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社員がパワハラセクハラ加害者で訴えられない為に指導すべき注意点や言動・事例、原因考察

 
職場内でのパワハラの写真
この記事を書いている人 - WRITER -
人事・労務コンサルタント(社会保険労務士)、経営コンサルタント(中小企業診断士)。福岡生まれだが熊本育ちのため、性格は典型的な「肥後もっこす」。 「ヒト」と「組織」の問題解決(人材教育・育成や組織変革)を専門とする。 また、商社時代に培った経験から財務・会計にも強く、人事面のみならず財務面からの経営アドバイスも行う。 他にも社会保険労務士、中小企業診断士や行政書士など難関国家資格を含む20個の資格にフルタイムで働きながら1発合格した経験を生かし、資格取得アドバイザーとしても活動中。
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コンプライアンス、セクハラ やパワハラなどといった研修は定期的に行う必要がある理由は「会社で定期的なコンプライアンス、パワハラ・セクハラ防止等は研修教育が必要な理由」という記事で述べた通りです。

4月、5月のこの時期は人の入れ替わりも激しく、かつOJTや研修等を通じて新しく入った人と接する機会が多いものです。
社内でこうした新陳代謝が起こるということは、同時に社員(特に既存社員)の知識や考え方もブラッシュアップしておく必要があるということです。

皆さんご存知のとおり、今と昔では随分と変わっています。
例えば、喫煙に関しては昔は事務所内で吸うのが当たり前でしたが、現在は、喫煙場所の制限にとどまらず、就業時間内の喫煙の禁止などもルールとして取り入れられている会社も出てきています。
また、年度毎に「今年の新入社員(新卒)のタイプ」といったものが発表され、新入社員の考え方や特徴が自分たちとは異なるということを否応なしに感じさせられるものです。

もし、いつまでも昔の知識や考え方を引き摺っていると、既存社員と新規社員との間に溝ができトラブルを生む可能性もあります。その典型的なものが、コンプライアンス(法令遵守)であり、パワハラ、セクハラといった分野ではないでしょうか。

ということで、今回はパワハラ・セクハラ防止のための基本的な考えを紹介したいと思います。

目次

大前提:世代が変われば考え方、受け取り方も変わる

世代(変遷)の写真

先ほど述べた「今年の新入社員のタイプ」の話もそうですが、ジェネレーションギャップという言葉がある通り、世代間での文化、価値観、思想などの相違は大きいものです。

例えば、40代以上の世代は、学校で悪いことをしたら教師からこっぴどく叱られ、時には雷ならぬゲンコツを落とされた経験がある方も多いと思います。
しかし、ゆとり世代やそれより下の世代は、例え悪いことをしたとしても、「モンスターペアレンツ」や「暴力教師」と揶揄され社会問題となることを恐れる教師が、甘やかす訳ではないでしょうが、きちんと指導をしない、或いは叱らない(もちろん、昔のような暴力はいけませんが)ということが日常的になっています。

こうした点だけを考えても、怒ること、或いは怒られることに対する考え方がかなり違うと思います。

そうした意識の違いは、当然社会人生活の中でも現れています。
怒られ慣れしている人は、きっと自分がされた経験をベースに怒るので、怒り方も厳しいでしょう。受け手(怒られた側)の反応に対しても「何をこの程度でしょげているんだ」「自分の時はもっと厳しく怒られたぞ」と感じるかもしれません。

過去に「【職場のトラブル】相談内容のトップは「いじめ、嫌がらせ」」という記事を投稿しましたが、未だに(令和元年度)の職場内のトラブルのトップは「いじめ、嫌がらせ」です(例えば暴言を吐かれる、無視するなどといったパワハラ)。

【注意】
パワハラ・セクハラ等に関しては、国も整備を進めており、大企業では令和2年から、中小企業では令和4年からパワハラ・セクハラ防止対策が強化されることが決まっています。

どんな行為がパワハラになる、或いはなりやすいということを知らないということもあるでしょうが、こうした意識の違いや基準(こういう言動はダメ)のなさがトラブルの元になっているとも言えます。

もちろん、セクハラに関しても同様です。
今でこそ、女性の社会進出、女性の管理職比率の向上といったことが叫ばれていますが、昔は例えば、結婚出産を機に辞めるのが当たり前だったり、お酒の席では男性上司の横についてお酌したり、会社内での男性社員からの発言もきついものがあったはずです。

そうした世代にとっては、今までの言動がセクハラ行為に該当するという意識が低いでしょうし、また、女性同士であっても年齢が上の世代なら、「これぐらいは当たり前。我慢しなさい」といった感覚を持っていて、その感覚のまま若い女性社員にも自分と同じ対応を要求してしまうこともあるかもしれません。

「無知は罪なり、知は空虚なり、英知を持つもの英雄なり」という言葉がある通り、「無知は罪」になりうるのがこうしたパワハラ、セクハラ問題だと思います。

パワハラ、セクハラ に関しては「受けて側がどう思うか」ということが鍵になることはご存知だと思いますが、それ以前に「どういう言動がパワハラやセクハラになり得るのか」という基本的なことを押さえておくことも極めて重要です。

注意:「昔は~」「自分たちの若い頃は~」「自分たちの時代は~」などは厳禁

連絡手段(主に携帯電話)の変遷だけ見ても、昔はポケベル、PHS、ガラケー(iモード)、スマホとだいぶ様変わりしています。当然、今の世代はi-modeや、PHS、ポケベルの打ち方なんか知らない訳ですが、昔の世代にとっては、これらの知識は常識という認識です。

起業したての会社などは別にして、一般の会社では、ある程度従業員の年齢構成に幅(若い〜年配)がありますので、こうしたギャップが多かれ少なかれ存在しています。

代表的な例が、「昔は~」「自分たちの若い頃は~」「自分たちの時代は~」といった言葉だと思います。
ケースによっては過去の知識や経験が役立つ場面もありますが、こと「パワハラ・セクハラ」に関しては、最新情報(現在の常識)を基準に考え行動すべきものです。

今現在の基準がどこにあるかを決して見誤ってはいけないということです。

定義:職場において行われる「パワーハラスメント」とは?

ブラック企業の写真

ここからはどんな事例がパワハラやセクハラに該当し得るのかを見ていきたいと思いますが、厚生労働省が発行している資料(リーフレット)を参考にしながら紹介したいと思います。

【参考】
厚生労働省HP:職場におけるハラスメントの防止のために(セクシュアルハラスメント/妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント/パワーハラスメント)

同省によれば、職場において行われるパワーハラスメントとは、

職場において行われる
①優越的な関係を背景とした言動であって、
②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
③労働者の就業環境が害されるものであり、
①~③までの要素を全て満たすもの。

と定義されています。

注意:適性な業務指示や指導はパワハラではない

しばしばパワハラを恐れるがあまり部下や新入社員に対して指示すべきことや注意すべきことができない上司や先輩がいるという話も耳にします。

それに対して、「客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、(パワハラには)該当しません」としっかりと明記されています。

パワハラの種類:6類型

パワハラは、以下の6つの行為に分類されると言われています。

パワハラの行為類型具体例(例は優越的な関係を背景として行われたものであることが前提)
1 身体的な攻撃暴行・傷害
(蹴られる、殴られる、ものを投げつけられる等)
2精神的な攻撃脅迫・名誉毀損・侮辱・暴言
(人格否定、必要以上の長時間にわたる厳しい叱責、能力の否定、大勢の前や複数人宛のメールでの叱責等)
3人間関係からの切り離し無視、隔離、仲間外し
(同僚が集団で無視をし孤立させる、別室に隔離、自宅研修をさせる等)
4過大な要求業務上明らかに不要なことや 遂行不可能なことの強制・仕事の妨害
(到底対応出来ないレベルの業績目標を課す、業務とは関係のない私的な雑用の処理を強制等)
5過少な要求業務上の合理性なく能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えない
(仕事を与えない、(退職に追い込むため)管理職に誰にでも遂行可能な業務を行わせる等)
6個の侵害私的なことに過度に立ち入る こと
(職場外での監視、個人の携帯を覗かれる、機微な個人情報について同意を得ず他の労働者に暴露する等)

定義:職場における「セクシャルハラスメント」とは?

職場内でのセクハラの写真

厚生労働省の発表によれば、
職場における「セクシュアルハラスメント」とは、
職場において行われる、
労働者の意に反する性的な言動に対する労働者の対応により、
その労働者が労働条件について不利益を受けたり、性的な言動により就業環境が害されること
をいいます。

※注意点※
労働者を雇用する雇用主や上司、同僚に限らず、取引先等の他の事業主又はその雇用する労働者、顧客、患者 又はその家族、学校における生徒等も含まれます。
職場におけるセクシュアルハラスメントは、異性に対するものだけではなく、同性に対するものの含まれます。
被害を受ける者の性的指向や性自認にかかわらず、「性的な言動」であればセクシュアルハラスメントに該当します。

【性的な言動の例】
①性的な内容の発言
性的な事実関係を尋ねること、性的な内容の情報(噂)を流布すること、性的な冗談やからかい、食事やデートへの執拗な誘い、個人的な性的体験談を話すことなど

②性的な行動
性的な関係を強要すること、必要なく身体へ接触すること、わいせつ図画を配布・掲示すること、強制わいせつ行為など

注意:性的な言動を行う者(加害者)は経営者や上司・同僚等、社内に限らない

注意すべき点として、性的な言動を行う者は、事業主、上司、同僚に限らず、取引先等の他の事業主又はその雇用する労働者、顧客、患者又はその家族、学校における生徒等も対象になり得るという点です。

想定されるケースとしては、営業で他社に訪れた際に、その会社の担当者(窓口)が営業にセクハラを行った場合です。
こうした他社の労働者等の社外の者が、行為者の場合についても雇用管理上の措置義務の対象となっています。
つまり、「社内でセクハラがなければ大丈夫」では済まされず、自社の労働者が他社の労働者等からセクハラを受けた場合には、必要に応じて他社に事実関係の確認や再発防止への協力を求めることも雇用管理上の措置に含まれるという事です。

例えば、
・セクハラをした会社側が、窓口の担当者を変える
・自社(セクハラを受けた側)の営業担当者を変える、セクハラを受けたということをその会社に伝え、しかるべき対応を行うよう求める
といった具合です。
(取引先との力関係もあり難しい部分もあると思いますが、放っておくのは両社にとって得策ではないことは確かです)

セクハラの種類:「対価型」と「環境型」の2つ

職場におけるセクシャルハラスメントには「対価型」と「環境型」の2つがあります。

「対価型セクシュアルハラスメント」とは、労働者の意に反する性的な言動に対する労働者の対応(拒否や抵抗)により、その労働者が解雇、降格、減給、労働契約の更新拒否、昇進・昇格の対象からの除外、客観的に見て不利益な配置転換などの不利益を受けることです。 
典型的な例としては、
①事務所内において事業主が労働者に対して性的な関係を要求したが、拒否されたため、その労働者を解雇すること。 
②出張中の車中において上司が労働者の腰、胸などに触ったが、抵抗されたため、その労働者について不利益な配置転換をすること。 
③営業所内において事業主が日頃から労働者に係る性的な事柄について公然と発言していたが、抗議されたため、その労働者を降格すること。
「環境型セクシュアルハラスメント」とは労働者の意に反する性的な言動により労働者の就業環境が不快なものとなったため、能力の発揮に重大な悪影響が生じるなどその労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じることです。 
【典型的な例】
①事務所内において上司が労働者の腰、胸などに度々触ったため、その労働者が苦痛に感じてその就業意欲が低下していること。
②同僚が取引先において労働者に係る性的な内容の情報を意図的かつ継続的に流布したため、その労働者が苦痛に感じて仕事が手につかないこと。
③労働者が抗議をしているにもかかわらず、同僚が業務に使用するパソコンでアダルトサイトを閲覧しているため、それを見た労働者が苦痛に感じて業務に専念できないこと。

いずれも当たり前のことばかり。それにも関わらず、セクハラ・パワハラが起こるのは何故か?

さて、ここまでパワハラやセクハラの定義やその具体例などを見て頂きましたが、見れば分かる通り「当たり前」のことばかりです。

暴行や侮辱(人格・能力否定)、仲間外れ…等々。
もはや、「小学生でも分かること」「子供の頃に友達や他の人にやってはダメだよと習うようなこと」が出来ていない訳です。

それにも関わらず、こうしたことが起こるのは何故でしょうか。

全ての人間が(パワハラやセクハラを)している訳ではないので、個人の資質の問題が一番の原因だと思います。

しかし、それだけではあまりに芸がないので、個人的な見解(持論)として組織的な面や心理的な面から幾つか述べたいと思います。

原因①:全社的な問題(絶対的権力に逆らえない、相談窓口がない、対応が不十分で誠意を欠く)

オーナー企業のように、絶対的な権力を持つ経営者によるパワハラ、セクハラに対しては使用者・労働者という雇用関係上容易には逆らえません。仮に自分の上司(管理職)に訴えても、管理職も経営者に雇われている身ですので、中々難しい面もあります。

また、パワハラやセクハラを相談する窓口(対処法)が定まっておらず、誰に相談すれば良いのか分からないケースや相談しても真摯に対応してくれないケースもあります。更に対応がひどい場合は、二次被害(相談窓口の担当者がパワハラやセクハラのようなことをしてしまう)になるケースもあります。

原因②:職場に余裕がない(売上や成果に追われている、慢性的な人手不足)

原因⑥にも通ずる話ですが、売上や成果といった数字に追われる職場だと、プレッシャーやストレスが重くのしかかり、気がつくと余裕がなくなっているものです。(マンパワー不足による疲弊も同様)

長時間の残業や休日が取れないといった状況が恒常的になっているとすれば、当然、毎日仕事に追われているはずです。
そうなると、職場内でのコミュニケーションも希薄になり、自分の仕事・ノルマの達成にばかり目が向き他者への関心も失いがちになります。

こうした余裕のなくした職場では、イライラやストレスからついつい言動が厳しいものになりがちです。
また、周りの人も余裕がないため、パワハラのような叱責を異常だと感じにくくなるものです。

原因③:同調圧力(集団圧力)

みんながやっている(パワハラ・セクハラ)のであれば、自分も他者と同じようにやっても問題ないと考えてしまいがちです。本当はいけないことなのに、周りがやってるから自分も・・・という、「赤信号みんなで渡れば怖くない」という心理状態が原因かもしれません。

原因④:共通の敵を作ることで自己保全する

共通の敵(無視する相手、暴言・叱責のターゲット)を作ることで、パワハラの行為者の矛先が自分に向かないように仕向けることが出来ます。学校のいじめやスクールカーストとの心理とも似ています。
悪いこと、いけないことだとは分かっていても、自分の身を守る為にパワハラやセクハラの横行を見逃してしまっているのが原因かもしれません。

原因⑤当たり前が当たり前ではなくなったことに気づいていない(常識や情報がアップデートされていない)

そもそもその言動が悪いことだと思っていなければ、セクハラやパワハラの対象となる言動を無意識のうちに取ってしまうこともあります。「昔は大丈夫だった」「これぐらい問題ない」といった固定観念もパワハラやセクハラを生む原因になり得るという事です。だからこそ、前述したように定期的な研修等を通じた情報のアップデートが必要になる訳です。

原因⑥:正常な判断や理性を失っている場面(腹を立てている時、飲み会などでアルコールを摂取している時など)

個人的な資質もありますが、正常な判断や理性を失っている場面では、パワハラやセクハラが起こりやすいものです。

つい、カッとなって必要以上に言い過ぎた経験は誰しもあると思います。
注意指導と称しながらも、部下のミスや成果が上がらないこと、或いは部下の言い訳などに腹を立てて手をあげてしまったり必要以上に叱責してしまうケースもあります。
また、飲み会などのアルコールが入った時にパワハラやセクハラが起こりガチなのは言うまでも無いでしょう。
(例えば、飲み会時の過度な説教、女性に対するセクハラ紛い行為など)

パワハラ・セクハラを未然に防止する為の心得(ポイント)

ここでは、パワハラやセクハラを防止するための簡単な心得(ポイント)について触れておきます(あくまで個人的な見解です)。
パワハラやセクハラの具体的な防止措置などは厚生労働省が発表している資料などをご覧になって頂きたいと思います。

【パワハラを未然に防止するための心得(ポイント)】
①(人間として当たり前ですが)暴力を振るわない
②人格や能力を否定せず、ミスしたり、出来なかった事実のみ指摘する
(叱る際は時間を空けずにすぐに。時間が経つとどのミス、どの出来事か分からなくなる)
③大勢の前やメールを複数人に送りながらといった形で叱責しない(恥をかかせることになる)。注意するなら個室等で一対一で。
④感情に任せず一呼吸置くなどアンガーマネジメントも試みる
⑤注意や指摘を行なった場合はフォローを行う(特に言い過ぎたかなと感じた場合は尚更)
【セクハラを未然に防止するための心得(ポイント)】
①基本的に相手(被害者)が不快と感じる言動はセクハラになる可能性があると思おう
(身体に触る・触らないといった判断基準ではないということ)
②年配の人や職位が高い人などは「昔はこのぐらい大丈夫だった。当たり前だった」という感覚で接しがちなので、裁判例などで情報のアップデートを。
③(今はあまりないとは思いますが)男女二人だけで泊まりがけの出張や研修に行かせない。万が一宿泊を要する場合も、部屋はもちろんのこと、ホテルも別々するぐらいが望ましい。ましてやホテルの部屋などでの打ち合わせなどを行わせないように。その他、個室で長時間の指導などを行わない、残業中などに男女二人だけにならないようにするといったことも考えられます。
④お酒が絡む時は要注意。歓迎会、忘・新年会など社員が一堂に会する場合、権力の顕在化(ヨイショ)が起こりやすく気が大きくなりがちで危険。同時に周囲からのプレッシャーもあり女性もその場の空気を悪くするのを恐れ断れず応じざるを得なくなっている可能性も高いので注意が必要。

【セクハラが発生した場合】
⑤早期対応のためにも相談窓口の設置は必須。また、二次被害を防ぐ為にも、窓口担当者の人柄や人望にも目を向けておく
 ※出来ればセクハラを受けやすい同性(女性)が窓口担当者にした方が良い
⑥加害者・被害者双方の意見を真摯に聞く(事実関係の確認)。間違っても職位(役職)によって公平さを欠くような対応は行わない(役職の高い人の発言を信じる等)

最後に。
パワハラにしろ、セクハラにしろ、受け手(被害者側)によってその反応は異なります。
同じ人が同じことをしても、相手次第(元々の考え方や抱く感情)で如何様にも変わります。
(身体に触れていなくともセクハラと言われる可能性も…)
つまり、「これなら大丈夫」といった画一的なものはないということを今一度認識しておいて下さい。

補足:社員の過剰反応に備える意味でも研修を…

どんな言動がパワハラやセクハラに該当するのかを知っておくことはパワハラ、セクハラの防止に役立ちますが、同時にパワハラやセクハラの標的とされやすい新入社員や若手社員、女性社員がこうしたパワハラ・セクハラの知識や事例を知っておくことも大切なことです。

パワハラ、セクハラに関しては、社員からの「過剰な反応」も一部で問題となっています。
【見出し「注意:適性な業務指示や指導はパワハラではない」】でも触れた通り、正当な注意や指導が「パワハラだ」と過剰反応される訴えられる可能性もある訳です。

パワハラやセクハラと感じるかどうかは受け手(被害者)次第とはいえ、裁判例などを用いてある程度の基準(特に注意・指導とパワハラとが区別できるように)を知ってもらうことが肝要です。

まとめ

さて、本記事では厚生労働省が発表している資料をベースに、パワハラ・セクハラの定義やその種類、事例などを紹介しましした。また、個人的な見解がベースとなりますが、パワハラやセクハラが生じる原因やパワハラやセクハラを未然に防止するための心得(ポイント)などにも触れています。

研修等により従業員の気を引き締めたり、認識を改める事はもちろん大切ですが、何よりもトップ(経営者)がパワハラやセクハラを断固拒否し、その防止に努めるという意思表示をしっかりと行うことが大切です。また、パワハラ・セクハラ防止の方針、指針といったメッセージを発するだけではなく、組織体制や言動など目に見える形で表すことも重要であると言うことを最後に述べておきます。

【本記事のまとめ】
・大前提:世代が変われば考え方、受け取り方も変わる。「昔は~」「自分たちの若い頃は~」「自分たちの時代は~」などは厳禁。
・職場において行われる「パワーハラスメント」の定義は、職場において行われる①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものであり、①~③までの要素を全て満たすもの。しかし、適性な業務指示や指導はパワハラではないことに注意!必要以上にパワハラを恐れないこと。
・パワハラの種類は6類型。

・職場における「セクシャルハラスメント」の定義は、職場において行われる、労働者の意に反する性的な言動に対する労働者の対応により、その労働者が労働条件について不利益を受けたり、性的な言動により就業環境が害されることをいう。
・ しかも、性的な言動を行う者(加害者)は経営者や上司・同僚等、社内に限らず、他社の社員なども対象となります。その場合、相手先の会社に担当者の変更や注意・指導をしてもらうなど、再発防止への協力を求める措置が必要。
・セクハラの種類には「対価型」と「環境型」の2つがあります。

・パワハラにしろ、セクハラにしろ、いずれも小学生でも分かるような当たり前のことばかり。それにも関わらず、セクハラ・パワハラが起こるのは何故か?
主因は個人の資質の問題。そのほかの原因としては以下の通り(個人的な見解です)
 原因①:全社的な問題(絶対的権力に逆らえない、相談窓口がない、対応が不十分で誠意を欠く)
 原因②:職場に余裕がない(売上や成果に追われている、慢性的な人手不足)
 原因③:同調圧力(集団圧力)
 原因④:共通の敵を作ることで自己保全する
 原因⑤:当たり前が当たり前ではなくなったことに気づいていない(常識や情報がアップデートされていない)
 原因⑥:正常な判断や理性を失っている場面(腹を立てている時、飲み会などでアルコールを摂取している時など)

・パワハラ・セクハラを未然に防止する為の心得(ポイント)
 ①(人間として当たり前ですが)暴力を振るわない
 ②人格や能力を否定せず、ミスしたり、出来なかった事実のみ指摘する
 (叱る際は時間を空けずにすぐに。時間が経つとどのミス、どの出来事か分からなくなる)
 ③大勢の前やメールを複数人に送りながらといった形で叱責しない(恥をかかせることになる)。注意するなら個室等で一対一で。
 ④感情に任せず一呼吸置くなどアンガーマネジメントも試みる
 ⑤注意や指摘を行なった場合はフォローを行う(特に言い過ぎたかなと感じた場合は尚更)

【セクハラを未然に防止するための心得(ポイント)】
①基本的に相手(被害者)が不快と感じる言動はセクハラになる可能性があると思おう
(身体に触る・触らないといった判断基準ではないということ)
②年配の人や職位が高い人などは「昔はこのぐらい大丈夫だった。当たり前だった」という感覚で接しがちなので、裁判例などで情報のアップデートを。
③(今はあまりないとは思いますが)男女二人だけで泊まりがけの出張や研修に行かせない。万が一宿泊を要する場合も、部屋はもちろんのこと、ホテルも別々するぐらいが望ましい。ましてやホテルの部屋などでの打ち合わせなどを行わせないように。その他、個室で長時間の指導を行わない、残業中に男女二人だけにならないようにするといったことも気をつけたいところです。
④お酒が絡む時は要注意。歓迎会、忘・新年会など社員が一堂に会する場合、権力の顕在化(ヨイショ)が起こりやすく気が大きくなりがちで危険。同時に周囲からのプレッシャーもあり女性もその場の空気を悪くするのを恐れ断れず応じざるを得なくなっている可能性も高いので注意が必要。

【セクハラが発生した場合】
⑤早期対応のためにも相談窓口の設置は必須。また、二次被害を防ぐ為にも、窓口担当者の人柄や人望にも目を向けておく
 ※出来ればセクハラを受けやすい同性(女性)が窓口担当者にした方が良い
⑥加害者・被害者双方の意見を真摯に聞く(事実関係の確認)。間違っても職位(役職)によって公平さを欠くような対応は行わない(役職の高い人の発言を信じる等)

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