就業規則の作成は、HOP CONSULTINGにお任せ!相談・依頼は「お問合せ(メール)」より

心に働きかけ、行動に変化を。

5月10日はミスチルの誕生日(30周年)名言歌詞紹介ページはこちら!

会社で定期的なコンプライアンス、パワハラ・セクハラ防止等は研修教育が必要な理由

 
セミナーの写真
この記事を書いている人 - WRITER -
経営コンサルタント(中小企業診断士)、人事・労務コンサルタント(社会保険労務士)。福岡生まれの熊本育ち。性格は典型的な「肥後もっこす」。 「ヒト」と「組織」の問題解決(人材教育・育成や組織変革)を専門とする。 また、商社時代に培った経験から財務・会計にも強く、人事面のみならず財務面からの経営アドバイスも行う。 他にも社会保険労務士、中小企業診断士や行政書士など難関国家資格を含む20個の資格にフルタイムで働きながら1発合格した経験を生かし、資格取得アドバイザーとしても活動中。
詳しいプロフィールはこちら
本記事は、コンプライアンス(法令遵守)研修、パワハラ・セクハラ防止研修等についての具体的な研修内容に言及した記事ではありません。研修の前段階の「何故定期的な研修を行う必要があるのか」に焦点を当てた記事です。なお、パワハラやセクハラ防止研修等については別記事で改めて言及したいと思います。

新しい年度となったこの時期。(投稿時点:2021年4月30日)
会社(学校等含む)では新しく入った方向けに様々な研修が行われていることでしょう。

中でも、コンプライアンス研修(法令順守等)やセクハラ・パワハラ防止研修のように、一度やればそれでおしまいというものではない種類の研修もあります。

ですが、そうした定期的な研修に関しては、社員も段々と慣れが生じてくるので、研修に対するモチベーションが下がってきます。
もし研修が退屈な内容になっているとすれば、それは研修する側の力量不足とも言えます。
ですから、どんな研修内容であっても、どうやって受講者の興味を引こうか、いかにして退屈させないようにするか、といった視点での工夫を忘れないようにしたいものです。

当事者意識をもたせる

「自分には関係がない」
そう思っているからこそ、研修内容に興味が持てず、退屈だ、無駄だと感じてしまう訳です。
であれば、いかに受講者(社員)に当事者意識を持たせるかということが大切になってきます。
研修の必要性を訴え、自身のうぬぼれ(研修内容の軽視)を自覚させ「自分の身に起きるかもしれない」と思わせることが必要です。

定期的に研修する理由(必要性)について

何度も似たような研修を行っていると、「前にも聞いた」「言わなくても分かってる」と言った反論があるものです。ですが、会社として重要だと考えること(コンプライアンス、パワハラ・セクハラ防止等)は、例え「聞き飽きた」と揶揄されても、続けていくことが非常に大事です。

これに3つ理由があります。

理由1:人は忘れる生き物だから

一つ目は、人は忘れる生き物だからです。

幾ら口を酸っぱくいったとしても、人は時間の経過と共に忘れてしまう生き物です。

例えば、無印良品の元会長・松井忠三 氏によれば、社員にどれだけ会社の考えを伝えたとしても、1ヶ月後には社員の98%ぐらいの人が忘れていると、おっしゃっています。

最近の若い世代の方は知らないかもしれませんが、2000年に雪印乳業(現:雪印メグミルク)の乳製品による集団食中毒事件が発生しました。その時の被害者(事件の認定者)は13,420名にものぼり、第二次世界大戦後最大の食中毒事件となっています。(詳しくは、「雪印集団食中毒事件/Wikipedia」をご覧下さい)

実はこの雪印乳業。
2000年の事件の45年前。1955年にも、同様の食中毒事件を起こしています。(小学生1,936人に食中毒の症状。詳しくは「雪印八雲工場脱脂粉乳食中毒事件/Wikipedia」をご覧下さい)
しかも、1955年、2000年の事件のいずれも、機械設備の停電により原料乳の管理が疎かになったことが原因と言われています。
2000年当時、雪印乳業は、乳業トップ・食品業界でも屈指の巨大企業グループに成長していたのですが、過去の教訓を活かせず再び同様の食中毒事件を再発したという訳です。

こうした話をすると、「なぜ、二度も同じような事件を起こしてしまったの?」と…不思議に思う方がいると思います。

当然ながら、一度目の1955年の事件での教訓を忘れないようにと、当時の社長が「全社員に告ぐ」と言うタイトルで全社員に伝えた言葉があります。
この「全社員に告ぐ」は、(事件のことを忘れるべからずと言う教訓の意味も込めて)毎年入社式に新入社員に配布されていたそうです。

しかし、1986年をもって配布が中止になっていたそうです。
(中止の理由は諸説あるようですが本当の所は関係者のみしか分からない)

当然、それ以後の新入社員はその事件の詳細を知らずに過ごすことになります。
当時は今と違ってインターネットが発達しているわけでもなく、1953年に白黒テレビの登場&アナログ放送の開始、1960年にカラーテレビ登場。1986年頃は白物家電の普及率が98〜99%に到達したような時代です。
ですから、今のように社外の人間が事件の詳しい内情まで知ることは出来ません。
そうした背景もあってか、2000年の事件当時の社長は1955年の雪印八雲工場脱脂粉乳食中毒事件を直接知らない世代だったそうです。

「もし」という仮定の話を議論しても意味はありませんが、仮に「全社員に告ぐ」が途切れることなく配布されていたら、2000年の事件は起きなかったのではないか?と勘ぐってしまいます。

食べていかねば生きていけない、我々にとって「食品」はなくてはならないものです。
そして、食品を扱う会社にとって「安心安全」の商品を提供することが何より一番重要であることは、素人でも分かることです。
一度目の1955年の事件でお客様の生命を脅かし、売上減少、ブランド価値の毀損等多大な損害を出した上で得た貴重な教訓であっても、いつの間にか時間の経過とともに忘れてしまい再び同じような事件を起こしてしまったということです。

確かに何度も同じことを繰り返されると飽きた、もう十分わかっていると感じてしまうものです。
ですが、その研修が会社にとって重要なものであれば、誰になんと言われようが継続する必要があります。
もしかしたら、「今年から、やらなくて良いか」と考えている、教育・研修があなたの会社にあるかもしれません。本当に不要かどうか、止める前に一度考えてみることをお勧めします。

下記に1955年の「八雲工場食中毒事件」の際に当時の社長が発した「全社員に告ぐ」の一部を引用文として掲載しています。
「使う人間の精神と技術を製品に現わす」という言葉は、現代で問題となっている、煽り運転やUber Eats等の自転車のトラブルや最近あった地下駐車場での不活性ガス(CO2)消化設備の誤動作など、2021年となった今でも十分通用する内容だということに改めて気付かされました。

当社の事業において唯―人の怠る者があり、責任感に欠ける者がある場合、それが社会的に如何なる重大事件を生じ、社業に致命的影響を与えるものであるかは今回の問題が何より雄弁にこれを物語っておりわれわれは痛切にこれを体験したのである。

・・・中略・・・

信用を得るには永年の歳月を要するが、これを失墜するのは実に一瞬である。

・・・中略・・・

機械はこれを使う人によって、良い品を生産し、あるいは不良品を生産する。
いかに近代的な優秀な機械と雖も、これを使うのは結局人間であって、人間が機械に使われるものではない。
この機械を如何に活用するか、その性能を百パーセント発揮するか否かは実にこれを使う人間にあるのである。
そして人間の精神と技術とをそのまま製品に反映する。
機械はこれを使う人間に代って仕事をするものであり、進んだ機械程敏感にその精神と技術を製品に現わすのである。

引用:「全社員に告ぐ」/当時の雪印乳業株式会社 社長 佐藤 貢 氏の言葉

理由2:組織は変化する生き物だから

二つ目は、組織は変化する生き物だからです。

既存の社員にとっては聞いたことのある内容かもしれませんが、新しく入ったパートさんや派遣社員さん、或いは新入社員にとっては初耳となります。
(逆に、「うちは、ずっと同じメンバー。新しい人なんか入っていない」と言う会社であれば、新陳代謝が進んでおらず、それはそれで問題だと思います)。

例えば、新入社員の入社によって新しい風や文化、価値観が入ってきます。
それはプラスに作用することもありますし、逆にマイナスに作用することもあるでしょう。
また、既存の社員にも内外の影響によって変化をもたらします。

その典型がゆでガエル現象です。
人間は慣れてしまう生きものですから、異常にも気付きにくくなります。
そして「普通」と思っていたことが、いつの間にか「異常」に変化していることもざらにあります。

例えばパワハラ・セクハラなどは、最初の頃はちょっとしたいじりやからかいといった気持から始まったとしてもいつの間にかエスカレートして過剰になっていたりするものです。
犯罪を例えに出すのはあれかもしれませんが、横領の場合も最初は罪悪感もあり少額で始まりますが、慣れてくると一転大胆になり一度に多額の横領をするとのと同じことです。

研修という形で、改めて正しい世間・常識の考えに触れさせることで、素面のつもりがいつの間にか酔っていたことに気づかせることにもなる訳です。

理由3:社内で共通の意識や考え方が醸成できればそれは一つの基準(行動指針)となる

グループワークの写真

3つ目は共通の意識や考え方を持つことが出来るということです。
それは、社員に一つの基準(指針)が生まれるとも言えます。

社員も人間ですから、個々の考えや感覚で行動することも多々あります。
勿論、「個性を活かす」という考え方は重要ですが、場合によっては考えや判断を統一すべきものもあります。
タイトルにも載せているように、コンプライアンス(法令遵守)、パワハラ・セクハラといったものに対する考えは会社としてのスタンスも含めはっきりとさせておくべきことです。
(例えば、違反した場合は就業規則、ルールに則り厳正に対処する等)

同じ事柄に対して、AさんはXと考え、BさんはYと考えることのないよう、また、(仮にXという答えが正しいのであれば)BさんのYという認識をXと変えられるように、会社として研修を通じて「答えはXだ」と示しておけば、周りの人もBさんが間違いだということを指摘しやすくなります。

こうした会社としてXという考え(基準)が示されていないと、それこそ個人の感覚や考えに判断を任せることになり、三者三様の結果を生んでしまい収拾が困難になってしまうということです。

理由1や2で述べたように、時の経過は大事なことを忘れさせたり、劣化・風化させたりします。
自分一人では維持できなくても、会社全体でこうした共通の意識や基準を持ち続けることで、忘れや変化への予防にも繋がるということです。

おまけ:出来れば自前(社内)研修が理想

外部の講師を呼んで研修する場合もありますが、出来れば内製化(社内の人間で研修する)が理想です。
(研修する社員は大変かもしれませんが)

理由はいくつかあります。

一つ目は、研修内容によりますが、自社の文化や風土が分かっている人(社員)が研修をする方が、受講者(社員)に内容が届きやすいということです。
例えば、自社の状況を良くわかっているので研修内容に濃淡が付けられたり、社内の内情をもとに具体例として挙げたり、問題提起したり、社員たちにとってより身近な話をすることで研修に集中させ効果を高めることが出来ます。また、内製化しておけばそれを他の社員への業務移管に合わせて、リニューアルし最新の状態に保つことも可能です。

二つ目は、コンプライアンスやパワハラ・セクハラ防止研修など、定期的に行う必要がある研修であれば、研修費用の節約にも繋がります。費用があまりかからず開催が容易であればあるほど、年1回、半年に1回と言った定期的な開催が行いやすくなり、いつの間にか風化してしまうといったことへの予防にも繋がります。

その他、研修後に社員が理解できなかった所を補足説明したり、個別質問への対応も行うこともできます。

まとめ

【書評:マニュアルの目的効果・作り方コツの伝授本】無印良品は、仕組みが9割のまとめでも述べた通り、ただ研修を行うのではなく、「なぜ研修を行うのか」「この研修にはどういう意味があるのか」「研修をした後と前ではどうなって欲しい(どう変わってほしい)のか」といった研修の意味・目的をきちんと説明して当事者意識をもたせておくことで、研修に対する社員の意識を変えることに繋がります。

【本記事のまとめ】
当事者意識をもたせる
定期的に研修する理由(必要性)について
(1)人は忘れる生き物だから
(2)組織は変化する生き物だから
(3)社内で共通の意識や考え方が醸成できればそれは一つの基準(行動指針)となる
この記事を書いている人 - WRITER -
経営コンサルタント(中小企業診断士)、人事・労務コンサルタント(社会保険労務士)。福岡生まれの熊本育ち。性格は典型的な「肥後もっこす」。 「ヒト」と「組織」の問題解決(人材教育・育成や組織変革)を専門とする。 また、商社時代に培った経験から財務・会計にも強く、人事面のみならず財務面からの経営アドバイスも行う。 他にも社会保険労務士、中小企業診断士や行政書士など難関国家資格を含む20個の資格にフルタイムで働きながら1発合格した経験を生かし、資格取得アドバイザーとしても活動中。
詳しいプロフィールはこちら

- Comments -

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

Copyright© HOP CONSULTING , 2021 All Rights Reserved.