就業規則の作成は、HOP CONSULTINGにお任せ!相談・依頼は「お問合せ(メール)」より

心に働きかけ、行動に変化を。

5月10日はミスチルの誕生日(30周年)名言歌詞紹介ページはこちら!

【企業も組織も成長する人材育成の方法とポイント】事業計画に則った育成方針、計画・目標を上司部下間で設定しOJT手法で指導

 
OJTをしている写真
この記事を書いている人 - WRITER -
経営コンサルタント(中小企業診断士)、人事・労務コンサルタント(社会保険労務士)。福岡生まれの熊本育ち。性格は典型的な「肥後もっこす」。 「ヒト」と「組織」の問題解決(人材教育・育成や組織変革)を専門とする。 また、商社時代に培った経験から財務・会計にも強く、人事面のみならず財務面からの経営アドバイスも行う。 他にも社会保険労務士、中小企業診断士や行政書士など難関国家資格を含む20個の資格にフルタイムで働きながら1発合格した経験を生かし、資格取得アドバイザーとしても活動中。
詳しいプロフィールはこちら

今回は、人材育成の「方法」と「ポイント」について紹介したいと思います。

「人材育成」と「事業計画」は同等の重要度であり、一体不可分なもの

かの有名なピーター・ドラッガー氏は次のように仰っています。

「あらゆる組織が「人が宝」という。ところが、それを行動で示している組織はほとんどない。本気でそう考えている組織はさらにない。人材の育成こそ最も重要な課題であることを忘れてよいはずがない。」

理念や社是、社長メッセージ等で、「人が宝」「人を大切にする」「人材は人財」といった言葉が飛び交う中、それを地で行く企業は一体どのくらいでしょうか。ドラッガーの仰る通り、ほとんどないのかもしれません。

一方で、会社が策定する「事業計画」は経営層を中心に全社員が重要だと考え、必死で実行しようとします。何故なら、計画に則って日々の行動が行われるようになり、組織の力が結集できるからです。また、当然、計画を達成すれば給料・賞与の増加や出世など自分自身の報酬(利益)にも繋がるからでしょう。

しかしながら、

「企業が伸びているから人が育つのではなく、人が伸びているから企業も育つ」
という言葉があります。

順番が逆になってはいけません。企業の成長にとって大切なことは「売上高」や「利益」ではなく「人材育成」であるという認識を是非持って頂きたいのです。

「人材育成」と「事業計画」が一体不可分の理由

「人材育成」と「事業計画」が一体不可分だと考えるのには理由があります。

それは、事業計画によって、従業員に成長して欲しい能力(知識やスキルなど)が異なってくるからです。

例えば、事業計画が「売上高の増加」だとします。売上高の増加といっても色々な方法があります。事業計画書かれている「売上高の増加」の方法・手段(方針)によって、従業員に求められる行動(能力・スキル)は異なってきます。販路の拡大であれば、開拓能力や新規取引先を見極める与信管理能力、利益率のアップであれば製品・サービス等の提案能力、あるいはコスト削減に繋がる開発能力といった具合です。また、部や課の人員状況(人数や得意・不得意)によっても求められる能力は変わってきます。

もし、事業計画に則っていない育成方針・目標を立ててしまうと、あらぬ方向に力を入れることになり、企業の目標達成のために集中すべき力を無駄にすることになりかねません。人材育成方針・目標を立てる際には、事業計画に則って立てることが望ましいのです。

「人材育成」の方法は「OJT」が中心

(参照記事:「OJT研修とは?やり方・教え方は?マニュアル必要?時間がない、教えない、意味ないはダメ」という記事で、OJTやOFF-JTの意味、考え方・心得について説明していますのでこちらも参考にして下さい。)

「人材育成」と「OJT」は切っても切れない関係です。

社会人は、1日の大半の時間を仕事に費やすことになります。
就業時間後や土日に、e-Learning、社内外の研修、資格取得、専門書を読むといった方法で自己啓発は可能ですが、やはり仕事を通じて成長するのが一番効率が良いと言えます。
また、研修会、セミナーなどのOFF-JTは、一般的な基礎を学ぶものが多く、自社の特徴や企業風土に必ずしもマッチするものではなく、研修内容を実践するのが難しいこともあります。加えて、費用(参加人数×研修料×回数)の問題もありますので、「OFF-JT」は「OJT」の補助的な位置付けと考えておくべきでしょう。

しかし、実際に企業で行われているOJTを見ていると、無計画で、行き当たりバッタリな教育・指導が多いのが現状です。新入社員時代のOJTですら、ほとんど時間も期間もかけず、いきなり現場に放り出すといった企業も見受けられます。その割にいきなり過度なノルマを課したり、数字(結果)を求めたりと「やってること」と「言ってること」がチグハグな場合も多々あります。

何故、このようなことが起きるのかと言えば、それはやはり人材育成方針・目標をきちんと設定していないからだと思います。

例えば、登山の場合には、あらかじめ登るルートを決め、登山の道具・装備、登るペースなど計画を立てるでしょう。いざ登りだしたら、現在地を見ながら、自身の身体の疲れ具合、天候、時刻、あるいは方位を確認しながら登るはずです。登る道が間違っていれば引き返したり、方向転換するでしょうし、天候が悪くなりそうであれば、装備を変えたりどこかで休憩をしたりと様々な対応を行います。

ところが、行き当たりバッタリでOJTを行うということは、そういった登山の準備・計画を行わずに登り始めるようなものです。いざ、登り始めても臨機応変の対応が出来ず、遭難してしまう恐れもありますから、非常に危険です。

企業として、人材育成に力を入れるのであれば、まずはきちんと育成方針・目標を定めることをおすすめします。前の見出しで述べたように、事業計画に則った育成方針・目標を立てましょう。

OJT手法で大事なことは、「PDCAサイクル」を回すこと

PDCAサイクルの写真

前の見出しで「人材育成」=「事業計画」、「人材育成」=「OJT」だと述べました。事業計画とOJT共に重要なことは「PDCA」です。

まず、事業計画の策定を例にしてみてみましょう。

最初に行うべきは現状分析(直近の売上高、利益、利益率等)
そして、計画(Plan)を立てます。きっと会社の状況に応じて様々な目標(売上高、粗利益率、コスト削減○%)があるでしょう。

次に立てた目標をどのように達成するのか具体的な手段・方法を考えます。
新商品の販売、商品の拡販(販売先を増やす)、あるいは利益率アップ(コスト減)など様々な手段・方法が存在します。

そして、実際に行動(Do)してみます。行動してみると上手くいったもの、上手くいかないもの色々と見えてきます。

現状と目標とのGAP(差異)を把握(C)し、その差異の解消(A)を図ります。簡単に書きましたが、これがPDCAサイクルです。

「OJT」の手法も基本的には同じことです。

Plan:人材育成方針・計画の策定
Do:業務を通じた指導、実践
Check:現状と計画との差を分析、見直し
Act:改善

といった流れになります。

「PDCA」で大切なことは「P」と「C」

(参考:「OJT研修とは?やり方・教え方は?マニュアル必要?時間がない、教えない、意味ないはダメ」

「P」は「具体的な(育成)計画・目標を立てる」ということになります。手順としては、次の3点です。

(1)OJTの対象となる業務(どのような能力を育てたいのかまで絞り込めると尚良い)を定める
(2)育成期間を定める
(3)育成期間終了時にどのレベル(どの程度)まで出来るようになっていなければならないかを定める

特に3つ目が重要です。
これが定まっていないとPDCAの「C」の時点で困ることになります。
何故なら目指すべき水準が分からないと「あと、どの程度質が足りないのか。あるいは、(作業に)どの程度時間がかかりすぎているのか」といったことが判断できないからです。これは本人も困りますが、教える側も効率が悪くなります。また、人事評価の際にも、目標の達成度が不明確になり正しい評価が行えなくなります

「P:Plan」に関しての補足説明

実は、この手順(具体的な(育成)計画・目標を立てる)を行う前にやるべきことが2つあります。
それは、業務の棚卸と部下の能力の把握です。
業務の棚卸とは、「その部や課、チームにどのような仕事(業務)があるの」かということですが、これに加えて、その仕事(業務)にはどのような能力が必要なのかということを把握・整理しておかなければなりません。
そして、部下の能力の把握は、現在どのような能力を有しているのか(強み弱み)が分かっている必要があります。
この2つを行うには、上司の高いマネジメント力が必要となることは言うまでもありません。以上、「Plan」に関しての補足説明でした。

次に「C」は「計画と現状とのGAP(差異)を評価、分析」です。
目指すべき目標にどれだけ足りないのか、目標達成を阻害している要因は何なのか、そういったことを評価、チェックしていきます。
また、同時に部下が実際にやったこと(成果物)に対して、適宜フィードバックを行いましょう。良かった点、悪かった点やどうやったら更に良くなるかを話し合い改善や内省を促して下さい。
部下の成果物に対して、「部下に指摘してやり直させるよりも自分でやった方がいい」などと思って、何も言わないでいると、部下は「成果物のレベルはあれで良かったんだ」と勘違いしてしまう危険もあります。

人材育成方針・目標を立てる(P:Plan)際は、上司部下間で同意(コンセンサス)を得ること

人材育成方針・目標を立てる際に注意して欲しいことが、上司部下間できちんと話し合い、お互いの納得の上で方針・目標を立てるということです。

これが出来ていないと、部下のモチベーションも低いままでイヤイヤやることになり、計画倒れになりかねません。

従業員である以上、会社の事業計画に従うのは当然のことです。そこに異論はないでしょう。
次に、事業計画を部や課のレベルに落とし込み戦術を練ることで、計画達成のために具体的に何が必要か、どんな行動が求められるか、そういったことが顕になります。それらを各従業員の現状(能力やスキル)に応じて割り振っていくことになります。

その時大切なのが、冒頭に述べたように同意(コンセンサス)を得ることです。

・現状、こうした能力が足りない(もう一歩)からその能力を伸ばして欲しい。
・将来、こうした仕事をしてもらいたいから、今期はこういうことをやって欲しい。
・君はこういう能力が高いので、それを活かした仕事を任せたい

など、そうした求める背景、目的をしっかりと伝えることがコンセンサスを得る第一歩です。部下がどのようなことに秀でていて、何を苦手にしているのか。あるいは、部下はどのような能力を伸ばしたいと思っているのか。そうしたことを察知、把握できるように日頃からコミュニケーションをとっておく必要があります。

「行動するには(行動)理由が必要」

理由が明確な方が納得感を得るので主体的に行動できます。
上司から部下へ「何故こうして欲しいのか」。その理由を会社の方針や上司としての自分自身の気持ちも含めてしっかり伝えることが大切です。

OJTで役立つ言葉(名言)はやはりコレ

海軍の船の写真

OJTで役立つ言葉はやはりこの人でしょう。
皆さんご存知の元帥海軍大将、連合艦隊司令長官の山本五十六氏。

「やってみて、言って聞かせて、させてみて、褒めてやらねば人は動かじ」

これはOJTの基本とも言えるべき事柄を上手く表現した有名な言葉です。
言葉の解説は色んな所でなされているので、個人的な感想を2つ述べておきます。

一つ目は、一番最初に「やってみて」という言葉が来ている事でしょう。
ほとんどのOJTが、言って聞かせて(口頭で説明して、その通りやれるかどうかを見る)が最初に来ていると思います。
まずは、自分がやってみる。これには色んな意味があると思います。

一つは、率先垂範ということです。
「やってみて」には「自分がやれる」ということが大前提となるということです。
「大きな声で挨拶するように」と指導されても、上司が小さい声で挨拶していたら部下はどう思いますか?
「口ばっかり」「言ってることとやってることが違う」という反応になるのが普通だと思います。

また、「やれる」からこそ、「言って聞かせる時」に、我が身を振り返ることが出来ます。自分の実践しているレベルや少し足りない部分、改めて理解を深める部分が生じます。それがOJTをする側(教える側)の成長を促すことにもなります。

2つ目が、「褒めてやらねば人は動かじ」です。

皆さん社会人になって褒められたことがどのくらいありますか?
怒られる、叱られる、注意されると言った経験は数えきれないくらい…それこそ夢にも出てくるほど!?
では、褒められた経験はどうでしょうか?
(ありがとうと言われることはあると思いますが)残念ながらその機会は少ないはずです。
「褒めること」はモチベーションアップにも繋がります。「褒める」と「叱る」の割合は「8:2」とか「7:3」とか書籍等で言われていますが、共通することはいずれにしろ「褒める」の割合の方が高いということです。
ですから、「仕事をして褒められた記憶がない」なんてことは本来はあり得ないはずです。「褒める」と言っても何も難しいことはなく「小さな事でも良かった点を口に出して褒めてあげる」と言う気持ちで大丈夫です。
「褒める」ということの重要性をOJT側(指導する側)に忘れさせないという意味でも、OJTの際には山本五十六氏の名言を常に頭に浮かべておきたいものです。

育成の対象は「知識」や「スキル」だけではない

人材育成の分野では、「従業員の能力を育てる」といった言い方をしますが、「能力」とは具体的に何でしょうか?

一般的には、「知識」、「スキル(技術)」といったものが思い付くと思いますが、この他にも、「態度」や「習慣」といったものも該当します。「態度・習慣」といった中には、「マナー」や「考え方」、「価値観」といったものも含まれます。

「考え方」や「価値観」はなかなか変えられるものではありませんが、「態度」「マナー」といったものは、社会人として最低限身に付けてもらいたいものです。
最近では従業員が何か問題を起こせば(バイトテロなど)、すぐにネットやSNSに上がります。そこからニュースで取り上げられ、あっという間に「炎上」といった事態になります。

「知識」や「スキル」だけではなく、「人として、一人の人間として…あるべき姿」の部分の育成もお忘れなきように。

OJTを成功させるには上司(OJTを行う側)の役割が重要!

「OJT研修とは?やり方・教え方は?マニュアル必要?時間がない、教えない、意味ないはダメ」でも同じようなことを述べていますが、OJTが上手くいく、上手くいかないかは、上司(OJTを行う)側の役割にかかっています。
つまり、指導力に左右されると言えます。

指導力と言っても、知識、スキル、OJTに対する姿勢・考え方など複合的です。
例えば、スキル一つとっても色々とあります。
目標管理・進捗などの管理スキル、コミュニケーションスキルや傾聴のスキルもあれば、叱るスキル、モチベーションを高めるスキル、そして褒めるスキル、公正な評価をするスキルなど。

姿勢や考え方も同様です。
部下を育成するOJTが会社にとってどれだけ重要かを本当に理解しているかどうか、時間がない、忙しいなどを理由にして部下をぞんざいに扱っていないか、従業員をサポートする姿勢があるか。

など、部下以上に上司に求められるものは多いです。
ですが、これから先は、部下を指導、育成する能力は、上に上がるため(出世するため)には必須の能力と言えます。上司自身もそして今後部下を持つ立場になる方も日頃の業務を通じて、己の能力を伸ばす努力をしておく必要があることを忘れないで下さい。

社員が育たないのは経営者自身に問題があることも(多い)

「どうして社員が育たないんだ」と嘆く経営者の方は、「人材育成」、「OJT」の重要性を本当に理解し、そのためのサポート(環境的な支援も含め)を上司(或いは従業員)に対して行なっているか、と言ったことをもう一度見つめてみて下さい。

必要以上に、叱責して社員のやる気を削いだり、過度な残業で従業員を疲労困憊に陥らせていたり、自覚がないだけで経営者自らが従業員の成長の阻害要因になっていることもあります。十分、気をつけましょう。

まとめ

最後にまとめると、

事業計画に則った人材育成方針・計画・目標を設定
→事業計画達成に必要な能力が成長
→事業計画達成
→結果、企業も組織も成長!

という流れになるため、「【企業も組織も成長する人材育成の方法とポイント】事業計画に則った育成方針・計画・目標を上司部下間で設定しOJT手法で指導」というタイトルで本記事を書きました。

もちろん、上司・部下のスキル、知識、経験、外部環境など様々な要因が絡み合うので、上記に書いたフロー(流れ)のように簡単には進まないのが現実ですが、目指すべき流れはこれになります。

人材育成には時間がかかります。
育成方針・計画・目標をしっかりと立てておかないと、気付いた時には必要な人材がいない、或いは育っていないという事態になります。
事業計画+人材育成方針・計画はセットで考え、長期的視点で経営していくことが肝要です。

この記事を書いている人 - WRITER -
経営コンサルタント(中小企業診断士)、人事・労務コンサルタント(社会保険労務士)。福岡生まれの熊本育ち。性格は典型的な「肥後もっこす」。 「ヒト」と「組織」の問題解決(人材教育・育成や組織変革)を専門とする。 また、商社時代に培った経験から財務・会計にも強く、人事面のみならず財務面からの経営アドバイスも行う。 他にも社会保険労務士、中小企業診断士や行政書士など難関国家資格を含む20個の資格にフルタイムで働きながら1発合格した経験を生かし、資格取得アドバイザーとしても活動中。
詳しいプロフィールはこちら

- Comments -

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

Copyright© HOP CONSULTING , 2019 All Rights Reserved.