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働き方の教科書から見る働き方改革の課題「生産性向上・長時間労働」対策失敗の原因は効率化にある

 
上手くいかず途方に暮れる男性の写真
この記事を書いている人 - WRITER -
経営コンサルタント(中小企業診断士)、人事・労務コンサルタント(社会保険労務士)。福岡生まれの熊本育ち。性格は典型的な「肥後もっこす」。 「ヒト」と「組織」の問題解決(人材教育・育成や組織変革)を専門とする。 また、商社時代に培った経験から財務・会計にも強く、人事面のみならず財務面からの経営アドバイスも行う。 他にも社会保険労務士、中小企業診断士や行政書士など難関国家資格を含む20個の資格にフルタイムで働きながら1発合格した経験を生かし、資格取得アドバイザーとしても活動中。
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2019年の4月から順次施行されている働き方改革関連法案。
その中で課題の一つとなっている「生産性向上」に目を向けたいと思います。

と言っても、
今回は、書籍「働き方の教科書」(著者:新将命)の内容を踏まえた上で、生産性向上の成功事例等ではなく、「生産性向上・長時間労働」対策が上手くいっていない原因を考えてみたいと思います。
面白いことに「働き方の教科書」に書かれている生産性の定義から見ていくと、働き方改革で求められている「生産性向上」が上手くいっていない原因(理由)が朧げながら見えてきます。

そもそも生産性とは?

「働き方の教科書」では、生産性を次のように定義しています。

「生産性」=「効果」×「効率」

つまり、「生産性向上」のためには、効果と効率の両方を高める必要があると言うことです

多くの企業がやっていることは「効率化」

効率化を表す写真

生産性向上が失敗に終わっている企業の原因も、この「効果と効率、そして生産性」の切り口から一応の説明が出来ます。

結論から言えば、上手くいっていない原因は、「効率の追求(効率化))ばかりしていて、「効果」の方がなおざりになっているからです。

そもそも、生産性を高めるために、
「効果」と「効率」のどちらが重要かと言えば、ダントツで「効果」が重要となります。

しかし、生産性向上と聞くと、新しい設備の導入や従業員個々人のスキルの向上を図ることで仕事の効率化を図るという方法が一番に思い付くようです。

実際、経営者の皆さんも、従業員を研修会に行かせたり(例えば、パワーポイントやエクセルの基本・応用操作を覚えさせたり)、新しい設備や新しいPCやソフトウェアなどの導入といったことを実施していると思います。

もちろん、属人化された作業を機械化(AIも含む)することや最新機器の導入が、生産性向上に一役買うことは間違いありません。

ですが、こうした対策はいずれも「効率」に該当するものです。

先ほど述べたように、「生産性」を高めるためには、まず「効果」。そして「効率」の順に考えていく必要があります。
「全く重要ではない仕事(取引先やサービス)」を、最大の「効率」でこなしたところで何の意味もないのですから。

「効率」よりも「効果」を重視せよ!

効果を表す写真
「効果」とは「効果の高い仕事や作業」ことです。

ビジネス世界の言葉に置き換えれば、ある一定のコスト(費用・労力)をかけた時、より売上や利益が上がる取引先や商品、サービスを優先するということです。

「効果の高い仕事を選ぶ(優先する)」ということは「効果の低い仕事」を減らしたり無くしたりしなければなりません。なぜなら、両者はトレードオフの関係にあるからです。

「【書評レビュー・可処分時間】「働き方の教科書」(新将命・伝説の外資トップ)の感想・要約」の記事の中で、「耶律楚材(チンギス・ハンの補佐役)」の言葉を紹介しました。

①一利を興すは一害を除くに如かず
②一事を生やすは一事を減らすに如かず

(意味)
①有利なこと(利益となること、良いこと)を一つ始めるよりも、悪いこと(有害なこと)を一つやめた方が良い
②何かを新しく始めるよりも、無駄なことを一つ減らす方が良い

引用:耶律楚材の言葉より

人間は、どうしても増やしたり新くしたりすることに価値を見出しがちです。
新しく始めたことは目立ちますし、周りへのアピールも出来ますので、己の虚栄心も満たされます。
ですが、気持ちはそうであったとしても、耶律楚材は「やめたり、なくしたり、減らすことの方がはるかに重要」だと説いている訳です。

この教えに従えば、例えば、一定の売上が上がっていたものの、手間ばかりかかっていた取引を止めたり、売上の割に利益が僅少な取引先を見直し、必要があれば取引を制限したり、中止したりすることが大切だと言うことです。

耶律楚材という偉人を紹介しましたが、現代でも同様のことを仰られている方がいます。当時、オンライン証券取引を先駆けて導入した松井証券の代表取締役である松井道夫氏の言葉です。こちらも「捨てること」の大切さを伝えています。

すべて捨てることが先。
捨てて初めて新しいものが入ってくる。

過去のものをとりあえず置いておいて新しいことが成功したら捨てようというと、みんな賛成します。
でも、その方法は大体失敗しますね。

引用:松井証券株式会社、代表取締役社長・松井道夫氏の言葉(名言)

おまけ:効率化の限界

効率化の限界を考えてみたいと思います。ここでは例として日頃から社内で作業を行なっている事務職を見てみたいと思います。

ある程度の従業員がいる場合、事務職も2極化していることが多いです。
一つは、抱える業務量が多く、毎日、フルスロットルで働くことでなんとか回している事務職と、抱える業務が少なく、仕事が足りない(早く終わってしまう)ため、本来必要ではない無駄な作業を増やして帳尻を合わせている事務職の2パターンが存在します。

基本的にこの2極化は、従業員が優秀か否かで生じることが多いですが、優秀であっても上司や他の従業員が権限委譲が出来ずにいるため、仕事が来ない(仕事を任せてもらえない)と言うパターンもあります。
これは逆の面から見れば、自分の仕事が減ると自分の存在価値が否定されるため、他に渡さず懐に抱え込んでおきたいという意識が働いている従業員がいることを示しているとも言えます。。
この場合は、使える優秀な戦力が無駄になっているので、組織としても非常に勿体ないです。

さて、こうした事務職の2極化はあるにしろ、ある程度キャリアの積んだ方で従業員であれば、事務作業の効率はほとんど最適化している可能性が高いと思います。

このような状態で前に述べたような「効率化」を図っても、生産性の向上にはあまり寄与しません。従業員からしてみても、「これ以上どうしろと…」と言うのが本音でしょう。
そうなると、効果がありそうなのは「社外へのアウトソーシング」や「作業自体をなくしたり」、或いは「業務量が多い事務職の仕事の一部を業務量が少ない事務職に移管させ、その分、無駄な作業を削る」といったことが考えられます。
いずれにしろ、効率化を一定の所まで高めると、減らすこと、やめることを考えざるを得ないと言うことです。

リーダー(経営者・上司)には、結果責任(アカウンタビリティ)が必要

「やめなさい、減らしなさい」と言うのは簡単ですが、「言うは易く、行うは難し」という諺の通り、実際に行うのは難しいことは重々承知しています。

長年の取引先であったり、他の取引先からの紹介であったりと、様々な「しがらみ」があります、商品やサービスに関しても同様です。
他にも、売上や利益以外の数値として直接目に見えないもので言えば、例えば、昔からやっているからという理由で続けている会議や書類作成なども、もう一度「効果」を確認する必要があります。

きっとそこには「やるべき」「続けるべき」最もらしい理由が転がっていることでしょう。「むしろ、やめる理由よりも『やめられない、続けるべき理由』の方がはるかに多いはず」です。

そうした状態だからこそ、リーダーには結果責任(アカウンタビリティ)が求められるのです。

結果責任とは何か?

一般的に「結果責任」とは、「ある行為によって発生する結果に対することの責任のこと」です。
アカウンタビリティと言う英語よりも、「ケツを持つ」、或いは「殿(しんがり)を務める」という表現の方が日本人には分かりやすいかもしれませんね。

「結果責任(アカウンタビリティ)」を果たすには何が必要か?

本書での「結果責任」とは、リスクをとってアクションを起こして、初めて果たすことができるものと述べてあります。

これに関して、「働き方の教科書」では、「三識」と「情報量×アクションのマトリックス」を用いて「結果責任」について述懐してあります。

「三識」とは?

「働き方の教科書」によれば、「三識」とは、「知識」「見識」「胆識」の3つを指します。

それぞれ簡単に説明すると以下のようになります。

  1. 知識:書籍やテレビ、インターネットなどから得た情報を沢山頭の中に蓄えていること。物知り
  2. 見識:「知識」に「私はこう考える」という自分なりの考え方を加えたもの(知識+自分なりの考え方=見識)。話す人であり、書く人(コメンテーターや評論家)
  3. 胆識:見識(知識+自分の考え方)+決断力+断行力


さて、「1.知識や2見識」と「3.胆識」との決定的な違いはなんでしょうか?




その違いが、まさに「結果責任(アカウンタビリティ)」です。
「2.見識(人)」として、コメンテーターや評論家を想像して貰えば分かりやすいでしょう。TV等での発言内容に関して自ら何か責任を取ることはありませんからね(発言内容によっては、炎上することはあるかもしれませんが…)。

別の言い方をすれば、知識人「考動」の人であり、見識人「口動」の人。
そして、胆識人「行動」の人です。

当然、ビジネスパーソン(或いはリーダー)として求められるのは、胆識人です。しかし、胆識には、見識に加え、「決断力と断行力」が漏れ無くセットで付いてきます。

この決断力と断行力について、「働き方の教科書」では以下の「情報量×アクション」のマトリックスを用いて説明しています。

情報量とアクションのマトリックス
情報量とアクションのマトリックス
(著:新将命、「働き方の教科書」より)

情報量という観点から見ると、情報が十分揃って行う「決定」と「実行」はローリスク。一方で、情報が不十分な状態で行う「決断」と「断行」はハイリスクに分類されます。

実際、ビジネスの世界では、情報が十分に集まった状態で意思決定を下すという機会はあまりありません。重要な意思決定であれば尚更でしょう。

かといって、情報が出揃うのを待っていたら(そもそも情報が出揃うこと自体が稀ですが…)、ビジネスチャンスを逃してしまいます。
事実、「先行者優位」というマーケティング用語があるように、「明日の100点満点よりも、今日の80点の方が価値がある」ということがビジネスの世界ではままあります。

だからこそ、リーダーは情報が不十分の中でも「決断」という意思決定を行わなければなりません。また、自ら下した「決断」を「断行」というアクションに繋げなければ、それこそ何も起こりません。

結果責任とは、つまるところ、「ヤル人」です。言った以上、決めた以上、やり抜くことが大切です。リーダーには、そうした胆識人(見識+決断力+断行力)としての姿が求められます。

「効果の高い・低い」を判断し決断するのはリーダーであるべき理由

繰り返しになりますが、
「結果責任」とは、リスクをとってアクションを起こして初めて果たすことができるものです。

「リスク」を取るとは、痛みを伴う可能性のある意思決定とも言えます。
そして、生産性を高めたいのであれば、「効果の高い」仕事を選び、「効果の低い」仕事を減らしたり、無くしたりする必要があるということは前に述べた通りです。

効率の高い・低い仕事を判断し選ぶとは、リスクを取ることと同義です。
そして、こうした判断は、一般社員には荷が重いものです。
なぜなら、当然、今まで存在していた何か(取引先や商品、サービス、業務)を減らしたり、なくせば、その反動(売上・利益の減少など)が生じます。
特に、売上や利益といった目に見える数値は、自分の評価に直結するので、減らすことや、なくすことに、当然二の足を踏みます。
もちろん、その分、効果の高い仕事をすることで、痛み以上の利益(ベネフィット)が得られれば万々歳ですが、どうなるかは不透明です。

そもそも、人間とは変化を拒み、安定を好むものです。
取引先にしろ商品、サービス、事務作業等の業務にしろ、それ自体が目に見えるほどの害悪を及ぼしていなければ、「そのままで良い」と判断してしまいがちです。

例えば、
皆さんも、パレートの法則(別名:「8:2の法則」)を聞いたことがあると思います(2割の顧客で売上の8割を上げているという法則)。
法則に従い、優良顧客の2割に集中するのも一つの方針でしょうし、リスク回避の観点から、次の優良顧客を育てるのも作戦の一つです。
何かに力を集中するということはトレードオフの関係から、何かを減らすということです。あまり売上に貢献していない8割の顧客のうち、一定の顧客を切ることも必要となります。
こうした判断、決断は一般社員では非常に困難です。なぜなら、リスクに見合うだけの権限与えられていないのみならず、それを行うだけの能力も身につけていないからです。

だからこそ、リーダーには、判断、決断、断行という胆識の三断をやりくりし「最後のケツは俺が持ってやるからな」「殿(しんがり)は任せろ」という「結果責任」が必要となる訳です。
例え、ある決断の結果、部下の売上が減ろうとも、この決断を最終的に下したのはリーダーである自分なのだから、その結果責任は自分にあり、部下にはない、と口だけでなく実際に行動でも示さなければなりません。

リーダーにそうした姿勢があれば、部下は安心して目標に向かって取り組めます。リーダーもまた「決断」を「断行」できるように、部下を後ろからフォローすることを忘れてはなりません。間違っても、最後に梯子を外して、部下に結果責任を押し付けたり、といったことがないようにして下さい。

おまけ:そもそも殿(しんがり)を務めるには相応の資質が必要

「殿(しんがり)」は、敗戦の時に最後尾で敵の追撃を命を賭して押さえる役割なので、「殿(しんがり)」=「捨て駒」のイメージを持つ人がいらっしゃるかもしれませんが、それは誤りです。

古来より、殿(しんがり)は、武芸や人格に優れた人が務める役と言われています。

なぜなら、敵にとっては勝ち戦です。勝鬨を上げ、士気も高く、逃げる者には容赦無く後追いをかけてくるでしょう。
殿(しんがり)とは、そうした敵の追撃を必死で食い止めなければなりません。自分の主である殿(との)や仲間達を無事に逃すためには、持てるもの全て(武力も知力も体力等)を総動員して挑まなければなりません。
従って、これをやり遂げられる人は並大抵の人物ではありません。
現代に置き換えれば、殿(しんがり)を務められる人は、仕事力(スキル)も人間力(マインド)も兼ね備えたリーダーしか考えられないでしょう。

定時退社日を設ける前に、個人、リーダー、組織がやるべきこと!

定時退社をする女性の写真

働き方改革、生産性向上といったキーワードや「ブラック企業=長時間労働=印象が悪い」と言ったイメージから、「定時退社日」を設けたり、上司が「早く帰るように」と指導し始めた会社もあると思います。

定時退社日の弊害として、「早く帰った分、翌日以降に仕事のしわ寄せが来ること」ということが良く言われます。
そもそも抱える業務量(取引先数、作業数)が変わっていないのに、頑張って労働時間を減らせというのはナンセンスです。

本来の目的を見失い、従業員が仕事を自宅に持ち帰っていたり、サービス残業(早朝出勤含む)をすることで帳尻合わせといった間違った方向に進んでいたとしたら本末転倒です。
従業員側も「現場の状況も考えないで、また社長が思いつきで余計な制度を始めたよ…」とマイナスの感情を持ってしまい、従業員にとって良い事を始めたつもりが、逆の結果を生む可能性もあります。

この弊害をなくすために必要なものって一体なんでしょうか?
個人、リーダー、組織の三点から考えてみたいと思います。

個人(従業員):優先順位付け

非常に限定的な条件での捉え方をすれば、企業内というミクロの世界では、仕事は永遠に続くもの、ある仕事を終えても次から次に湧いてくるものという前提で考えることが出来ます。
(注意:マクロで考えれば、企業や仕事はいつなくなってもおかしくないという認識を持っていなければなりませんが、ここでは一旦置いておきます)

個人としてまず必要になるのは、「仕事の優先順位付け」だと思います。

「この仕事は今日中にやらなければならない仕事なのか、翌日以降でも大丈夫なのか」を判断する力を身につけるということです。
これが出来ていないと「発生した仕事」=「今日中に終わらせなければならない」と誤認してしまい、いつまで経っても帰れないことになります。

特に、新入社員、若手社員の場合は、この優先順位付けが上手く出来ない場合が多いので、リーダーや先輩が指導してあげて下さい。

(詳しくは、下記関連記事の書評レビュー「【書評レビュー・可処分時間】「働き方の教科書」(新将命・伝説の外資トップ)の感想・要約」の見出し「6.2 優先順位付け」をご参照下さい)

また、仕事を受ける際にも、ちょっとしたコミュニケーション力も必要です。

例えば、「出来るだけ早く」という言葉のやり取りだけだと、人によって言葉の受け取り方は異なります。
仮に月曜日に仕事を受けたとして、「今日、明日中」にして欲しい場合もあれば、「今週一杯」でも大丈夫という場合もあるでしょう。あるいは、こちらの状況を説明し、こちらが締め切り日を提案するといったこともあります。
確認、交渉といったちょっとしたコミュニケーションを面倒がらずに行うだけでも、随分と違ってきます。

リーダー:マネジメント力

リーダー(経営者、上司など)には、マネジメント力が求められます。
マネジメントの肝は、ヒトを管理するのではなく、仕事を管理することです。

部下の一挙一動に渡って細かな指図を与えるのではなく、会社や部・課の目標達成に向けて、何をするか(What)、どうやってするか(How)という大まかな方針を与えたら、後は部下の自主性に任せ、創意工夫が生まれるような環境を作り上げる必要があります。
そして、部下の仕事が上手くいっていない、或いは進捗が遅れているようであれば、何が原因なのか、改善するにはどうしたら良いか、といったことを一緒に考えて成果が現れるよう導いてあげるのです。それこそが、仕事を管理するということです。

そして、仕事を管理するとは、部下がどの程度の仕事を抱えているのか、部下の処理能力がどの程度なのかを把握していることです。
仕事が出来る優秀な一人に仕事が集中しすぎないように仕事の配分も考えなければなりません。過剰負担となっていれば、上司が一緒になって業務内容の見直しや、その作業の意味や目的などを洗い直し、必要があれば強化し、不要であれば簡素化、或いは別の人に仕事を移管などを行う必要があります。

また、リーダーの指導、助言の上、部下がそれに応えて業務を遂行したとして、それでもなお、成果が現れないようであれば、そのときこそ、リーダー(経営者、上司など)は結果責任を果たさなければなりません。

トヨタなどの企業では、部下の指導・育成の能力が上司の評価項目となっているように、部下を育てられないのはリーダーである己のせいでもあるという「自責」の心を忘れないようにしましょう。「部下の教育、成長」が他人事ではなくなるはずです。

組織:環境を整える

ビジネスコミュニティーの写真

組織としての対策は、例えば定時退社日は「外出(外回り)を減らし、社内で事務作業に専念してもらう日」「チームの会議や打ち合わせを入れる日」「日頃不足しがちなコミュニケーションを補う日」などの方針を打ち出し、あえて普通の日と違ったことを意識的に行い、各個人が「今日は早く帰らないといけない。そのためにはやるべきことを定刻までに終わらせなければならない」という意識を持たせることは大切です。

また、経営者やリーダーが率先して、会社として、部として課として、全員が定時で帰るためには何をすれば良いか、どういう環境になれば可能かを考えることが必要です。当然、この「環境を整える」には従業員の業務量の平準化も含まれますので、そのこともお忘れなく。

間違っても、何の施策を行うことなく、「定時で帰りましょう」とただ口で言うだけでは何も変わらず、翌日以降に仕事のしわ寄せが来ることになるだけですので、注意して下さい。

まとめ

さて、今回は働き方改革の目玉の一つにも数えられている「生産性向上・長時間労働」対策が失敗に終わっている原因を「効果」と「効率」の観点から推察しました。
本記事をまとめると以下のようになります。生産性向上で困っている方の何か一助になれば幸いです。

【本記事のまとめ】
・「生産性」=「効果」×「効率」
・企業がやっている対策の多くは「効率化」
・生産性を高めるには、「効果」、そして「効率」の順
・「効率」の肝は、何か始めることではなく、「何かをやめることや減らすこと」にある
・やめる決断はリーダー(経営者・上司)が行い、そのことに「結果責任」を果たさなければならない
・「結果責任」とは、リスクをとってアクションを起こして初めて果たすことができるもの
・リーダーに求められるのは、胆識力(見識力+決断力+断行力)
・定時退社日を設ける前に、個人としてリーダーとして、組織としてやるべきことがある
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経営コンサルタント(中小企業診断士)、人事・労務コンサルタント(社会保険労務士)。福岡生まれの熊本育ち。性格は典型的な「肥後もっこす」。 「ヒト」と「組織」の問題解決(人材教育・育成や組織変革)を専門とする。 また、商社時代に培った経験から財務・会計にも強く、人事面のみならず財務面からの経営アドバイスも行う。 他にも社会保険労務士、中小企業診断士や行政書士など難関国家資格を含む20個の資格にフルタイムで働きながら1発合格した経験を生かし、資格取得アドバイザーとしても活動中。
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