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行政書士試験一発合格者の体験談(難易度、勉強時間、行政法や民法の勉強法、記述式対策)

 
行政書士の合格証(アイキャッチ用画像)
この記事を書いている人 - WRITER -
経営コンサルタント(中小企業診断士)、人事・労務コンサルタント(社会保険労務士)。福岡生まれの熊本育ち。性格は典型的な「肥後もっこす」。 「ヒト」と「組織」の問題解決(人材教育・育成や組織変革)を専門とする。 また、商社時代に培った経験から財務・会計にも強く、人事面のみならず財務面からの経営アドバイスも行う。 他にも社会保険労務士、中小企業診断士や行政書士など難関国家資格を含む20個の資格にフルタイムで働きながら1発合格した経験を生かし、資格取得アドバイザーとしても活動中。
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何故かここひと月で3人ほどの方から「行政書士を目指して勉強している」もしくは「今後、資格を取りたいと思っている」という話をお聞きしました。

行政書士に興味を持つ迄、行政書士の勉強をしているという方に出会ったことは、ほとんどなかったのですが…。
興味を持った後(特に合格した後)って、不思議とこういう話に出会うことが多くなるんですよね。不思議な縁ってあるんだろうなと思う瞬間です。
けど、その分、みんな「○○○士」って資格知ってるんだ。興味あるんだ。って思って嬉しくもあります。

良い機会なので、合格者の端くれとして行政書士試験についての体験談(難易度、勉強時間、勉強法、感想など)をお話したいと思います。ただ、資格学校のような専門家ではないので、ざっくりした説明の所もあります。

また、体験談や勉強法のことを知りたいと思っている方がこの記事を読んでいることを前提としますので、「行政書士試験ってどんな試験(試験時間、実施時期、受験科目、合格基準点)なのか?」といった試験概略の話はここでは省略させて頂きます(試験概略については、「一般財団法人 行政書士試験研究センターのHP」や各資格学校のHP等をご覧ください)。

参考情報:資格の学校TAC(TAC(株)運営)のHPに、2017年の行政書士試験の合格者の声(合格体験記)として掲載されていました。。

行政書士試験直前期の方は、下記の関連記事もご参照下さい。

勉強期間は9ヶ月強

カレンダーの写真

私は、大手資格学校として名高い?TAC(タック)を利用していたので、行政書士講座の開講スケジュールに沿って勉強をスタートしています。

具体的には、2017年の2月頭からです。(ちょうど、前年度の行政書士の合格発表(例年、1月末に合格発表)があったタイミングからスタート)
本試験日が2017年の11月12日(日)ですから、勉強期間としては9ヶ月と2週間余り

ネット等の情報によれば、8ヶ月〜1年ぐらいの勉強期間が必要という話がほとんどですので、私の場合もごく一般的な勉強期間だと思います。
稀に、1ヶ月や3〜4ヶ月といった短期間で合格しているケースが紹介されていることがありますが、こういったケースは例外だと考えて下さい。
短期間で合格出来る方というのは、よほどの天才か、過去に法律系の勉強をしたことがある方(例えば、行政書士の上位資格である司法書士の受験経験がある方など)、あるいは時間に余裕がある受験専念組み(学生や会社を辞めて受験勉強に集中している人)だと考えた方が無難です。

とは言え、先日、5月から行政書士の勉強を始めて見事1発で合格したという方にお会いしました。短期間の勉強でもやってやれないことはないんだなと思いました。「正直、この人すげー」って驚きました。

【実績】積み上げた勉強時間は◯◯◯時間(一日平均◯時間の勉強)

試験勉強の写真

さて、その勉強期間の中でどれだけ勉強したかというと、ズバリ660時間です。
学習開始(2月)から8月頃までは、一日平均2時間。直前期(9月〜本試験まで)は、一日3.5時間の勉強でした(この数値は、土日のまとまった勉強時間も含めて平均化したものです)。
私は受験勉強中は、「Studyplus(スタディプラス)」というアプリを使って勉強時間を随時測定していましたので、かなり正確な数値だと思います。

ネット等では、行政書士試験の合格に必要な時間は500〜800時間ということでしたので、それに当てはめるならばこれまた一般的な勉強時間だったのだと思います。

ただ、私の場合は、行政書士試験を受験すると決めた時点で、中小企業診断士や社会保険労務士の資格を持っていた上、何よりも「資格試験の勉強」に慣れています。つまり、毎日勉強することが習慣化していて、勉強法もある程度確立している状態だったと言えます。

また、社会保険労務士の他にもビジネス実務法務検定2級、宅地建物取引士などの資格を持っていたので、法律の知識や法律条文に慣れているというアドバンテージもありました。

具体的に言うと、民法は、ビジネス実務法務検定2級、宅地建物取引士や中小企業診断士で、商法(どちらかと言えば会社法)は、中小企業診断士や仕事で少し齧っていました。

一般知識等についても、社会保険労務士の受験科目の中に「労務管理その他の労働に関する一般常識」、「社会保険に関する一般常識」というものがあり、行政書士試験でも出題範囲となり得る分野でした。
その他にも一般知識等で問われることの多い、情報通信・個人情報保護の分野は、中小企業診断士で経営情報システムという科目で勉強したことがありましたし、IT系の資格(ITパスポート)も持っていたので行政書士の受験に対しては役に立ったと言えます。

と言っても、一般知識等の範囲は広大なので焼け石に水程度ですが…。
(私が受験した2017年は、ある作家の代表作(著書)を答えるという問題が出題されましたし)

こういったアドバンテージを持った上で、660時間という勉強時間を考えると法律系の勉強が初めてといった方は、更に多くの勉強時間が必要になるのではないかと思います。それこそ、+200時間ぐらい(?)。

特に民法などの言い回しに慣れたり、内容を理解するのに結構時間がかかると思います。従って、個人的には、行政書士試験の合格には、初学者(かつ法律の勉強が初めてといった方)の場合は、700〜1,000時間の勉強時間が必要と考えても大げさではないと思います。

合格するために必ずしも500〜800時間の勉強が必要という訳ではない。

先ほど、ネット等では、合格には500〜800時間の勉強時間が必要だと書いてあると言いましたが、必ずしもその時間が必要だという訳ではありせん。

その理由は、2つあります。

一つ目は、多くの時間をかけたからといって、その全てが合格(得点)に直結する訳でないからです。
少ない勉強時間でも勉強したところが試験で問われれば得点に繋がります。
一方でどれだけ時間をかけて細かなところを勉強しても(例えば商法や一般知識等など)、出題されなければ得点には繋がりません。
つまり、勉強時間と得点は必ずしも比例する訳ではないということです(費用対効果を考える必要があるということ)。そう言った意味で、どの科目にどれだけの時間を費やすかを考え、それを実行に移すことが資格試験の合格には大事になります(科目毎の勉強時間を後述していますので、参考にしてみて下さい)。

二つ目は、勉強(知識)のピーク時期と試験日との関係にもよるからです。
勉強にはピークがあります。
つまり、知識のピークやモチベーションのピークといったものです。
普通は、直前期から本試験にかけてモチベーションを高めていき、本試験の日に知識のピークが来るように調整します。
ですが、受験勉強中、モチベーションも高く、計画通りに勉強できている時などは、「今が試験だったら良いのに」と思うほど記憶、気力ともに充実している時期があります(私の場合は、科目毎に行われる確認テストに合わせて、一旦知識のピークを持って行っていました)
また、長期間の勉強だとモチベーションが持たないので、3〜5ヶ月といった短期間で試験日まで駆け抜けて行くといったやり方の方が向いている方もいると思います。

私は資格学校のスケジュールに合わせたペースでしたので9ヶ月ほどの勉強期間となりましたが、本試験1ヶ月前あたりに行われた答練や模試の時点で合格点の180点は取ることが出来ていたので、もう少し短い勉強期間でも大丈夫だったとは思います。

一方で、モチベーションが低下し勉強する習慣が崩れてしまったり、しっかり覚えていたはずの内容を忘れ出したりと停滞する時期もあります。

私自身、2月から勉強を始めましたが、8月は1ヶ月に15時間程しか勉強していません。原因は、モチベーションの低下です。
折角、それまで半年かけて民法や行政法の完成度を高めていたのに、その1ヶ月でかなり失速・低下したと思います。本来なら、新しい科目(その時期は商法)を学びつつも、学習済みの科目を復習し、記憶の維持を図らなければならない大切な時期だったのですから。
とは言え、こうしたモチベーションの低下や、慢心・油断というのは誰しも起こりうることだと思います。

従って、このようにモチベーションが低下する前に短期間で試験まで駆け抜けた場合や、勉強の費用対効果が高かった場合は、それ(500〜800時間)以下でも十分合格出来る可能性はあると思います。

(他士業との比較)20個の資格を持つ私が思う、行政書士試験の難易度

では、実際に行政書士試験を勉強・受験・合格してみての難易度ですが、よく比較される他の士業と比較してみたいと思います(弁護士、司法書士は、ランクが一つ上の資格だと思うので除外します)。

ズバリ!試験の難易度は、

 社会保険労務士 > 中小企業診断士 > 行政書士 > 宅地建物取引士 

の順だと考えています。

私は上記4つ全ての資格を持っていて、実際に受験勉強した上で述べているのでそれほど的外れな順位ではないと思います。ちなみに、ネット等に掲載されている資格の偏差値ランキングでは、中小企業診断士は67、社会保険労務士は65、行政書士は62、宅地建物取引士は57だそうです。

理由は以下の通りです。

(難易度)1番目は「社会保険労務士」

社会保険労務士を一番にしているのは、暗記する量が膨大だということ、選択式問題の足切りがシビアだからです。あと、3時間半という「耐久レースかよ!」と思いたくなるほど長時間の試験(+夏場に行われる)だということも加味しています。
特に、どれだけ択一式問題が取れていたとしても、選択式問題で奇問・難問が出題された場合、無条件に足切りに合う可能性があるため、非常に理不尽さを伴った資格試験だと考えています。合格する実力があっても、「運」という名の一文字で不合格になる可能性が高い資格と言えます。一時期、選択式問題で難問が続いたため、合格率が2%〜4%台に低下していたほどです。これは、司法試験や司法書士試験にも相当する難易度です。

(難易度)2番目は「中小企業診断士」

こちらも科目数的には社会保険労務士に負けず劣らず(7科目)あります。特徴としては、法律、IT、経済学、財務・会計など受験科目が多岐に渡ることです。苦手科目を作ることなく全ての分野で満遍なく得点を取ることを求められますので、オールマイティーさが必要になると言えます。
高校や大学受験などで文系と理系に別れ得意科目に打ち込むことが出来ますが、中小企業診断士の試験では文理両方が求められるということです。(経営理論や法律などは文系、財務・会計、ITなどは理系といった感じに区分出来ます)

一方で、中小企業診断士の試験は救済?制度が充実しています。
一次試験は、60点以上の点数を取れば科目合格という制度(3年間有効)がありますし、二次試験も一度ダメでも翌年一次試験を受けることなく二次試験を受験する受けることが出来ます(トータル2回チャンスがあります)。
そう言った救済措置があるという点から、二番目としています。

(難易度)3番目は「行政書士」

三番目は、お待ちかねの行政書士試験です。
この試験も一般知識等で14問中6問(4割の正解率)取らないと足切りになるのですが、社会保険労務士試験(5問中3問、6割の正解率)よりは足切りラインが低いこと、科目毎によって配点が異なるため(後述)、比較的対策が立てやすいこともありこの順位に来ています。
例えば、足切りの一般知識等は、文章理解(3問)、個人情報保護(2問、但し年度によって出題数変わる)を取りこぼししなければ足切りを免れやすいと言われていますし、配点が高い行政法、民法に力を注ぎ込めばある程度の得点水準(160〜170点前後)まで辿り着くことが可能となります(同時に、行政法、民法に力を入れるということは、記述式の得点アップに繋がるので…尚のこと総得点のアップに繋がります)。

(難易度)最後(4番目)は「宅地建物取引士」

宅地建物取引士については、説明不要かもしれません。宅地建物取引士は、法律系資格の登竜門として位置していますので、合格率は15%(確か、上位15%前後の相対資格)と、他の士業より合格率は高めです。
また、他の資格は合格まで600〜1,000時間程度の勉強時間を要したのに対して、宅地建物取引士は100時間ほどの勉強時間でも合格できたことからこの順位としました。とは言え、意外に難しいのがこの試験。登竜門の資格として舐めていると痛い目に合います(私ももれなく体験済み)。

(おまけ)果たして独学での合格は可能なのか?

同業の方とお会いすると、たまに「独学で勉強しました?」「どこか学校(TACや大原など資格学校に通いました?」といった類の話題が出ることがあります。
結論から言えば、前述した4つの士業資格については、いずれも独学で合格することは可能だと思います(私は、宅地建物取引士だけが独学。あとは資格学校の利用です)。実際、独学で合格した方にお会いしているからです(中には一発合格といった猛者も…。私は、独学での勉強は性格的に無理なのでただただ尊敬です)。

ただ、万人に勧められる方法ではないのも事実です。最近は、格安の通信教育など色んな学習方法がありますので、金銭的、居住環境、家庭環境、職場環境など様々な面で検討された上で決断した方が良いと思います。

資格学校は、お金(費用)こそ掛かりますが、一週間に1〜2回授業が行われるので、勉強が習慣化しやすいです。また、同じ志を持つ受講生とも知り合いになれるのでモチベーションの維持にも役立ちます。試験のことで言えば、各科目の出題傾向や頻度などに応じてテキストが構成されているので、あまり重要ではないところに時間をかけるといった無駄がなくなります。授業でもここは覚えるべき所、そうではない所とメリハリがありますので学習効率が上がります。
また、一般知識等は、白書や統計資料など膨大なデータの中から対策を取らなければなりませんが、その手間を資格学校の方でやってくれるので自分(素人)がやるよりも効率的です(法改正も同様のことが言えます)。

このように資格学校の利用には、それだけの費用対効果は十分にあると思います。(身銭を切っているので、簡単に途中で諦めなくなりますしね)
前述したように、4ついずれの資格も独学での合格は可能だと思いますが、独学・資格学校それぞれのメリット・デメリットを考えて上手く活用してみて下さい。

他の資格との一番の違いは、記述式があること!

記述の写真

上に並べた4つの士業との一番の違いは、やはり行政書士試験には記述(筆記部分)の出題があることです(中小企業診断士の2次試験はここでは除外)。
しかも、配点が3問で60点分。
行政書士試験の合格は、300点満点中180点を取れば良いので、記述式が大きなウェイトを占めていることが分かると思います。ちなみに、ある程度択一式で得点が取れていないと、記述式の採点をしてもらえないという事態に陥ります。

マークシートは最悪の場合、勘で書いても正解する可能性はありますが、筆記だとそれがなかなか難しい部分があります。部分点狙いで回答することも可能ですが、問われている論点と回答がズレていると有無を言わず0点になります。

実際に私が受験した時も、記述式の行政法の1問目で問われている論点が分からず、部分点狙いで色々と書きましたが見事に0点でした(ヒドイ、笑)。加えて、過去の試験では、マークシート部分(五肢択一、多肢選択)の正解率が高い場合(比較的受験生の皆さんが得点を取れているような時)は、記述式の採点が辛くなるといった噂もあるようです。

民法、行政法、憲法等の勉強法について

勉強中の写真

勉強法について語る前に、各科目への基本的なアプローチを考えておかなければなりません。そのためには、各科目の配点をチェックしておく必要があります。

科目毎の配点から考えれば、攻め方(勉強法)は必然的に決まる!

先ほど少し触れましたが、行政書士の試験は、科目によって出題数に偏りがあります。
具体的には、

【表:科目毎の配点と個人的難易度】

科目

出題形式 出題数 配点

個人的難易度

行政法

五肢択一 19問 76点 易しい
多肢選択 2問 16点
(2点×8問)
普通
記述式 1問

20点

普通
小計 22問

112点

 
民法 五肢択一 9問 36点 普通〜難しい
記述式 2問 40点 普通〜難しい
小計 11問 76点  
憲法 五肢択一 5問

20点

普通〜難しい
多肢選択 1問

8点
(2点×4問)

普通
小計 6問

28点

 

基礎法学

五肢択一 2問

8点

普通〜難しい

商法

五肢択一 5問

20点

普通〜難しい

一般知識等

五肢択一 14問

56点

易しい〜難しい

合計

  60問

300点

 

という構成になっています。

注目してもらいたいのが、行政法と民法の配点です。
この2科目を合わせるだけで188点となり、合格基準点の180点を超えてしまいます。
実際には、一般知識等を6問以上正解しないと足切りに会うので、そう単純なものではありませんが…。ここではこの2科目の重要性を理解してもらえればそれで十分です。ちなみに、他の士業の試験だと、科目毎に難易度の違いはあっても配点にここまで大きな偏りはありません。

こういった科目毎の配点の差を考慮すれば、
必然的に、勉強の力の入れ具合は、 行政法>民法>憲法>(一般知識等)>商法の順番 になると思います。(一般知識等にどれだけ時間をかけるかは難しいところがありますが、行政法と民法よりは下に来ると思います)

五肢択一だけをみると、憲法も商法も配点は同じ20点ですが、憲法は全ての法律の最高法規として位置づけられ基礎となるものですから、効率的に勉強するためにも、憲法を優先した方が良いです。憲法前文などは義務教育で学習経験がありますし、天皇や内閣や判例(裁判事件)など皆さんがテレビやニュース等で触れたことがある内容が出題されるので、商法に比べて勉強し易いということも考慮しています。

行政法の勉強法:この科目で得点を稼ぐべし

五肢択一、多肢選択、記述式全て合わせると、112点という高配点の行政法です。流石、「行政」書士試験と呼ばれるだけのことはあります。
総得点(300点)の37%を占める訳ですから、合格を勝ち取るためには避けて通れない科目と言えます。
説明不要だと思いますが、行政法という法律は存在しません。行政に関する法律をまとめて行政法と呼んでいるだけです。試験で問われるのは、主に行政不服審査法、行政手続法、行政事件訴訟法。あとは国家賠償法や地方自治法などがその出題対象となっています。要は、数ある行政系の法律の中からある程度出題範囲が絞られているということです。

その中で出題頻度が高い法律を中心に勉強していくことになります。
中でも、行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法は中心となります。
地方自治法は、範囲も広い上、分かりにくく、システマチックな暗記も必要となりますし、取っつきにくいこともあって、少し注力度は下がると思います。
基本的には過去問を中心に問題演習をこなしながら、合わせて関連判例などを押さえていく感じになります。本試験では70〜80%前後の正解率を目指す必要があります(出来れば80%)。

上の表で科目毎の個人的難易度を記載していますが、行政法の出題は比較的難易度が易しいと思います(これは配点の上からもそうなっているのでしょう)。変化球の問題が出題されることも少ないので、過去問や問題集を解いていれば、「あっ、この問題見たことある」という出題が多いのが特徴です。

民法の勉強法:1044条というボリュームに深追いは厳禁

民法の配点は、76点と行政法に次ぐ配点です。
五肢択一は、9問36点分しかありませんが、記述式の2問で40点分問われるので、「本試験で民法の記述式が書けない」「空白で回答する」と途端に合格が遠のいてしまう可能性がある科目と言えます。
私も、本試験の記述式で書けない問題が出題されたら、ヤバイなと内心ヒヤヒヤしていました(記述対策については次の見出しの項目を参照下さい)。ただし、ごく稀に記述式抜きで180点超えてしまう猛者もいますけど(笑、私の知り合いにもいました)。

民法は、1044条に及ぶ法律です(日本の法律の中で一番条文が多い!?)。この全てを細かく押さえるのは不可能です。というのも、私自身しっかりテキストを押さえていたとしても、模試や本試験などで知らない条文や考え方(例えば危険負担の考え方の応用など)に出くわした事が何度もありますので。

まずは、頻出論点と(まだあまり出題されていないような)基本論点を押さえるのが鍵です。合わせて、法律独特の言い回しにも慣れる必要があります。例えば、「善意・悪意」、「第三者」、「条文中の例外規定」、「推定する」のか、「みなす」のかといったものです。

民法自体の難易度と条文数を考えると、60%前後の得点を目指すのが妥当だと思います。私が聞いた話によれば、行政法と同じくらい勉強したとしても本試験での正解率は60〜70%ぐらいまでしか到達出来ないそうです。それだけ、行政法に比べて難しく、すぐに得点に結びつく科目だとは言えない訳ですが、76点と高配点、かつ記述式も出題されるので難しくても避けては通れない科目です。

あとは、問題文を読み解く力も必要です。読解力や事例認識力と呼ばれるものです。民法の問題では、A、B〜Dといった登場人物が登場してきて、それぞれの相関関係(債権・債務、善意・悪意など)を理解して問題を解く必要があります(時には図を書いて相関関係を表すことも必要)。この解釈を間違えると正しい答えを選ぶ事が出来ません。

あとは、参考書として、「民法がわかった!」という本を資格学校の民法の授業と並行して読んでいました。ネット等で「民法を勉強する際、参考になる、役に立つ」という情報を得たので購入しました。
「じゃー、受験生に薦めるか」と言えば薦めないですね。一度は通読しましたけど、民法の勉強をしているときに、読み直すなどして活用したかと言えば、全くしませんでしたし。基本的にテキストだけで十分だと思います(TACさんのテキストが上手くまとまっていて優秀だったということもあるかもしれませんけど)。

憲法の勉強法:判例問題に慣れるべし

憲法は日本国民にとって馴染み深いものなので、新聞やテレビなどを日頃から見ている人であれば、比較的スムーズに勉強に入っていける科目だと思います。

憲法は、条文を聞かれることも勿論ありますが、憲法法理(例えば、「学問の自由」「職業選択の自由」)を判例問題という形で問うことが多いです。
問題集で多くの判例に触れておく事が大切です。基本的にはテキスト等に取り上げられている有名な判例から出題されるのですが、選択肢によっては初見の判例が取り上げられることもあります。
そういった場合でも、消去法などを使って冷静に対応するのが望ましいです。可能であれば、出題時点での最新判例なども押さえておきたいところです。
条文と判例を押さえるのが憲法の攻略法と言えます。本試験では、70%〜80%前後の正解率は欲しいところです。

一般知識等の勉強法:日頃から新聞・ニュースを見ておくべし

一般知識等は、範囲が広い上にどんな問題が出されるか分からないので対策が立てにくいのが特徴です。
前述しましたが、本試験当日にまさかある作家の代表作(著書)を答えるなんてなんて問題想定していないですからね。問題文を見た時は本当にびっくりしました。
政治・経済・社会等については、日頃から新聞やニュースを見ておくのが良いでしょう。2017年度の受験の際は、トランプ大統領、イギリスのEU脱退、TPPの問題などが想定されていました(出題はなかったですが)。ですが、最近の代表的なニュースなどは覚えておいて損はないと思います。まぁ、一般の社会人であれば日頃から新聞くらいは読んでると思うので、特別何か対策を取るということは必要ないと思います。
(スマホ等のネットニュースがダメという訳ではありませんが、逆にネットだけだとアルゴリズムの関係で表示されるニュースが偏重する可能性もあるので、満遍なく網羅しそうな日経新聞などの方がより良いと思います)
あとは問題集や模試で問われた内容をその都度押さえておけば良いのではないでしょうか。

情報については、個人情報保護などがよく問われますが、それ以外に情報通信(情報公開法、著作権法等)やIT用語が問われるので、人によっては得意・不得意が出る分野でしょう。
これも過去問を中心にしつつ、新聞等でよく出てくるキーワードを押さえてお句しかないと思います。

例年、一般知識等の出題は、政治・経済・社会から7〜8問、情報通信・個人情報保護から3〜4問、文章理解から3問、計14問出題されます。
足切りに合わないためには、6問以上の正解が必要ですから、文章理解で3問、情報通信・個人情報で2問の正解が欲しいところです。政治・経済・社会は本試験では40%〜50%程度の正解(3問程度の正解)で良いと思います。
また、一般知識等は、出題内容、個人差によって得点にかなり変動がありますので、答練や模試等では知らない問題が出たらその都度覚えつつ、広く浅く押さえておくぐらいの気持ちで良いと思います。

私は、一般知識等は答練や模試では40点台後半の点数(14問中10〜12問は正解する感じ)が多かったのですが、本試験では32点(8問正解)と正直低調でした。出題内容によってはこういったこと(本試験であまり点数が取れない)も起こり得ます。従って、文章理解の3問、情報通信・個人情報の2問以外で安定して得点を取り続けるのは難しいということも頭の片隅には置いておきましょう。

例え、普段模試などで点数が取れていても、本番では最悪足切りを免れる点数ぐらい(6問正解、24点)しか取れない可能性もありますので、合格ラインである180点をどう取るかの作戦立てをする際に、一般知識等の目標点数を高め(例えば40点台)に設定しておくことはあまりオススメしません。むしろ一般知識等では、基本問題を取れるように最低限勉強しておくことは前提として、あとは出題内容次第で高得点が取れたらラッキーぐらいの心構えの方が楽だと思います。
それよりも、民法、行政法できちんと点数を確保することを意識して勉強しておくことの方が大切です。

商法の勉強法:頻出論点を中心に勉強すべし

商法は、会社法から4問、商法から1問という出題形式です。
基本的には、頻出論点(設立、株式、機関設計等)を中心に勉強するのがベストだと思います。
商法は、範囲が広く、機関設計の分野などは複雑で覚えるだけでも一苦労です(しかも民法の特別法に位置するので民法の知識も必要)。しかも、多少覚えていたとしても少し捻られた問題が出ると、途端に正解率がガクッと落ちてしまう可能性も高いです。
「広く浅く、深追いはしない」というのが商法攻略の鉄則だと思います。本試験でも5問中2問正解できれば御の字ではないでしょうか。

ちなみに、私は、TACの全国模試で商法0点(5問全部不正解)を取ったことがありますw。自己採点していたら、「×××××」と5連続バツに思わず笑いがこみ上げました(「12.2 ちなみに公開模試時点の点数は?」の見出しをご参照下さい)。
まぁ、出題内容によっては、そんな可能性もあるのが商法の怖いところです。

行政法、民法の記述対策について

基本的には、過去問の五肢択一を何度も解いていれば、記述式対策として特別なことをする必要はないと思います。
「過去問が解けるようになる」≒「記述式も書けるようになる」という方程式が成り立つからです。
但し、条文などの言い回しに慣れておくことや、正しい漢字や数字(例えば、心裡留保や瑕疵、時効○年といったものなど)が書けるように日頃から注意をしておく必要があります。
これは、テキストや問題集を解いている時にちょっと漢字の練習をしたり、条文の言い回しをブツブツ呟いてみると言った感じでも十分だと思います。

どうしても心配な人は、記述式の問題集を買うのも一手だと思います。
私は、資格学校で行われる答練や模試等でも記述式はある程度得点が取れていましたが、直前期にTAC出版から発売されていた「合格革命 行政書士 40字記述式・多肢選択式問題集」を買って解きました。(当初買う予定はなかったのですが、直前期に古本屋に並んでいたのでついつい購入、笑)

2020年度版 合格革命 行政書士 40字記述式・多肢選択式問題集 [ 行政書士試験研究会 ]

価格:1,650円
(2020/6/17 18:21時点)
感想(0件)

この問題集に関しては、真面目に何度も解き直す(何回転もさせる)というよりも、問題を見て「問われている論点はココだよね」というのをさっと確認したり、「問題をこなすことで、問われうる論点に予め慣れておくこと」を目的として使いました。なので、結局、一回しか解いてません(笑)。

「【資格勉強法】社会保険労務士、中小企業診断士、行政書士に合格した勉強のコツ10選」という記事の中で、「使用しているテキスト、問題集を最後まで信じ抜くこと(浮気厳禁)!」という内容を書いていますが、今回の例のように目的を持って、ある種贅沢な使い方をする場合はありだと思います。
つまり、「1度きりの使い捨て問題集」。大事なのは、メインにせずあくまでサブ(問題の数をこなしたい演習用)として活用するということです。

行政書士試験用の「六法」は必要か?

しばしば、「行政書士試験用の六法」が必要かどうか、というのは議論になるところです。

私は、一応「行政書士試験六法(早稲田セミナー)」を買いました。

2021年度版 行政書士試験六法 [ 行政書士試験研究会 ]

価格:3,740円
(2021/7/20 10:32時点)
感想(2件)

買いましたが、ほとんど使わずじまいでした。何度かテキストに載っていない条文を調べるのに使いましたがその程度です(解説が詳しければ調べる必要もないかもしれません)。

だから、六法は必須アイテムではないと思います(これはテキストとの兼ね合いもあると思います)。もちろん、人によっては六法を使いこなしたという人もいらっしゃいます。

例えば、問題集や模試の問題で(テキストに載っていないような)知らない条文が出てきても、ネットで「◯法の第◯条」と調べれば、条文自体は見つけることが出来ます。大事なのはその問題と条文との関係、解釈の部分ですが、それは解説を見れば大体分かると思います。(むしろ解説が丁寧じゃない問題集を使っていたら、六法云々より、そちらの方が問題です)正直、解説に書いてあること以上の深い知識は、行政書士の試験上は不要だと思います。
言い方は悪いですが、実務としての法律ではなく、試験上の法律としてその解釈に慣れて点数に結びつけば良い訳ですから。

あと、六法を使わなかった理由として、持ち歩くには重くて、持ち運びに不向きだったことも関係しています。ただ、私が購入した六法は、条文と合わせて判例や過去本試験でこのような問題で問われたということも載っていたので使いやすそうではありました。

資格学校で配布される教材以外で購入した問題集

資格学校(TAC)の講座で配布される教材以外で購入したものを紹介します。
と言っても、基本は資格学校から配布された過去問集を使用しています。あくまで補足、問題演習用(問題を数多くこなすため)としての利用なので、解いた回数自体は少ないです。(リンクは2021年度版を紹介していますが、受験当時はすべて2017年度版を使用しています)

1:2021年度版 合格革命 行政書士 肢別過去問集
問題演習用として購入。1~2回転ぐらい解いた。
資格学校の教材とは違った解説や言い回しになっていて論点の理解に役に立った。

2021年度版 合格革命 行政書士 肢別過去問集 [ 行政書士試験研究会 ]

価格:4,180円
(2021/4/20 14:58時点)
感想(2件)

2:出る順行政書士最重要論点250(2021年版)
移動中や寝る前のちょっとした確認用として購入したけど、資格学校のテキストで確認することが多く、あまり使用せず。

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3:2021年度版 合格革命 行政書士 一問一答式出るとこ千問ノック
直前期にほぼ未使用の状態で中古本として売られていたので購入。
一度回答するだけの使い切り兼問題演習用。

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4:2021年度版 合格革命 行政書士 40字記述式・多肢選択式問題集
こちらも「3:一問一答式出るとこ千問ノック」とともに、直前期にほぼ未使用の状態で中古本として売られていたので購入。同じく使い切り兼問題演習用。

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(おまけ1)勉強する順番について:最高法規の憲法、そして民法、行政法、一般知識等、商法の順番が無難

資格学校や通信教育で勉強するという方は、そのカリキュラムに沿って勉強すれば良いと思います。
ここでは、独学で勉強する方のために、勉強する順番に触れておきたいと思います。
私は、TACの2月講座スタートでしたので、民法から勉強を開始しました。
そして、行政法、一般知識等、商法ときて、最後に憲法という順番です。

入校した時期(ちなみにTACだと10月や11月開講の場合は、憲法からスタート)やカリキュラムの都合上しょうがないのですが、最初に憲法を勉強しておくべきだったと思いました。
特に行政法を勉強している時に、憲法の最高裁判例や、考え方を知っていないと、その部分(憲法)の確認と理解に無駄な時間を費やしてしまうことが多かったからです(行政法の勉強をしながら、まだ習っていなかった憲法を勉強していたような感じです)。やはり、憲法は最高法規にあたるので、そのベースを押さえてから、民法や行政法に移っていく方が効率が良いと思います。

次に、民法と行政法を比べると、一般法と特別法の関係性から考えても、民法から勉強すべきだと思います(商法も民法の知識が必要ですので尚更)。
問題を解く時に、「民法だとこうだけど、行政法だとこうなる」という考え方が必要になるからです。やはり基礎の部分(一般法)を先に抑えてから、次の科目(特別法)を勉強した方が効率が良いと思います。

こうした理由から、勉強する順番は、憲法、民法、行政法、一般知識等、商法の順番が無難だと思います。
この順番を踏まえると、(試験の配点上)行政法は一番勉強する必要があると思いますが、一番最初に勉強すべきではないということは言えると思います。

(おまけ2)過去問以外の問題集では、問題文や選択肢の癖や言い回しに注意

私はTACの過去問集を中心にずっと問題を解いていましたし、模試等もTACでしか解いたことがないのですが、TACの模試や過去問集などの出題形式は、本試験に忠実だと思います。(これは、経験的に他の士業(社労士や診断士など)の講座であっても同様だと思います)

つまり、問題集や模試では、本試験の問題文や選択肢の言い回しをしっかり踏襲されているということです。ですから、実際に本試験を受けても、言い回しの部分で違和感を感じることはほとんどありません。

ですが、他の資格学校や出版社の問題集や模試などの中には、それぞれ癖があって、言い回しが変だったり、くどい表現・分かりにくい表現をしているものが中にはあります。以前、友人から他校の答練や模試を見せてもらったことがありますが、他校の問題文に慣れていなくて「結局、この問題は何を問うてるの?」と問題文を何度も読み直す羽目になったことを覚えています。

日頃から、本試験の問題文の言い回しに慣れておかないと、いざ本試験で解こうと思ったら違和感を感じてしまい、問題文の意図を読み間違いする可能性があります。合格ライン上にいる方や回答スピードに自信のある方であれば、それによって回答時間が足りなくなるということはないと思いますが、回答に時間がかかる方、いつもギリギリに終わる方などは、この「読みにくさ」が致命傷となる可能性もありますので、気をつけておいた方が良いと思います。

ですから、問題集などを買う前に言い回しが、本試験の問題文などの言い回しとズレがないかを確認してから購入することをオススメします。これは、少し上級のお話ですが、一応試験勉強あるあるの一つなのでお伝えしておきます。

(おまけ3)科目毎の勉強時間

さて、各科目の勉強法の紹介が終わったところで、科目毎の勉強時間(時間配分)を紹介しておきます。

アプリ:「Studyplus(スタディプラス)」のデータを集計したところ、

科目 配点 配点比率 勉強時間 勉強時間の比率
基礎法学 8点 2.7% 15時間 2.3%
憲法 28点 9.3% 56時間 8.5%
行政法 112点 37.3% 235時間 35.6%
民法 76点 25.3% 217時間 32.9%
商法 20点 6.7% 54時間 8.2%
一般知識等 56点 18.7% 83時間 12.6%
合計 300点   660時間  

という結果になりました。(3時間かけて行う答練や模試などの回答時間も含みます。科目毎の回答時間に合わせて比例配分しています)

結果を見ると、行政法と民法に総勉強時間の68.5%を費やしています。
ちなみに、行政法と民法の配点は188点と、全体の62.7%を占めますので、(多少の誤差はありますが)配点とほぼ同じ比率を勉強時間に当てていることになります。

その一方で、一番モチベーションが低下していた時期に、資格学校で講義が行われていた商法や一般知識等の勉強時間は少なめかもしれません。
憲法より一般知識等の勉強時間が多いのは、範囲の広さと答練や模試等で初見の出題(テキストに記載されていない論点が出題されたため)が多かったためだと思います。

(おまけ4)2017年度本試験での得点

テストの写真

一応、参考までに本試験での得点とその内訳を記載しておきます。
試験前に立てた作戦としては、
・答練や模試の時と同様いつも通り落ち着いて問題を解くこと。
・基本問題は落とさないこと。
・難問(特に民法や商法)には時間をかけず、分からなくてもあまり気にしないようにすること。
といった基本的なことです。
注:試験前日や試験当日の過ごし方については「【資格勉強法】試験前日や当日の過ごし方、試験テクニックなど実践してきたコツ8選を紹介」をご参照下さい。

ちなみに、試験当日は、試験会場到着前に「商法の確認(基礎の部分)」、試験会場に着いてからは一般知識等の確認をテキストで行いました。

なお、試験問題を解く順番については、こちらの記事をご参照下さい。

出題形式/科目 出題数 正解数 得点
五肢択一       
 基礎法学 2問 1問 4点
 憲法 5問 3問 12点
 行政法 19問 17問 68点
 民法 9問 8問 32点
 商法 5問 3問 12点
多肢選択      
 憲法 1問(2点×4問) (3問) 6点
 行政法 2問(2点×8問) (4問) 8点
記述式      
 行政法 1問 0問 0点
 民法 2問 2問 40点
一般知識等      
 一般知識 11問 5問 20点
 文章理解 3問 3問 12点
総得点 60問   214点

ちなみに、合否結果が届いてから自己採点をしたのですが、一問だけマークミスしていました。
一般知識等の部分で、自己採点では9問正解だったのですが、採点結果は8問正解の32点でした。模試や本試験等でほとんどマークミスした経験がないのですが…まさか本番でマークミスするとは(汗)。しかも、足切り対象の一般知識等ですから、この一問が合否を分けていたりしたらと思うとゾッとします。

確かに本試験での一般知識等は、正解かどうか確信が持てない問題が続いたので、メンタル面で少し乱れていたは事実なので(そもそも一般知識等は、足切り対象なので問題解く時も少し緊張します)、その影響かもしれません。

どんなに試験慣れしていてもこういう事が起こる可能性があるのが「本番」の怖いところです。皆さんも十分気をつけましょう。

得点と勉強時間の関係

最後に、得点と勉強時間の関係をみてみたいと思います。

科目 勉強時間(比率) 本試験での得点/配点 正解率
基礎法学 15時間(2.3%) 4点/8点 50.0%
憲法 56時間(8.5%) 18点/28点 64.3%
行政法 235時間(35.6%) 76点/112点 67.9%
民法 217時間(32.9%) 72点/76点 94.7%
商法 54時間(8.2%) 12点/20点 60.0%
一般知識等 83時間(12.6%) 32点/56点 57.1%
合計 660時間 214点 71.3%

一番勉強に時間をかけた行政法ですが、結果的には67.9%の正解率です。五肢択一では19問中17問の正解(89.5%の正解率)でしたが、記述式が書けなかったことが正解率が下がったのが原因です。記述式の部分点狙いも上手くいきませんでした(笑)

一方で、民法はほぼ満点に近い出来でした。
2017年度の試験では、行政法が易しく、民法が難しめということでしたので割と取れた方だと思います。

行政法と民法で、188点中148点(正解率78.7%)なので、「この主要2科目で得点を稼ぐ」という当初の目標は達成できたと言えるでしょう。

一般知識等は、日頃の答練や模試などの得点からすると、正直物足りない感じです(勉強時間も83時間と割と勉強時間を割いているのですが…)。
2017年度の試験では、文章理解を除いて、知識問題(本当の意味での一般知識)が多く問われていて(しかも、ほぼ初見)、正解を導き出すのが難しかったように思います。だから、この正解率でもしょうがないかなとも思ってます(それでも取れている人は取れているのですが…)。

ちなみに、公開模試時点の点数は

本試験の約一ヶ月前に行われる全国公開模試(2017年度)では、総得点182点で合否判定は「B」でした(2,252人中416位で偏差値58.9、平均点148.3点)。

2017年度行政書士試験の公開模試の得点
2017年度行政書士試験の公開模試の得点(TAC全国公開模試)

この時、商法の問題(問36~40、上記写真右下部分)で0点(5問中5問間違い)という不名誉な成績を叩き出しています(笑)。
それでも五肢択一の点数は104点・26問正解(本試験で128点・32問正解)なので、商法0点(本試験で12点・3問正解)を踏まえると、公開模試と本試験での正解率にそこまで大きな差はないのかもしれません。ちなみに一般知識等は32点と偶然にも本試験と同じ点数でした。
公開模試時点での182点が本試験では214点なので点数的には32点伸びている訳ですが、比較すると五肢択一(商法以外)+12点、商法+12点、記述式+12点と言った感じです。
行政書士試験は1問あたりの配点が高いですから(五肢択一で4点)、1問多く正解できるかどうかが合否に直結しますけどね。
ちなみに、講評には模試受験者の20%ぐらいが合格ライン(180点)を超えたと書かれていました。あとは「一般知識等は模試や答練、その他問題集(市販も含めた)等で出題されている問題をその都度押さえておく必要はあるが、一般知識よりもその他の科目(行政法や民法など)に力を入れるべき」と言ったことが書かれてありました。
(一般知識等は、人によってもそうですが、出題内容によっても得点がバラけるので、必要以上に深追いしすぎるのは危険です!)

2017年度の行政書士試験の感想

最後に、2017年度の行政書士試験を受験した時の感想としては、過去問集やテキスト、模試等で見たことがある問題が数多く出題されたので、比較的落ち着いて解くことができました。もちろん、基礎法学や憲法の判例問題、一般知識等の中には初見の問題もありましたが、その反面、見たことがある問題も数多く出題されていたので、初見問題によるメンタルダメージは相殺されていたと思います。
そもそも、初見問題、解けない問題があることを前提で試験に臨んでいるので、最小限のダメージで切り抜けることが出来たと思います。
なので、ほぼ自分の予定通りの回答時間で解き進めることが出来たと思います(試験開始30分前から説明があったり、普段よりも緊張するので予定より早くトイレに行きましたけど(笑))。

記述式の問題は、民法の2問は問題を見た瞬間に答えが分かりましたので、回答にはそれほど時間はかかりませんでした。しかし、行政法は論点が分からず「あーでもない。こーでもない」とかなりの時間を費やして考えたのですが、結局、見当違いの答えを書いて0点だったで、考えた時間が無駄に終わりました(隠れ目標として8割(240点)合格を目指していたので余計に)。
ちなみに、記述式・行政法の問題は、出題の仕方(表現の仕方)は異なる(?)かもしれませんが、一応TACでも同じような論点が問われた問題が出題されたことがあったのにも関わらず、本番でその問題と答えが結びつかなかったのは、完全に自分の実力不足かなと思います(現にTACの受講生の中には、記述式が満点だったという方も居たようですし)。

あとは、目立つところで多肢選択の行政法(問42)が4問とも不正解でした。1問2点×4問なので、大きなダメージはないのですが、五肢択一の正解率や勉強時間から考えるとちょっと情けないなと思います。私は多肢選択から解き始めるので「試験開始直後の緊張からかな?」とも思いましたが、他の多肢選択は3〜4問ずつ正解しているので、この問題に関しては問題と知識が結びつかなかったと言えます。

一般知識等は他でも触れていますが、あまり馴染みのない問題(山崎豊子の問題、クレジットカードの問題など)ばかりが続いたので正直焦りました。足切り対象の科目だけに「分からない、微妙」といった手ごたえのまま、問題を解き進めるのは精神的に結構きつかったです。
ただ、文章理解の問題も含めれば、6問は正解出来ているだろうと思ったことと記述式である程度点数を稼げているはず(3問中2問はほぼ満点の記述が出来たという手応えがあった)という見込みもあったので、一般知識等の微妙な出来は割り切って考えられた部分があったように思います。

実際にかかった回答時間と回答時間に対する注意点

私の場合ですが、問題用紙に書いたメモを見ると、15時には問題を解き終わっているので約2時間で問題を一通り解き終えています(それでも普段より回答に時間はかかっています。良かったら本番での回答時間の目安として参考にして下さい)。

【メモしている範囲で詳細の回答時間を載せておきます(試験開始は13時)】

別記事で申し訳ありませんが、回答順序の詳細はこちらの記事をご参照下さい。

1:多肢選択問題(問題41~)から回答スタート
2:文章問題(問題60)まで解き終えたのが13時45分
(問題41~60を45分で回答したことになります)
3:最初の問題に戻ります
4:法令等(問題1~)から問8(行政法一問目)まで解き終えたのが14時2分
5:問8から問24まで解き終えたのが14時22分
6:トイレ休憩(移動含めて約8分くらい?)
7:問25(14時30分頃から回答開始)~問40(商法)まで解き終えたのが15時7分
8:その後、記述式の問44や判断に迷った問題の再検討及び見直し
回答所要時間:2時間7分(トイレ休憩含む)
補足1:本来は民法(問27)の直前まで回答してからトイレ休憩をする予定でしたが、普段より回答に時間を要していたことと問25が長文だったため、問24を解き終えた時点でトイレ休憩に入っています。
補足2:トイレには一度行きましたが、途中退出はしていません。
補足3:普段よりも回答に時間がかかったと述べましたが、その理由は前述の通り行政法の記述式問題(問44)の答えが思いつかず長考したからです(結局、不正解でしたけど(笑))。

ちなみに、試験終了の10〜20分前(つまり、160分程度かけて回答する)に一通り解き終わるのが一般的なようです。私は大体2時間前後で解き終わっていたので普通よりも随分と早い方だと思います(早いですけど、ちゃんと全ての選択肢に目を通した上で回答しています)。

いつもより回答に時間がかかってしまうことは、試験本番ではよくあることです。普段から回答時間に余裕を持たせられるよう回答スピードを早める訓練をしたり、試験中、ペース配分が出来るように大体試験開始から何分までにこの科目を解き終わるなど目安を持っておいた方が良いでしょう。回答時間が足らずに無回答してしまうのは勿体無いですからね(案外、見たら即答できる問題があったりしますし)。

と、本試験の感想と回答時間について記載しました。ホント、何が起こるか分からないのが本試験ですね。被害を最小限に抑えるためにも、体力面・知識面・精神面を整えて本番に臨みたいものです。


(おまけ5)行政書士試験対策で有名な資格学校の紹介

私が行政書士試験の勉強をしている時に、資格学校(受験指導校)には以下のようなところがありました。

1:資格の学校「TAC」
まぁ、こちらは説明不要でしょう。私がよくお世話になっている資格学校です。
福岡校の場合、天神にあるので通学のアクセスがしやすく便利です。教室講座、通信(WEB)講座どちらもあります。
資格の学校「TAC」のHPはこちら

2:法律資格専門の「伊藤塾」
行政書士試験や司法書士試験の業界ではかなり有名です。
首都圏や関西には教室がありますが、残念ながら福岡にはないのでWEBでの受講となります。模試やテキスト、問題集ともに定評があるようです。(下のバナークリックでHPに飛びます)

3:東京法経学院
こちらは福岡にも学校があり、教室講義も行われています。
(下のバナークリックでHPに飛びます)

4:辰巳法律研究所
難関試験の受験指導校です。福岡にも学校がありましたが、現在(2019年10月1日時点)は休校中のようです。
辰巳法律研究所のHPはこちら

まとめ

今回は、行政書士試験合格者の体験談として、行政書士試験の難易度や行政法、民法の勉強法、記述対策、試験に対する考えなどを紹介しました。

【体験談まとめ】
・勉強期間は9ヵ月と2週間
・勉強時間は660時間
・行政法、民法に比重を置く(得点の稼ぎどころ)
・一般知識は深追いせず、足切りを逃れる点数でOK
・テキストで基本を押さえ、問題演習をやっていれば、特段の記述式対策は必要はない。(但し、法律特有の言い回しや用語(漢字)に慣れておく必要はある)
・最高法規である憲法から勉強をスタートした方が他の科目が理解しやすい。
・問題演習や模試等を通じ、(少なくとも)試験時間内で解き終わる回答スピードを養っておく必要がある(なぜなら本番はいつも以上に回答に時間がかかるため)。

この中で何か一つでも、行政書士試験を目指す方の参考になれば幸いです。

あとがき

私は、まさに丁度今頃(本記事の投稿日時:2019年1月15日)から行政書士試験の勉強を始めました。
もう勉強を始めている人もいると思いますが、これから行政書士試験を目指す人でも十分間に合う時期だと思います。これから時間が経てば経つほど、1日の勉強時間を増やさなければ、本試験に間に合わなくなります。「遅かれ早かれ試験を受けてみよう」と思っている方は、決断は早い方が良いです。

また、資格を取ったからと言って、必ずしもその資格で稼げる訳ではありませんが、勉強を通じて今まで見向きもしなかったことに関心が向くようになるのが資格勉強の良い所です。
例えば、憲法や行政法を勉強すると「天皇」や三権分立(「内閣」、「国会」「裁判所」)と言ったものに目が向くようになり、ニュースなどで「内閣、衆議院解散」なんて文字が踊ると「あー、勉強してるところだ」と興味を惹かれるはずです。また、民法が分かれば、売買契約や危険負担、連帯保証、相続といったものも分かるようになるので、(賃貸や携帯、サービス等の)契約が絡む時はより慎重に行動するようになります(笑)。

このように資格勉強以外の付加価値もありますので、是非興味がある方はチャレンジしてみて下さい。

最後に、難関国家資格を受験する際、居住地や講師、教材、施設環境の点から資格学校としてTACさんを利用することが多いです。個人的にお世話になっている資格学校の1つですが、本記事、本サイト含め、受験生の皆さまにTACさんの利用を勧めるといった意図はございませんので、その点ご留意下さい。

この記事を書いている人 - WRITER -
経営コンサルタント(中小企業診断士)、人事・労務コンサルタント(社会保険労務士)。福岡生まれの熊本育ち。性格は典型的な「肥後もっこす」。 「ヒト」と「組織」の問題解決(人材教育・育成や組織変革)を専門とする。 また、商社時代に培った経験から財務・会計にも強く、人事面のみならず財務面からの経営アドバイスも行う。 他にも社会保険労務士、中小企業診断士や行政書士など難関国家資格を含む20個の資格にフルタイムで働きながら1発合格した経験を生かし、資格取得アドバイザーとしても活動中。
詳しいプロフィールはこちら

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