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【書評:業務改善事例】チームの生産性をあげる。(著:沢渡あまね)の要旨(まとめ)・感想

 
「チームの生産性をあげる」の表紙の写真
この記事を書いている人 - WRITER -
経営コンサルタント(中小企業診断士)、人事・労務コンサルタント(社会保険労務士)。福岡生まれの熊本育ち。性格は典型的な「肥後もっこす」。 「ヒト」と「組織」の問題解決(人材教育・育成や組織変革)を専門とする。 また、商社時代に培った経験から財務・会計にも強く、人事面のみならず財務面からの経営アドバイスも行う。 他にも社会保険労務士、中小企業診断士や行政書士など難関国家資格を含む20個の資格にフルタイムで働きながら1発合格した経験を生かし、資格取得アドバイザーとしても活動中。
詳しいプロフィールはこちら

書籍情報

著者:沢渡 あまね(さわたり あまね)
   業務プロセス/オフィスコミュニケーション改善士
書籍:「チームの生産性をあげる。-業務改善士が教える68の具体策- 」
   他書籍として、「仕事の問題地図」、「職場の問題地図」など。
値段/発行所:1,600円(税抜き)/ダイヤモンド社

チームの生産性をあげる。 業務改善士が教える68の具体策 [ 沢渡 あまね ]

価格:1,760円
(2019/11/22 16:11時点)
感想(3件)

購入経緯

「〜の問題地図(出版:技術評論社)」シリーズの著者であり、以前読んだ「職場の問題地図」が分かりやすくまとまっていたので購入してみたもの。

要旨・まとめ(専門的な知識がなくとも読みやすい一冊)

生産性向上の方法を4つ(現状把握、検討、実践、浸透)のフェーズに沿って説明しています。専門的な知識がなくとも、会社で働いている人であれば「あるある、そういう問題」と親近感を覚えながらも、「その問題に対する解決策」を見出せるような一冊です。
ただ、個人的には表現の違いはあるものの生産性改善という点での本質の部分での目新しさというのはあまりありませんでしたが、順序立てて説明しているので知識の整理という点では役に立った一冊です。
以下、印象に残った事項を5つPick Upしておきます。

4つのフェーズと8つのステップ

4つのフェーズ
①現状把握フェーズ
②検討 〃
③実践 〃
④浸透 〃
8つのステップ(一部文言改訂)
(1)現状把握フェーズ ①業務の洗い出し
            ②ムダに気づく
(2)検討フェーズ   ③改善策の検討
            ④標準化
(3)実践フェーズ   ⑤横入り防止
            ⑥やってみる(Do)
(4)浸透フェーズ   ⑦定着
            ⑧振り返る

4つのフェーズについては、見出し冒頭でも触れていますが、問題改善の一般的な方法とも言えます。現状分析(把握)し、(改善策を)検討、実戦、浸透(継続及び見直し・チェック)という流れ(PDCAに近い形)です。そして、それぞれのフェーズに対する切り口(考え方、注意点など)として8つのステップが紹介されています。

見る人が見れば当たり前の手順ですが、業務改善、生産性の向上といったことに慣れていない方であれば十分役に立つ考え方だと思います。

特に、「やってみる」のステップは重要です。
問題の原因(本質)に一直線に辿り着くことは容易ではありません。原因が実は違うところにあったというのはよくあることです。

従って、現状把握、検討に関してはある程度仮説を立てながら、とにかく「やってみる」というスタイルが大切になります。
また、長期的な視点を持つことも忘れてはいけません。現代人の特徴として短期的な「利益」を求めすぎていることもあり、ちょっとやってみたけど、効果が見えないのでまた違う手を打ってみるということになりがちです。あまりに固執しすぎるのは問題ですが、目標や数字など客観的なデータを参考にしつつ、当たり外れを見極めることも大切になります。

「のび太のくせに生意気だ!」

皆さんご存知、某国民的アニメのガキ大将キャラの台詞です。

これの意図するところは「重要でないことに多くの時間を費やしていないか?」という気付きのきっかけとして紹介されています。(のび太くん、酷い言われようですけど、ご本人を否定している訳ではないと著者も補足していました)

別の記事に書いた「残業の原因と対策〜長時間労働で、体調不良や退職に繋がる前に従業員の職場環境を改善しよう〜」の内容にも通じるところですが、昔は意味や目的があった業務だったが、今現在はそれほど意味のない業務に変わっていたり、時間をかけている割にその効果や活用度が低いといった業務がどこにでも存在しています。

例えば、作るのに半日かかるような書類なのに、見ている人はごく少人数。一応、作るだけ作っても、直ぐにデスクの肥やしになっているなど。
そういった業務が存在していないか?、そのきっかけの合言葉として冒頭のセリフが紹介されています。

会社に潜んでいる、「生意気な?のび太くん」を探してみましょう。

改善余地の見つけ方は、「ネガティブワード」にあり!

著者曰く、「ネガティブワード」には仕事の無駄が含まれているとのこと。
つまり、「いちいち」「毎回毎回」「わざわざ」といった言葉の裏側には自分達でも気づいていない業務改善の鍵が隠れているということのようです。

多分、明確に思い出せなくても各自心当たりがあると思います。
まずは一週間、一ヶ月といった単位で、業務の中にこういった「ネガティブワード」が内包されていないか、チェックしているのが良いでしょう。

言葉通り「いちいち」やらなくてはいけなくて面倒だという業務は確かにあると思いますが、必要な「いちいち」というのも存在します。
例えば、交通費などの経費精算などは「いちいち」精算しないといけませんからね。必要なものまで削除してしまわないように注意して下さい。

自責も大事だけど…。

著者は、自責も大事だけど、他責も大切だと述べています。

問題が起こると全て自分の責任だとする姿はカッコ良いものがありますが、自責過ぎるたり、自責でしか考えないのも問題だということです。

会社員時代、取引先の営業の方から「(営業)事務職のミスは、本人の責任でもあり、組織、上司(営業など)の責任でもある。いつでも誰でも出来るようにマニュアルで落とし込んだり、教育するような組織体制を築くことも大切だ」とお聞きしたことがあります。

「他責にする」とは、単に責任転嫁することではないと思います。ミスが起きやすい環境や仕組みを改善するための客観的な視点とも言えると思います。

自分がいくら頑張ってミスを防ごうとしても、それには限界があります。そもそも、根本的な要因が他にあることだってある訳です。

自責思考が良しとされる時代ですが、一旦他責で考え組織や体制に問題がないか?といことを考えることも大切です。

誰でも出来るように

個人、組織(チーム)の協力のもと、「毎日、滞りなく仕事が回る」。
これは一見する問題ないことのように思います。

ですが、そんな状況も実は首の皮一枚で繋がっているとしたら?
著者は、「もし、変わったら?」の質問をすることが大事。

突如、従業員が怪我や病気で会社を休むことになったら、全然表には出していなかったがいきなり従業員が退職したいといってきたら、もし、取引先が倒産などで無くなったら、相手方から申し入れで取引停止になったら・・・。

現在の状況が変わったとしたら、どの業務が一番困るか?あるいは従業員がいなくなった場合、どうなってしまうのか(業務が滞るだけならまだしも、他の人ではやり方が分からず、業務停止に陥ってしまう等)?

滞りなく仕事が回るうちに、日常の影に潜む「危険」や「リスク」を洗い出し、改善を心がけることは大切です。

まとめ

以上、5点を紹介しました。

本当はもっと色々と役立つ考えが書いてあり、実際には、「チームの生産性を上げる」ための具体策として68個紹介されています。冒頭でも述べたとおり、分かりやすくまとまっているので、初心者でも取っ付きやすいと思います(沢渡あまね氏の著書は、簡潔にしかも分かりやすくまとめてあると思います)。

是非、御社でも実践されてみてはいかがでしょうか?

この記事を書いている人 - WRITER -
経営コンサルタント(中小企業診断士)、人事・労務コンサルタント(社会保険労務士)。福岡生まれの熊本育ち。性格は典型的な「肥後もっこす」。 「ヒト」と「組織」の問題解決(人材教育・育成や組織変革)を専門とする。 また、商社時代に培った経験から財務・会計にも強く、人事面のみならず財務面からの経営アドバイスも行う。 他にも社会保険労務士、中小企業診断士や行政書士など難関国家資格を含む20個の資格にフルタイムで働きながら1発合格した経験を生かし、資格取得アドバイザーとしても活動中。
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