 気遣いとは「くせ」「習慣」である。
  2. ANAの社員に生まれつき気遣いができる人は一人もいない
    (気遣いができそうな人材を意識して採用しようとしている訳では無い)

引用:「仕事も人間関係もうまくいく ANAの気づかい」より

と述べられています。
ということは、「気遣い」は身につけようと思えば身に付けられるものということです。

気遣いができるようになる環境とは?

動物の思いやり溢れる写真

「仕事も人間関係もうまくいく ANAの気づかい」 では気づかいについて、以下のように述べています。

  1. 気づかいを当たり前のようにするチームの中に入ると、自分も気づかいをするようになっていく
  2. 組織としての目標を社員みんなが共有していることが、気づかいを伝染させる条件

引用:「仕事も人間関係もうまくいく ANAの気づかい」(p.205-206)より

この2つから分かることは、会社が全体最適の状態になければならないということです。

個人や部・チームといった個別ごとではなく「会社としてどうあるべきか」「会社として一番良い方法はどれか」と言った考え方が「全体最適」です。

全体最適の考え方が根付いた組織の場合、自分が相手に気遣うことは、巡り巡って会社のためにも自分のためになります。なぜなら、最終的な目的が同じだからです。

ですから、気遣いや思いやりに溢れた職場であれば、例え気遣いが苦手な人でも、気遣いをすることで相手にも自分にもメリットがあるので、次第に気遣いが出来るようになるという訳です。

これは、物理で習う「ベクトル」に置き換えて考えてみると分かりやすいです。
個人のベクトルの向きが「会社(組織)のベクトル(ex.経営理念)の向き」と同じであれば、打ち消し合うことなく、ベクトルの力は合わさります(1+1の力が合成され、2の合力となる)。

さて、全体最適の反対は「部分最適」です。
部分最適の場合、全体(会社)ではなく、個人や部・課といったレベルでの利益を優先してしまいがちになるので、周囲への気遣いや思いやりといった行動は起こりにくくなるでしょう。
例えば売上・ノルマ重視のギスギスした職場であれば、個人の利益(ex.売上高や契約数)が何より大事になりますので、自分の時間を使ってまで「周りを助けよう。周りに協力しよう」という気持ちは芽生えずらいです。むしろ、売上高や契約数を達成するために、周りを邪魔したり蹴落としたり、顧客の奪い合いが起こったりするものです。

当然ながら、そうした環境下では、例え気遣いや思いやりがある社員がいたとしても、段々とそうした行為を行わなくなります。なぜなら自分だけが損してしまうからです(おそらく気遣いや思いやりを認めてくれるような環境もない)。悪い意味で、環境に染まってしまう訳です。

「周りがするから自分もする」は、決して同調圧力ではない

周りから影響を受けて気遣いができない人ができるようになる、と聞くと途端に「それは同調圧力だ。けしからん」と否定する方もいるかもしれません。

同調圧力を嫌悪するのは、自分の意見をねじ曲げて周りに合わせなければならないことで、自分にデメリットが生じることが背景にあるのだと思います。

しかし、日本には古来より「情けは人の為ならず」という諺があります。
ある調査では4割以上の方が意味を間違えて覚えているそうですが、正しい意味は「人に親切にすれば、その相手のためになるだけでなく、やがてはよい報いとなって自分にもどってくる(goo辞書より)」というものです。

また、「GIVE&TAKE」(著:アダム・グラント、訳:楠木 健)では、GIVERとして、他者思考(相手の利益になるように)で行動しつつ、同時に自分の利益も蔑ろにしない(与え続けて、TAKERから搾取されないように注意する)ことが、成功する秘訣であると、研究結果も交え論理的に述べています。

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つまり、相手への気遣いや思いやりは巡り巡って自分のためになる訳ですから、自分にデメリットが生じる可能性は低い訳です。むしろ、全体最適がなされた企業であれば、気遣いによるメリットの方が大きいでしょう。

気遣いが気遣いを呼ぶ方法

「見出し:気遣いができるようになる環境とは?」の中で、「気づかいを当たり前のようにするチームの中に入ると、自分も気づかいをするようになっていく」と述べましたが、行動科学マネジメントの石田淳氏によれば、人間は「ある行動を取ることによって、望む結果が得られたり、何らかの報酬(金銭的・非金銭的問わず)があれば、その行動を繰り返す」と仰っています。

つまり、気遣いや思いやりによって、仕事がやり易くなったり、仕事の質が向上したり、コミュニケーションや人間関係が改善されたことを実感できれば、人間は気遣いや思いやりと言った行動を繰り返す可能性がある訳です。

例えば、「褒めない会社はサンクス(ありがとう)カードを導入-目的効果は組織のコミュ活性化や社員のモチベ向上」という記事を紹介しましたが、誰かがしてくれた気遣いをサンクスカードのような形で感謝の気持ちを伝えれば、気遣いをした人は「(気遣いを)して良かった」と感じて、また機会があれば気遣いをするでしょう。同時に気遣いをしてもらった人も、「自分がされてうれしかったので、今度は周りにもしてあげたいな」と思うかもしれません。このような好循環を作り上げることができれば、「気遣いが気遣いを呼ぶ」という環境ができます。

しかし、気遣いの究極形は「気づかれない気遣い」

サンクスカードなどを用いて、気遣いに対して感謝を伝えることはもちろん大事なことですが、気遣いには究極形というものが存在します。それは以下のようなものです。

きづかれない気づかいこそ「金」
(気づかいとは相手にきづかれなくても価値は変わらないもの。気づかいをしていることをアピールするような行為は、かえって価値を下げるおそれあり)
引用:「仕事も人間関係もうまくいく ANAの気づかい」(p.36)より

人間には認められたい、褒められたいという欲(いわゆる承認欲求)があるので、どうしても自分のやった善い行い(気遣い)に気づいて欲しいと思うものです。しかし、ANAの中では「相手に気づかれようとする気づかいは銀。相手に気づかれない気づかいは金」という考え方があり、相手や周りの人に気づかれようが、気づかれまいが、気づかいをする(行動に移す)ことこそが「金」だということです。要は何か見返りを考えているようでは本当の気づかいではないということです。

実際、気遣いの上手な人はいます。後になって「あれってその場では気づかなったけど、上手な気づかいだったんだな」と感じた経験はあると思います。

特に婉曲的な気遣いはなかなか気づかないものです。
例えば電車などで自分がケガをしていたり、体調が悪かったりして、それに気づいた乗客が席を譲ってくれた時に、相手から「次で降りるので席どうぞ」と言われれば、こちら側も「そういうことでしたら…。ありがとうございます」と席を譲られやすいものです。
それがそのまま言葉通りであれば問題ないでしょうが、もし譲った側の降車駅はまだまだ先で気遣いからくる行動だったとしたら?しかも、一旦車両を出て(降りるようにみせかけて)別の車両に乗り込むなんてやり方までしていたとしたらどうでしょうか?
おそらく譲ってもらった側はその真実には気づかないはずです。

ANAではこうした気づかない(気づかせない?)気づかいが最上級として捉えられているようですが、その背景には次のような考え方があるようです。

気づかれない気きづかいを積み重ねていくことは、きっと自分の将来に、そして周りの仲間たちの将来にとってプラスになる。そう考えるところに気づかいの本質がある。
引用:「仕事も人間関係もうまくいく ANAの気づかい」(p.39)より

「利他の精神」「達観した心境」ともいえるので、このレベルの気づかいは人間的にも成熟した人でなければ難しいかもしれませんね。

気づかいをするためには「想像力と観察力」が必要

周りに気遣い溢れる環境があることは大事な要素ですが、個人として必要な要素は、タイトルにもある通り「想像力と観察力」です。

「想像力」に関しては、「事前に一歩先を想像しておくことが大切」だと著書「仕事も人間関係もうまくいく ANAの気づかい」の中では述べられています。

「相手が何を望んでいるのか」「相手にAという行動をとって欲しいのであれば、その行動が起こしやすいように自らの言動を配慮する」といった具合です。

一方で、「小さな親切大きなお世話」という言葉もあります。

意味は、「自分では親切だと思ってやっていたことが、実は相手にとっては却って余計で迷惑以外の何物でもなかったという状況を表す言葉(pixiv百科事典より)」ですが、著書「仕事も人間関係もうまくいく ANAの気づかい」の中でも、眠りにつきそうなお客様に毛布を掛けたところ、「暑いんだよ」と怒られたことがあるという失敗エピソードが掲載されています。

機内で少し寒さを感じている方なら、毛布という気遣いはありがたいかもしれませんが、特に寒さを感じていなかったり、むしろ少し暑いと感じている方には有難迷惑な行為です。

こうしたことを防ぐためにも「観察力」が重要になってきます。

毛布の例でいえば、腕をさすっていたり、少し体を丸めて寒そうにしていれば毛布は必要でしょう。一方で、第一ボタンを外していたり、腕をまくったりしていれば、寒さとは無縁なはずです。このように相手の言動・様子を見て判断するために「観察力」が必要になる訳です。(「気遣いとお節介」の差も観察力の有無だと言われています)

声には出さないけど内心では「こうして欲しい。ああして欲しい」と思っている場合もあります。
また、発した言葉にも幾通りの意味が含まれているものです。
相手の言葉や行動をそのまま鵜呑みにするのではなく、想像力と観察力を駆使した先にこそ、真の気遣いが存在しているのだと思います。

まとめ

著書「仕事も人間関係もうまくいく ANAの気づかい」 によれば、「気づかいというものは、『あると良いもの』ではなく、『必要なもの』。必須のビジネススキル」だと述べています。また、一般的に部下が上司に対して「気遣うもの」といった認識があると思いますが、上下関係なく行うべきものとも述べています。
(ex.部下がコミュニケーション(報連想など)をとりやすいように、上司が気づかうなど)

実際、仕事やコミュニケーション、人間関係など、あらゆる場面で気遣いが求められています。
ちょっとした気遣いのおかげで仕事がやりやすくなったり、コミュニケーションが円滑になったりした経験がある方も多いと思いますので、ぜひ、気遣いある職場を目指して欲しいと思います。

【本記事のまとめ】
・気づかいができる人の特徴は…(引用:「ANAの気づかい」より)
 (1)気づかいとは、「相手のこと」を想像する習慣
 (2)気づかいとは、「一歩先のこと」を想像する習慣
・気遣いは癖や習慣であり、誰でも身に付けることができる
・そのためには、以下の2つが必要
 組織として:気遣い溢れる職場(気遣いが当たり前の組織であれば、自分も気遣いをするようになる)
       全体最適の考え方が浸透している職場
 個人として:想像力と観察力を磨く
この記事を書いている人 - WRITER -
経営コンサルタント(中小企業診断士)、人事・労務コンサルタント(社会保険労務士)。福岡生まれの熊本育ち。性格は典型的な「肥後もっこす」。 「ヒト」と「組織」の問題解決(人材教育・育成や組織変革)を専門とする。 また、商社時代に培った経験から財務・会計にも強く、人事面のみならず財務面からの経営アドバイスも行う。 他にも社会保険労務士、中小企業診断士や行政書士など難関国家資格を含む20個の資格にフルタイムで働きながら1発合格した経験を生かし、資格取得アドバイザーとしても活動中。
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