職場・仕事で使えない人(社員部下新人)を辞めさせる(クビ解雇)前に指導し成長させる方法
経営者からの相談の中でも多いのが社員の出来・不出来です。
今回は「使えない社員、仕事が出来ない社員」の特徴や、そのような方をなんとか「使える社員、仕事が出来る社員にする」ための指導方法を考えてみたいと思います。
また、別記事で述べているように、例え、経営者が「使えない社員、仕事が出来ない社員」と思っていても、簡単に辞めさせること(解雇・クビ)は出来ませんので、その点くれぐれもお忘れなく(下記関連記事参照のこと)。
仕事で使えない人の特徴
一般的かどうかはさておき、私なりに「仕事で使えない人の特徴」を7〜8個ほど上げてみました。
- 成果が出せない人
- ミスや失敗が多い人(何度も同じミスをする人)
- 言葉にしろ文章にしろ、何を伝えたいのか分からない人(要点をまとめるのが下手な人)
- 期限や時間、報連想等のルールを守れない人
- 何でも他人の責任にする人
- 口先だけの人(実力が伴っていない人)
- ネガティブな発言ばかりで周りに悪い影響を与える人
- 指示待ち族
- 上司へのゴマスリが得意など
もちろん、人によって「使える、使えない」の基準や定義は違うと思いますが、能力的な面、性格的な面から判断するのではないでしょうか。
「能力は分かるけど、性格は関係ないのでは?」と思う方も多いと思いますが、自身の性格が禍して「自分や周りの仕事に悪影響が出てしまって使えない人」と判断されてしまうということも十分にあり得ます。
使えない人を使えるようにする方法(対策)
本人にも色々と言い分があるように、今回のテーマに関しては「使えない、仕事が出来ないのは全て社員のせいだ」とは一概に言い切れない部分もあります。
何故なら、周囲の環境が足を引っ張っていることも否定出来ないからです。
「三つ子の魂百まで」という言葉もあるように「他人を変えることは難しい」ということは忘れてはいけませんが、当サイトは経営者や経営層、上司等指導者側をターゲットとしているので、ここではあえて「環境が人を育てる(人を作る)」という前提で話を展開していきたいと思います。
従って、ここからは会社側と現場レベルで「指導し成長させる方法」を考えていきたいと思います、
但し、一番大事なのは「本人が現状に気づき、変わろうと努力することが何より重要」ということは言うまでもありません。
(それが一番難しいんだよと言う嘆きが聞こえてきそうですが…)
会社(社長や経営層)レベルでやれる指導
まず前提が間違っている。考え方を変えよう
しばしば人材採用や人材教育や経営者の書籍等でも触れられていることですが、一般に大企業に比べると「中小企業には優秀な人材が集まることは少ない」と言われています。
もちろん、中小企業であっても優秀な人材を抱えている会社はありますが、大企業との比較で言えば相対的にその比率は低いということです。
これについては、株式会社武蔵野(業種:ダスキンのフランチャイズ事業)の小山昇社長も同じようなことを述べています。
そこで、あえて表現悪く言葉にすれば、
但し、逆に大企業で働いているからと言って必ずしも全ての人が優秀な人材とは限らないということも付け加えておく(ex.パレートの2:8の法則などを想像して下さい)。
ということが言えるのではないかと思います。
これは中小企業を貶しているのではなく、高望みや理想を追わずにしっかりと現実を見よ!ということでもあります。
そういう風にある種の腹が据われば、これまでのような優秀な人材・いい人材を基準とした経営方針、人材育成方針も変わってくるはずです。
つまり、OJTや人材育成による成長度合い(成長スピード)を優秀な社員を前提に考えているから、「どうして成長しないんだ。育たないんだ」という感情が湧きもやもややイライラが募る訳です。
そうではなく、「こいつらは一を聞いて十を知るような優秀な社員ではないから、しっかり時間をかけて何度も教えなければならない」という考え方にシフトチェンジすることで、これまでの「うちには優秀な人材・いい人材がいない」と嘆く必要もなくなります。
断っておきますが、あくまで現時点では(一般に経営者がイメージするような)優秀な社員ではないというだけで、その伸び代は誰にも分かりません。
人間には無限の可能性がある訳ですから、最初はダメ社員と呼ばれるような人材であっても、周りの環境と本人の努力次第では、「将来、会社になくてはならない人材に成長する可能性もある」ということです。
貼られたレッテルを一度取っ払ってみる
人間はどうしても他人をラベリングしてしまう傾向があります。
例えば、本人のことをよく知りもしないのに、周りから「あの人って○○な人なんだよ」と言われると、フラットに見ようとしてもその印象が優先されてしまい、そういう目で見てしまいがちになります。
これは当然、会社の中でも起こりうることで、例えば昇進して、これから部下を育成しなければならないような立場になった時に、上司や先輩からの引き継ぎで「チームの誰々さんはこういう人だから気をつけるように」とか「あの人はこの手の仕事は苦手だから、お願いしたらダメだからね」と言った具合に先入観を植え付けられてしまうこともあります。
そうした先入観が事実(ホント)であれば良いのですが、実際は違っていることもままあるから注意が必要です。
また、ラベリングされている(見られている)側も、直接的か間接的かに限らず、周りからそうした色眼鏡で見られると、「何くそ見返してやろう」と思うよりも、「イメージを払拭するのは難しいから、もうどう思われてもいいや」と諦めてしまう人の方が多いものです。
本記事タイトルにも使っている「使えない人」「仕事が出来ない人」というラベリング(色眼鏡)は意図せずして、指導する側(経営者、上司)にも指導される側(部下、新入社員、バイト等)にも悪影響を与える可能性があります。
少なくとも、経営や上司など人を育てる側の人間は、他人の話や噂を鵜呑みにせず、一旦ゼロベースになって自分の目と耳でその人(部下や新入社員等)を判断する必要があるということを忘れないようにして下さい。
ちなみに、「良いラベリングの見本」が、「ピグマリオン効果(期待効果)」です。
(補足:「期待効果」とは、他者から期待を受けることで学習や作業で成果を出すことが出来るというもの)
このように「社員の潜在能力を無条件で信じてあげる」ことでポジティブなラベリングを行い、人材育成に役立てることも可能です。但し、社員が変に調子に乗ってしまわないように注意は必要です。
人事異動(配置転換を含む)をする
単純にその人の持ち味(長所)が今の職場や役割では生かされていない可能性もありますし、会社側として試しにやらせて見たけど、やっぱり不得手だったという場合もあります。
そうした中で「人事権の発動」は会社側にしか出来ないことですので慎重に、かつ時に大胆に起こしたいものです。いつまでも苦手なこと嫌いなことを続けさせることは本人のためにならないからです。但し、本人の成長の為に「試練」という名の壁を越えさせることは必要なことでもあるので、その見極めは経営者や上司が慎重に行いたいものです。
実際、異動や配置転換によって仕事内容が変わることで、仕事に興味をもったり自分に合っているなと感じて、大きく成長する社員もいらっしゃいます。まさに「環境が変われば人も変わる」の典型例です。但し、社員側の話もろくに聞かずに無理やり異動させてしまうと、トラブルの元になります。
例えば、営業部門の方が管理部門よりも偉い・凄いといった文化が根付いている会社だと、営業から外されたことで、「自分は必要とされていない」「左遷された」と感じてしまう方もいます。
従って、社員側の意思や会社側がなぜ異動をさせようと考えているか等をしっかり話し合うことを忘れないようにして下さい。
少なくとも「あなたにとって良くなると思って異動を検討しているんだ」という気持ちが伝わるように事前に話し合うようにしましょう。
また、営業から管理へ異動といった配置転換の場合、今まで一つの視点からしか見ていなかったものが、別の視点で見ることができるようになる場合もあります。
会社全体を俯瞰できるようになり、全体の利益を考えた行動や今まで自分がしていた仕事の意味や目的がよく分かって仕事に精を出すようになるといった棚から牡丹餅のようなことが起こる可能性もあります。
現場レベル(上司・先輩等)でやれる指導
冒頭で述べた「使えない人の特徴」を能力的な面と性格的な面とでざっくり分けてみました。
○成果が出せない人
○ミスや失敗が多い人(何度も同じ間違いをする人)
○要点をまとめるのが下手な人(何を伝えたいのか分からない人)
【性格的な面(考え方も含む)】
○期限、時間、報連想等ルールが守れない人
○何でも他人のせいにする人(責任転嫁する人)
○指示待ち族
口先だけの人
ネガティブな発言ばかりで周りに悪影響を与える人
上司へのゴマスリ
(補足:「○」付きは本記事で取り上げる内容)
性格的な面の一部はなかなか変えることは難しいものもありますが、「ルールが守れない」や「他人のせいにする」「指示待ち族」などは現場レベルの工夫やフォロー次第でいかようにも出来ると思います。
能力的な面
まずは能力的な面を見ていきたいと思います。
成果が出せない人 → やり方が分からないから
成果が出せない人の場合は、そもそも「やり方がきちんと分かっていないこと」が原因として挙げられます。
だから、やることは一つ。
きちんと教育(人材育成)に時間がかけること。
この教育の時間とは、入社時や担当替え時のOJTや引き継ぎの時間のみならず、現場に出てからの上司や先輩からのアフターフォローの時間なども含まれます。
典型的なブラック企業は、ちょっと教えられただけでいきなり現場に一人で放り出され、成果を求められます。
しかも、周りから十分なフォローも得られず、どちらかといえば孤独です。
そうした状況下で、「やり方を覚えろ、結果を出せ」と言われても困難なことは目に見えています。その結果、高い離職率やメンタルヘルス不調と言った形で現れる訳です。
繰り返しになりますが、中小企業には一を聞いて十を知るような優秀な社員は来ないという前提で考えれば、「一回教えれば出来るようになる」「二回も同じことを言わせるな(同じことを聞くな)」というOJT内での謎めいた格言は自然と崩れ去るはずです。
そもそも、教える側(上司や先輩)の自分自身が何度も繰り返しミスをしているはずです。今でこそ一人前かも知れませんが、仕事を覚え始めた当初は、おそらく毎日悩み考え、時に涙を流し、現在に至っているはずです。
自分のことを棚に上げて、部下(後輩、若手・新入社員)に即座に成果を求めることは間違っているのではありませんか?
例えば、上下関係で厳しい体育会系の部活で、自分が先輩にしごき、いじめられたからといって、次に入ってきた後輩にも同じことをしているようでは全く進歩がないのではないでしょうか。
使えない使えないと罵るのではなく、会社として「売上」が存在している以上、成果を出すためには何が必要で、どういったことを覚えて、どんな行動しなければならないのか、そうした成果に繋がるプロセスを導き出して、成果が出せない社員に今一度基本から教えることから始めて見てはいかがですか?
・まずは「守・破・離」の「守」を意識させ、基本事項を徹底して覚えさせる。
・「見て覚えろ」というスタンスは止め、出来るだけマニュアルなどに明文化して、後で一人でも復習できるようにしておく。
(マニュアルには何故それをやるのか、必要なのかと言ったことも明記しておく)
・「○ヶ月で●●が出来るようになる」と言った明確な基準を設けて成長スピードをチェックできるようにする。
・自分(上司や先輩)が苦労して得たノウハウだからといって、部下や後輩(若手・新入社員)に同じ苦労をさせない。但し、経験や成長のために、あえて1、2度失敗させるてみるのは有。
何度も同じミスや失敗をする人 → 伝わったかどうかの確認やメモ・見本、チェック項目表、行動(提出)前の再確認などを徹底させる
学校の忘れ物が多い生徒には忘れ物チェックシートなどが防止対策となりますが、仕事で何度も同じミスや失敗をする人にはどういう対策が効果的なのでしょうか?
まず一番大事なことは、仕事で何かを依頼するときにこちらの意図が正しく伝わっているかを確認することです。
「伝えた内容と伝わった内容」は必ずしも一致する訳ではありません。
Aと伝えても、Bと解釈する人もいます。
従って、会話中の言葉遣いや解釈の仕方次第で、伝える側に問題がある場合もありますし、受け取る側に問題がある場合もある訳です。
必ず話の最後に「つまり、(仕事として求められていること、依頼されたことは)こういうことですよね」という受け取り側(依頼された側、仕事をする側)の確認を行うだけでも、だいぶ違ってきます。
あとは王道ものとして、その場でメモを取らせる、見本を見せる(過去の類似資料など)、チェック項目表を設ける、行動(提出)前に再確認させるなどの方法があります。
案外、馬鹿にならないのがメモを取らせることです。
人間の記憶というのは頼りになることも多いですが、エビングハウスの忘却曲線に現されるように、忘れやすいのも事実です。特に現在は情報化社会で日々膨大な情報に触れているので、意識していても抜け落ちてしまうことが多々あります。
毎日、数10件に及ぶメールや度重なる会議などがあれば、忘れてしまうのも当然です。そうした中、メモに書いておく事で無理して覚えておく必要がなくなりますので有効に活用したい対策です。
特に最近の若者はメモも取らなかったり、或いは動画で撮影しようとしたりと斜め上を行くこともあるので上手に対応しましょう(写真や動画の場合、著作権や守秘義務、情報流出などの懸念あり)。
また、何度も同じミスや失敗をする場合には原因が見えてくる場合もあります。自分がどんな間違いやミスを犯しやすいのかという事をまとめておいてチェック項目として利用することもオススメです。
(私も結構ミスをしがちだったので「自分がやりがちなミス」ということでチェック項目風に書き出していました)
(言葉にしろ文章にしろ)何を伝えたいのか分からない人 → 訓練をするしかない
SNSやLINEなど便利にコミュニケーションを取る手段が増えたことで、言葉遣いや文章が乱れているように思います。
言葉遣いについては「正しい敬語の使い方」がまず最初に思いつくと思いますが、普段のビジネスシーンでは正しい敬語が使えていなくとも、「頑張って敬語を使って喋ろうとする姿勢」が窺えればそんなに大きな問題にはならないはずです。
あからさまにNGな言葉遣い(ex.ぶっちゃげ、私的には、マジですか?、ヤバイ等)はダメですが、若手・新入社員が頑張って丁寧に話そうと四苦八苦している姿は、むしろ暖かい目で見られるはずです。
若手・新入社員の頃は、少なくともNGと言われる言葉遣いを勉強して、無意識のうちに使わないように心がけておきましょう。
さて、問題は文章の方です。
メールや社外文書、社内文書を書こうとして、自分が想像していた以上に日本語の文章が書けないという事実に直面したビジネスマンは多いのではないでしょうか?
また、自分ではきちんと書けていると思っていても、文章が上手な人からすれば「何だこの日本語は?」ということも多々有ります。
実際、どこかの社長さんが、「新入社員時代に自分が書いた文章が何度も赤ペンでビッシリ訂正されて返ってきたのは苦い思い出」「新入社員の仕事はまずはきちんと文章が書けるようになること」といった経験談として話されていたぐらい大切なことだと思います。
私も、「(長々とメールの文章を読ませられて)結局、何が言いたかったの?」思ったメールや、文章が支離滅裂で読んでも全然頭に入ってこないメールを受け取ったことは何度もあります。
巷では「文章の書き方」なる書籍が乱立しています。もちろんこれらを読むことで一定のルールをになりますが、実際に上手くなるには何度も間違えて正しい表現を身に付けるしかありません。
また、文章が上手くなるということは、短い文章で伝えたいことをまとめることが出来るようになる訳ですから、要点を掻い摘んで話すことも必然的に上手くなります(頭の中でまとめたものを、紙に書くか、言葉にするかの違い)。
要点を掻い摘んで話すことに慣れていない方は、喋り出す前に何を伝えたいのか、そのために必要な情報は何か、といったことを事前に整理しておかなければなりません。
そのコツは情報を精査し、冗長的なものは極力省き、本題や本質を中心に組み立てることです。「あれもこれも」という考え方では短い時間では到底伝えることが出来ません。また、話した後に相手側から質問として聞かれそうな情報(補足的なもの)も別途用意しておけば完璧です。
伊藤羊一 氏著の「1分で話せ」がベストセラーになっていますので、その辺りも参考にして見て下さい。
社会人にもなって、なぜ文章の練習をしないといけないのか?と思う方もいると思いますが、誤字脱字はもちろんのこと、読むに耐えない文章は自分の評価のみならず会社の評判すら下げる要因になります。
例えば、Yahooの記事やコメントで誤字脱字や誤った文章に対して厳しい指摘が行われることがしばしばありますが、プロ(ライターや新聞記者)が記事を書いて投稿する以上、そこにはプロとしての仕事の質が要求される訳です。
同じように、社内から社外に向けて発信される文章やメールも、「会社としての公式の文章」として扱われる訳ですから、「会社の看板」を背負っていることになるからです。
性格的な面
期限、時間、報連想等ルールが守れない人 → ルール違反の場合は大目に見たり、呆れたりせずその都度ペナルティを与える
期限に関しては、仕事を頼む時にお互いが了承のもと決めたり、締め切りの何日前に一度見せてと言った形で進捗状況を都度確認したりすることである程度は管理することが出来ます。
また何度も遅刻したり、訪問や会議の時間に遅れると言った場合は、時間の大切さ(ex.あなたが5分遅刻することで、参加者×5分の時間を奪っている)を伝えたり、人事評価に反映したりするといったことが考えられます。
始業時間への遅刻は就業規則に定めるなどしてしっかりとノーワークノーペイの原則などで罰則を与えるようにしましょう。
いずれにしろ、一度決めたルールや約束は徹底して守らせることが大切ですし、万が一破った場合には相応のペナルティを与えるようにして下さい。
間違っても、「たった○分だから…大目にみよう」「何度言ってもきかないから、もう注意をするのはやめよう」といった態度をとってはなりません。
違反してもペナルティ(罰則、注意等)がないと一度でも味を占めると、やがて何度も何度も繰り返すようになります。
同時に、一人のルール違反を黙認すると、他の社員にも悪影響を与えるということを忘れてはいけません(「腐ったみかん方式」で組織全体がダメになるということ)。
報連想に関しては部下に任せっきりにするのではなく、上司や先輩から積極的に報連想を行うことが重要です。
何故なら、部下も部下なりに思うところがあって、一つは、忙しい上司や先輩に貴重な時間を取ってもらって報連想するのは迷惑になるのではないかという気持ちがあるからです(折角、部下が報連想しても迷惑そうな顔をしたり、忙しくてあんまり相手にしてくれないという職場も実際にあるはずです)。
もう一つは、そもそも部下は上司や先輩に近寄りたいとは思わないという心理です。皆さんも事務所に社長・部長や店長が留守でいない場合は自然と羽を伸ばしているのではないですか?それと同じように部下(若手・新入社員)も出来れば上司や先輩がいない方が良いと思っている部分も少なからずあるからです。
特に上下関係に厳しかったり上司や先輩によるパワハラまがいのことが日常的に起こっている職場ではこうした傾向は強いはずです。
何でも他人のせいにする人(責任転嫁する人) → 言い逃れ出来ないよう責任の所在を明確にしておく
みんなで一つの仕事を完成させるような分業制が当たり前の日本だと、当然一人ひとりの仕事の責任範囲が不明確になります。
こうした隙を突かれると、責任転嫁も可能になるということです。
であれば、仕事を頼む段階や職種に応じて役割を持たせる段階で、責任の所在をはっきりさせておくことが一番の解決策です。
一点注意するとすれば、「それは言われませんでした」「知りませんでした」と後で言われないように、仕事の具体的な内容や完成形のイメージと言ったものを出来るだけ明確にしておくということです。
共同でやらせる場合も、「この部分はあなたの仕事」「仮に○○さんが一部手伝ったとしても、あなたが全体の責任を負うことになる。だから他人任せにせずにしっかりと進捗状況や出来栄えを確認すること」等の取り決めを事前にしておきましょう。
共同の場合、得てして他人が担当した部分にはあまり注意が働きません。
意図的にフリーライドする方もいますが、多くの方が良い意味で共同作業をした相手の仕事の出来(質)を信頼してしまうからです。
「(きっと自分と同じレベルで)きちんと仕事をしてくれているだろう」と勘違いしてしまうと後で痛い目に遭う可能性もありますので、そうした細かな部分も含めて責任の所在を明確にしておくとなお良いです。
要は「他人の仕事(作業)が一部あっても、そこを含めてチェックし、全体の仕事に責任を持つのはあなただ」という取り決めをきちんとしておき、逃げ道を塞いでおくのも効果的だということです。
指示待ち族 → 指示があれば動けるレベル。次の段階を目指して教育しよう
最近の新入社員は、「自主性がなく、指示待ちになりがちだ」ということがよく言われます。あなたの会社にも一人や二人はいるのではないでしょうか?
これについては過去に紹介した元・中日ドラゴンズの監督である落合博満 氏の講演会でのコメントが参考になると思います。
(コメントを掲載している記事はこちら)
落合博満 氏は講演会の中で、「指示待ち人間大いに結構」と述べています。
その発言の真意は「指示がなければ動けない」というのは言い換えれば、「指示があれば動く(従う、こなせる)」ということです。
つまり、指示待ち人間はまだそういうレベル(自主的に動けるレベル)に達しておらず、指示がないと動けないレベルである、ということを認識することからスタートしなければなりません。
今はまだ指示がなければ動けない人間な訳ですから、次の目標・レベル(指示がなくても自主的に動けるレベル)に教育していけば良いということです。
これをプロ野球に例えるならば、ドラフトで新人として入ってきたルーキーはまだプロで通用する身体ではないので、時間をかけてプロで通用する身体を作り上げます。そして、その次はプロで通用する守備、打撃と言った順に足りない部分を適宜鍛えていく訳です。
これと同じように指示待ち人間にも本人の成長過程に合わせて必要な能力・スキルアップを図ることになりますが、ここで大切なことは、社員が今どういうレベル・状態にあるかを見極め、適切で効果的な人材育成が出来る上司や先輩が重要だということです(プロ野球で言えばコーチの役目)。
ですが、こうしたことは一朝一夕で出来るものではありません。
日頃から上司や先輩が後輩(若手・新入社員)に対して関心をもち、「今、どういう状況にあるのか。何が出来て何が出来ないのか」といったことをチェックしておく習慣を身に付けておきましょう。
その為にも日頃のコミュニケーション、対話が重要になります。
「使えない人」と言うのは簡単だが、その原因は部下を育てられない「あなた」にある
さて、色々と方法と対策を書いてきましたが、絶対に忘れてはいけないのが「自責」の考えです。
「使えない人」「仕事が出来ないヤツだ」と嘆くのは簡単ですが、自責の念をもって考えれば、人材を育てられない「あたな」にも原因があります。
人が成長するには時間がかかりますし、人を育てるには多大なエネルギーを消費します。ましてや、ゲームのRPGのように、敵を倒せば簡単にレベルアップ出来るようなものでもありません。
だからといって「あいつはダメな奴」と早々に諦めて見切りをつけてしまっていませんか?
滾々と言って聞かせ、時に手本を見せて根気よく育てる気概が必要です。
「人を育てること」こそ、経営者や上司といった先達の役目なのですから、そのことを努々忘れないようにして下さい。
まとめ
「使えない人」「仕事が出来ない人」と諦めてしまうのは簡単ですが、人を成長させてこその経営者であり上司です。
当り前ですが、「人の育て方」に正解はありません。
会社レベルで出来る事、現場レベルで出来る事様々あると思います。
その会社や社員(能力・性格)に応じて臨機応変に試行錯誤してみて下さい。
何より大切なことは、やり方や方法論ではなく、途中で見捨てず最後まで粘り強く指導を続ける気持ちです。
最後に本記事の内容が何か一つでもお役に立てば幸甚です。
・仕事で使えない人の特徴
・使えない人を使えるようにする方法(対策)
・会社レベルでやれる指導
1 まず前提が間違っている。考え方を変えよう
2 貼られたレッテルを一度取っ払ってみる
3 人事異動(配置転換を含む)をする
・現場レベル(上司・先輩等)でやれる指導
【能力的な面】
1 成果が出せない人 → やり方が分からないから
2 何度も同じミスや失敗をする人 → 伝わったかどうかの確認やメモ・見本、チェック項目表、行動(提出)前の再確認などを徹底させる
3 (言葉にしろ文章にしろ)何を伝えたいのか分からない人 → 訓練をするしかない
【性格的な面】
1 期限、時間、報連想等ルールが守れない人 → ルール違反の場合は大目に見たり、呆れたりせずその都度ペナルティを与える
2 何でも他人のせいにする人(責任転嫁する人) → 言い逃れ出来ないよう責任の所在を明確にしておく
3 指示待ち族 → 指示があれば動けるレベル。次の段階を目指して教育しよう
・「使えない人」と言うのは簡単だが、その原因は部下を育てられない「あなた」