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【初心者でもわかりやすい】財務分析とは?経営分析との違いや収益性・安全性分析等の指標は?

 
財務分析の写真その6
この記事を書いている人 - WRITER -
経営コンサルタント(中小企業診断士)、人事・労務コンサルタント(社会保険労務士)。福岡生まれの熊本育ち。性格は典型的な「肥後もっこす」。 「ヒト」と「組織」の問題解決(人材教育・育成や組織変革)を専門とする。 また、商社時代に培った経験から財務・会計にも強く、人事面のみならず財務面からの経営アドバイスも行う。 他にも社会保険労務士、中小企業診断士や行政書士など難関国家資格を含む20個の資格にフルタイムで働きながら1発合格した経験を生かし、資格取得アドバイザーとしても活動中。
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はじめに

「P/L(損益計算書)」「B/S(貸借対照表)」「財務分析」といった言葉を聞くと耳を塞ぎたくなる経営者やビジネスパーソンの方も多いのではないでしょうか?

私もかつてはそうでした。
簿記や財務分析といったことをやり始めた頃は、P/LやB/Sといったものがどういうものなのか、何を意味するのかということも、あまり分かっていませんでした。実際、プロフィールに書いている通り、「貸借対照表(たいしゃくたいしょうひょう)」という漢字の読み方すら分からないほど酷い状態でのスタートでした…(漢字が読めないのは、それはそれで問題ですが)。

それから試行錯誤の末。
というか、ただ単に実践を数多く積んだだけですが、なんとか一人前と呼べる程度には財務諸表を読みこなすスキルを身につけることが出来ました。

このように最底辺からのスタートで人一倍苦労した経験がある分、財務分析初心者にも分かりやすい記事が書けるのではないかと思い、今回、筆を執る事にしました。

「初心者でも分かりやすい財務分析の知識とやり方」をモットーに、少しずつ財務諸表や財務分析に関連する記事を書いていきたいと思います。
また、そうした記事が「財務諸表って何?」「財務分析って何?」「財務分析のやり方が分からない」といった方の目に触れることになれば幸甚です。

財務分析とは?

ステークホルダー(取引先や株主、投資家など)の視点から言えば、損益計算書や貸借対照表などの財務諸表(の数値)を用いて、経営指標や過去数ヵ年の傾向などを割り出します。そうして得られた指標や傾向などから会社の安全性や収益性、効率性や生産性等を判断します。
加えて、業界自体の特徴や業界内でのポジショニング(競合他社との比較)を行い、総合的にその企業の良し悪しを判断することになります。

また、経営者の視点から言えば、得られた指標や傾向などを問題点として取り上げ、今後それらを改善していくといった具合に企業経営に役立てることも可能です。本来、決算書とはこのように使うためにあるのですが、大手企業等一部を除き、決算書を上手く経営に活用出来ているという企業は少ない(特に中小企業等)のが特徴として挙げられます。
また、決算書を活用できていると思っている企業でも、比較的とっつき易い「損益計算書(P/L)」中心の「売上至上主義」に陥っている場合も多々あります。

財務分析はなぜ大事?

簿記2級を受講していた時に、講師が「将来必要となる3つのスキル」の一つとして「財務リテラシー」を挙げていました。(ちなみに他の2つは、語彙力(英語や中国語)とITリテラシーだったと記憶しています)

財務分析が出来るということは、「財務リテラシー」があるということです。
「財務リテラシー」とは、財務諸表(B/S、P/L、C/F)を読みこなす力を身につけることを意味します。

財務分析から少し発展した話になりますが、(正当に集計されたものという前提は付きますが)数字の増減、あるいは変動が軽微な場合も含め、数字は嘘をつかないと言われます。
得られた数字や傾向の表・裏に秘められたものが何かを読み解くためにも、財務リテラシーは必要です。

会社にしろ、部や課といったチームにしろ、売上高や利益(利益率等)といった定量目標が与えられているはずです。
適性に定量化が出来ていれば、そこから得られた数字から、気づきや発見を基に仮説を立て、それを検証します。
立てた仮説が正しいと思われる場合もあれば、そうでなくまた新たな疑問や違和感、気づきが得られる場合もあります。
また、それらに対して仮説を立て、検証・・・といったことを繰り返していくことで目標へ近づくことになる訳です。

とりわけ、今のような時代にはこうした仮説・検証の思考(力)が求められています。

あなたが平社員であればまだしも、役職が上がるにつれ、部長会議や支店長会議、取締役会など決算書をはじめ数字を扱う機会は自然と増えていきます。
そうした時に、数字に弱いと自分自身が困るのは勿論ですが、上に立つ立場としてどうなのか?という周りからの目もあります。
最悪の場合、役職に見合う能力がないとして、評価や出世にも影響してしまいかねません。
となれば、早い段階で財務リテラシーを身に付けておくべきです。
少なくとも「数字が苦手」、「数字に対して拒否感がある」といった感情を持たないレベルには鍛えておきたい所です。

おそらく多くの企業で、就業時間内に財務リテラシー(財務分析)を教えてくれるという機会は少ないと思いますので、各自で研修会なり、書籍なり、資格取得なりで身につける必要があるでしょう。

財務リテラシーとは財務諸表が読めることであり、作ることではない

皆さん勘違いしやすいのですが、「財務リテラシー」を身につけるために、財務諸表を作れるようになる必要はありません。
(「作る方」は、本職の公認会計士や税理士さんにお任せしましょう!)
「財務分析」=「簿記の知識が必要」というイメージが強いと思いますが、簿記の知識が必ず必要となる訳ではありません。

もちろん、多少のルールを覚える必要はありますが、作れなくても読めればちゃんと財務分析は可能です。そして、便利なことに巷には、簿記の知識がなくとも「財務分析が出来るようになる」といった類の書籍も結構沢山出版されていますので、初心者の方はそのあたりから物色してみるのもありだと思いますよ。

一応私も、簿記2級を勉強したので、簡単な仕訳のルールなどは知っていますが、財務諸表を作れる訳ではありません。簿記の知識があれば、その会計処理のルールなどが分かっているので、財務諸表を理解しやすいのは間違いないですけどね。

経営分析との違いは?

財務分析と経営分析の違いは、「見る視点の広さ」だと思います。
(注:財務分析=経営分析と同義で使うこともあります)
財務分析は、主に財務諸表から得られる数値を基にした指標等で判断しますが、経営分析は、財務諸表に加えて、経営者やその企業で働く従業員、取扱商品・サービス、またそれらの特徴、業界、株主や取引先・仕入先などのステークホルダー、今後の経営環境の予測など企業経営に関わる様々な視点も踏まえて分析していきます。

分かりやすく言えば、財務分析が数値などの定量的な分析であるのに対して、経営分析は定量的な分析に加えて、定性的な分析も行うという違いがあります。例えば、コアコンピタンス(その企業ならではの強み)といったものは、経営分析の方に含まれます。

財務分析(定量)と経営分析(定性)どちらが大事?

勿論、数値も大事ですが、私は数値には表れない企業の定性面を取り分け重視していました。

理由はいくつかありますが、まず一つ目です。

先に謝っておきますが、
「中小企業の決算書(財務諸表)は当てにならない、場合によっては粉飾の疑いもある」と思って見るようにしていたからです。
(注:勿論、そうではない会社も沢山ありますが、上場企業(オリンパス、東芝など)でさえ粉飾決算をしていたりしますので…)

  • 「決算書が(取引先用、銀行用など)いくつも存在する」
  • 「本来行われるべき処理(例えば、簿価の修正や減価償却など)が行われていない」
  • 「帳簿に載せられていない取引や科目がある」
  • 「決算書を見せて下さいとお願いしても、見せてもらえない(開示姿勢が悪い)」

といったことが、決算書に纏わる話として度々出ます。

「火のないところに煙は立たぬ」という諺があるぐらいですので、どうしてもそのような見方をしてしまうのは致し方ない部分があると思います。
しばしば「財務分析は意味がない」と言われてしまうのは、この辺りが影響しているのだと思います。

二つ目ですが、経営学にも用いられているランチェスターの法則によれば、「従業員が100人以下の会社の業績の98%は、社長の力量で決まると言われています。

そして、ご存知の通り、日本の企業の99.7%は中小企業です。
中小企業基本法で定める中小企業の定義に従えば、中小企業=従業員100人以下の会社という訳ではありませんが、それでも中小企業の業績は社長の力量による部分がかなり大きいと思います。良くも悪くも社長(経営者)次第。

従って、中小企業においては財務的なデータだけではなく、社長(人柄や指導力、営業力、経営方針や戦略の立案力、倫理観など)や社長の方針・戦略を遂行する従業員の量・質、モチベーションなどといった定性面を見ることは非常に重要になってきます。

財務分析の種類は?

一部既出ですが、財務分析の種類(見ていく視点)には以下のようなものが代表的です。

  • 「収益性」分析
  • 「安全性」分析
  • 「効率性」分析

そのほかにも労働生産性といったことに着目する生産性分析や、売上や利益の傾向を押さえるといった「成長性分析」といったものあります。

代表的な経営指標は?

財務分析の写真

前述した分析の種類(収益性、安全性など)に応じて、扱う経営指標も異なります。とあるサイトでは財務分析に用いられる経営指標は「二十数種類」とも書かれていたほど、数多くあります。
財務分析初心者が、いきなり全てを使いこなすことは出来ませんので、まずは代表的なものを押さえていく所からスタートしましょう。

ここでは、「収益性」「安全性」「効率性」の分析で用いられる代表的な経営指標(公式)を紹介します。
それぞれの経営指標についての詳細は別の記事で扱う予定なので、ここではこういうものがあるんだと言う程度で流し読みして頂ければと思います。

「収益性」の経営指標

企業がどの程度の利益を上げているかを見る指標です。
「粗利益率」(売上高総利益率のこと)などは、皆さんも馴染みがあると思います。

売上高総利益率(%)=売上高総利益÷売上高×100
売上高営業利益率(%)=営業利益÷売上高×100
売上高経常利益率(%)=経常利益÷売上高×100

「安全性」の経営指標

企業の支払い能力を見る指標です。個人的に「自己資本比率」などは、その企業の「経営基盤の体力」を示しているものだと思っています。

流動比率(%)=流動資産÷流動負債×100
当座比率(%)=当座資産÷流動負債×100
固定比率(%)=固定資産÷自己資本×100
固定長期適合率(%)=固定資産÷(自己資本+固定負債)×100
自己資本比率(%)=自己資本÷総資産×100

「効率性」の経営指標

在庫や債権・債務の回転期間を見たり、投じた資本が効率的に運用されているかといったことを見る指標です。
皆さんの耳馴染みの良い言葉で言い表すならば、「コストパフォーマンスの良し悪し」を見る指標と言えます。

総資産回転率=売上高÷総資産
売上債権回転期間(月数)=売上債権÷売上高(月)
棚卸資産回転期間(月数)=棚卸資産÷売上原価(月)
仕入債務回転期間(月数)=仕入債務÷仕入高(月)

経営指標の目安や数値が全てではない

経営指標には、その数値が高い方が良い、低い方が良いといった目安が存在します。例えば、流動比率は100%以上、自己資本比率は30%以上などです。
もちろん、こうした経営指標の目安となる数値を覚えておく必要はあります。

但し、業界や業種によって経営指標は様々です。

例えば、掛売りではなく、現金売り(現金商売)主体のビジネスモデルであれば財務分析をした際の見方も変わってきます。
また、指標の数値が目安を下回っているからと言って、直ちに「悪い企業」「危ない企業」という訳でもありません。

企業の定性面の話をしましたが、計算式から求められた無機質な数値だけで判断するのではなく、ヒト・モノが絡み合う有機体である企業全体を見て総合的に判断、分析していく必要があります。
このような複雑さこそ、財務分析を一朝一夕でマスターすることが出来ない理由です。
財務分析に関しては、それこそ「習うより慣れろ」という気持ちで数多くこなすことが重要になります。

まとめ

今回は、財務分析とは?という定義や代表的な分析の種類や指標をご紹介しました。今後は、損益計算書(P/L)、貸借対照表(B/S)や各指標に関して、更に掘り下げた記事を書いてい9予定ですので、興味がある方は続編をお楽しみ下さい。

【本記事のまとめ】
・財務分析とは?
・財務分析と経営分析の違い
・定量面と定性面どちらが大事か
・「収益性」「安全性」「効率性」等の分析手法がある
・代表的な経営指標について
この記事を書いている人 - WRITER -
経営コンサルタント(中小企業診断士)、人事・労務コンサルタント(社会保険労務士)。福岡生まれの熊本育ち。性格は典型的な「肥後もっこす」。 「ヒト」と「組織」の問題解決(人材教育・育成や組織変革)を専門とする。 また、商社時代に培った経験から財務・会計にも強く、人事面のみならず財務面からの経営アドバイスも行う。 他にも社会保険労務士、中小企業診断士や行政書士など難関国家資格を含む20個の資格にフルタイムで働きながら1発合格した経験を生かし、資格取得アドバイザーとしても活動中。
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